株式市場では,人間は,高速取引を実行するコンピュータプログラムの奴隷か?
下記の記事が出ている。
Dow finishes wild week on an up note
Bloomberg Businessweek: August 12, 2011
http://www.businessweek.com/ap/financialnews/D9P2OJSG0.htm
Lord Myners calls for inquiry on 'black box' trading
Telegraph: 13 Aug 2011
http://www.telegraph.co.uk/finance/markets/8700226/Lord-Myners-calls-for-inquiry-on-black-box-trading.html
We're all slaves to the market now
Latrobe Vally Express: 12 Aug. 2011
http://www.latrobevalleyexpress.com.au/news/national/national/general/were-all-slaves-to-the-market-now/2256293.aspx
正確には,コンピュータプログラムであろうとなかろうと,「どんな手段を使ってでもとにかく金儲けをしたい」という人間の欲望の奴隷だと考えるべきだろう。
なお,現時点でもそうなっているだろうと思うが,株式市場内に端末がある場合を含め,システムに接続するまでのケーブルの長さ(←論理的な意味であり,物理的な長さのことを言っているわけではない。)の長短やデータの伝送速度等によって,株式取引上の優劣が決まるということは十分にあり得ることではないかと思われる。つまり,既に公平さを維持することができなくなってしまっている。それくらい高速の取引が実行されているのだ。
そして,株式市場システムの処理能力を圧倒するほどまでに,注文のためのデータ伝送速度が速まり,伝送される注文データ量が増加すると,おそらく,株式取引システムが機能しなくなり,ダウンする。これは,ちょうどDDoS攻撃がなされたのと同じような状況が発生するからだ。
そんなに遠くない将来,そういうことが起き得ると考えている。
なぜなら,注文データを送信する側のシステムは比較的短期間にリプレイスして性能アップをすることが可能であるのに対し,株式取引システムの側ではそういうわけにはいかないからだ。
そのような事故が発生した場合,あるポートまたは取引者IDで受けつける単位時間あたりのデータ量に物理的制限を加え,あふれた分は発注者側で待ち行列として残し,蓄積させることによって,株式取引システムそれ自体においてオーバーフローが発生しないようにするためのデータ処理制限システムを導入しない限り,株式市場側の損害賠償責任は免れないのではないかと思われる。
このようなオーバーフローとシステムダウンは,誰にでも極めて容易に予見できることであるし,そのような事態を回避することは上記のような方法を採用することによって可能であるので,もし何も結果回避措置を講じなかった場合には,「故意」と同視すべき「重過失」があったものとみなすべきだと思われる。
これを,人間で構成される組織の判断に委ねてしまうと,絶対に破綻を免れないので,自動的に制御してしまうプログラム制御以外の方法は考えられない。
1997年以来,私が述べている『処理主義』の世界とはそういう世界であり,人間の意思を介在させると逆に不都合が生じる世界なのだ。
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