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2011年8月10日 (水曜日)

次世代クラウドの予測

『Q&Aインターネットの法務と税務』(新日本法規出版)にはクウラウドコンピューティングに関する項目があり,私が執筆を担当した。

その中に,クラウドコンピュータは1台のノートPCで構築可能だということが書いてある。既に実装例があると思う。ノートPCのクラウドでは,通信回線(telecommunication line)を経由するのではなく,USBポートや光ポートなどを利用して,あたかも多数のキーボードやモニタをぶらさげるがごとき状態で複数の利用者が1台のノートPCを共同利用する。この場合に用いられるケーブルは,通信回線(telecommunication line)ではなく,単なる電線だ。その電線の先には入力装置と出力装置しかなく,電子計算機は1台も存在しないので,このようなノートPCクラウドはスタンドアロンの電子計算機であり,不正アクセス禁止法の定める特定電子計算機になることはあり得ない。

さて,それで終わりにはならないというのが私見だ。

そんなに遠くない将来,ナノテクノロジーと量子コンピュータ技術の応用により,非常に小型のクラウドコンピュータが実現可能となるだろう。

予想されるスペックは次のとおりだ。

 サイズ:掌サイズ

 消費電力:微量

 同時に利用可能な利用者数:事実上無限大

 利用可能なアプリケーション等:全てプリインストール

                     ※ 差分だけネット上からとってきて追加する。

つまり,小さなコンピュータの中にすべてが入ってしまうことになる。

これは,モデルとしてはプライベートクラウドなのだが,公衆回線を経由してパブリッククラウドとして利用することも可能だろう。ただし,あちこちに同型のコンピュータが多数存在しているという環境を想定すると,利用者各自がネット接続する必要性はなくなると思う。

このような環境でも通信の必要性は残るが,それは「郵便局」と同じような意味でのプロバイダ業務として残る可能性が高い。

しかし,ネット経由でのアプリケーション提供はなくなってしまうことだろうと思う。

強いて言えば,YouTubeのような素人投稿サイトは残るかもしれない。ただし,投稿があると直ちに小型クラウド内に「差分」として取り込まれてしまうので,単純に閲覧するだけの利用者は,ネット経由ではなく,この小型クラウドの利用によってすべてをまかなってしまうことになる。

いわば,クラウドサービスのケーブルテレビ型サービスへの変容とでもいうべきか・・・

ちなみに,この小型クラウド内に発生した「差分」は,それが適法に共有可能なものであれば,直ちに小型クラウド間のP2Pネットワークで差分の共有が実行され,同期がとられることになる。

どちらにしても,大規模なシステム構築が消滅してしまうことはほとんど間違いない。

技術の発展はあまりにも速い。

私の予想以上の速さで,上記のような世界が実現してしまうかもしれない。

[追記:2011年8月11日]

上記で仮定したシステムは,これまで考えられているSaaS,PaaS,IaaSなどとは異なる。どういうコンセプトになるのかと考えてみたのだが,強いて言えば,「世界」を全部まるごと提供する小型システムなので「WaaS(World as a Service)」とでも名付ければよいのではないかと思った。ただ,何でもかんでも吸収してきてしまう超高質量の世界でもあるので,「ダークマター」でも良いかもしれない。「ブラックボックス」よりは本質をついているのではないかと思う。現実の企業の中では,圧倒的に多くのデータ量の蓄積を誇るGoogleが最も早道かもしれない。

 

[このブログ内の関連記事]

 仮想サーバ間での不正アクセスは成立するか?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-abfa.html

 仮想集中処理システムの提案
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-9daa.html

 次世代グリッドコンピュータチップ
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-2b9a.html

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