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2011年8月 1日 (月曜日)

カナダのi4iが保有するXML特許をOffice 2007が侵害しているとの連邦控訴審判決に対してMicrosoftが上告していた事件で,連邦最高裁が原審を維持し上告を棄却する判決

うっかり調べるのを忘れていたら,判決が出ていた。

 MICROSOFT CORP. v. I4I LIMITED PARTNERSHIP ET AL., (June 9, 2011)
 http://www.supremecourt.gov/opinions/10pdf/10-290.pdf

判決の当否はともかくとして,この事件の影響は大きい。

自社に特許その他の知的財産権があると確信して販売・提供しているサービスやソフトウェアについて,客観的には他者の特許侵害が含まれている場合,自社の知的財産権が本当は最初から無効だったことをあとから知らされることになる。

のみならず,そのようなソフトウェアやサービスがパブリッククラウド上で提供されている場合,全ての利用者が一斉に利用不可能となるだけではなく,事案によっては,共同不法行為者として損害賠償責任を負うことになる。

ベンダが「完全無欠性」を証明しなければ,利用者は安心して利用することができない。

ところが,スマートフォンについて無数の特許訴訟が係属中であることは何度も書いてきたことであり,ソフトウェア特許に関しては誰が最終的な勝者になるのか誰にも予測できないような状態となっている。

解決策は簡単だ。条約により,全てのソフトウェア特許を無効とし,以後,ソフトウェアについては一切の特許を認めないこととすれば良いのだ。ソフトウェア特許という制度が存在する限り,混乱が増幅・拡大されることはあっても収束することは絶対にない。

なお,日本では,特許訴訟において権利者が敗訴する例が多いと主張する向きがある。これは誤りだ。統計的に誤りだというだけでなく内容的にも誤りだ。無効な特許は無効なのであり,特許権を有すると思っている者が有効な特許だと信じているかどうかとは全く関係のないことだ。

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