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2011年8月12日 (金曜日)

AppleがMotorolaのXoomについても販売差止等の訴訟を提起

下記の記事が出ている。

 アップル、モトローラ「XOOM」も標的に - 欧州で特許侵害の訴え
 Wireless Wire: 2011年8月11日
 http://wirelesswire.jp/Watching_World/201108111253.html

 Apple sues Motorola over Xoom design, report says
 CNET: August 10, 2011
 http://news.cnet.com/8301-13506_3-20090552-17/apple-sues-motorola-over-xoom-design-report-says/

正確には,日本で言えば仮処分申請に相当する訴訟手続も含まれているようだ。

仮処分や暫定的差止命令は,一時的な処分とは言っても,ほとんど致命的な打撃を与えかねない法制度だ。仮処分等を獲得することに成功すれば,経済的・社会的な優位性という点では圧倒的に強い立場を確保できたことになる。

なお,今後の見通しとしては,Appleは,全てのタイプのタブレット型PCについて同種の訴訟等を提起する可能性があると考えられる。

しかし,よく考えてみると,そもそもの「電子的な本」という発想は,もっと昔に,Appleではなく別の人によって考え出されていたものであり,そのデザイン(意匠)も公知に近いものだったのではないだろうか?

SF小説などをくまなく読破すると,現時点では最新として販売されている製品の多くについて,基本的なアイデアやデザインがかなり古い時代に存在していたことを理解することができる。

ただ,現実に実装し販売することができた企業がなかっただけのことに過ぎない。もしかすると,少年時代に読んだSF小説の中に出てくる装置などの実装を夢見たエンジニアなどがこうした製品をつくりだしているのかもしれない。

こういう場合,仮に形式的に「意匠権」が成立するとしても,独占的な権利を認めることが正しいのかどうか,根本的なところで議論をする必要がありそうだ。

ちなみに,Appleに有利な判断が相次いでいるが,これには2つの要因があるかもしれない。

1) Appleの商業宣伝が非常に効果的になされていること

2) Appleが,優れたローファーム(顧問弁護士事務所)等に案件を依頼することを含め,訴訟対策に巨額の予算を組み,惜しみなく支出していること

1については,否定しようがない。経営者自身のタレント性が異常に高い。

2については,米国企業ではどこも同じなのだが,韓国や日本の企業では全然駄目と言っても過言ではない状況にあるので,どうしても不利になる。選ぶべき事務所は,知名度や経歴等とは全く無関係だということをほとんど理解していない。

[このブログ内の関連記事]

 ドイツ:特許裁判所が,SamsungのGalaxy-TabはAppleのiPadの特許を侵害するものだとの主張を一応認め,暫定的差止命令
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/samsunggalaxy-t.html

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