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2011年7月23日 (土曜日)

飼料を通じた放射性物質の食品汚染拡大

ニュース記事等をいちいち引用するまでもなく,飼料としての稲藁がセシウムなどの放射性物質で汚染されており,それが福島県や宮城県等から全国各地に販売されていたことから,それを食べた牛が放射性物質に汚染されるという事態が日本全土的に発生していることは周知のとおりだ。

農林水産省は,このような事態の発生を想定外だとしている。

 牛の飼料保管に盲点 屋外禁止、稲作農家まで徹底されず
 産経ニュース: 2011.7.15
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110715/trd11071501210001-n1.htm

私は,「想定外」なのではなく,担当者の能力が低いか,または,単なる無知のために予見できなかっただけのことに過ぎないと考えている。

 今回の原発事故では,「想定外」としたことが予見義務違反ではなく結果回避義務違反となる場合として認識・理解すべきだ
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-2282.html

一般に,原子力関係の事柄については,行政庁の人間も裁判所の人間も,あまりにも無知過ぎる。だから,電力会社のエージェントとして働く超有名大学の著名教授らや関連企業の経営陣等から「騙すのはちょろいことだ」と愚弄され,嘲笑され続けてきたのだ。

私自身は,自らが汚染されてしまったこと,そして,いずれは原爆病を発病してもがき苦しみながら死ぬことになるだろうということを悟った日以降,政治的な事柄を含む記事でも遠慮なく書くことを決め,そして,福島第一原発周辺の汚染の恐ろしさをこのブログで伝えてきた。

 ブログでは政治的なことを書かないのが基本原則なのだが
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-caa7.html

その関連のブログ記事には,「危機管理」や「自然災害」等のタグを付してある。

反論や批判もあることは知っている。ブログで関連する記事を書いたこともある。

 すべて風評被害で片付けるのは間違い
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-dc43.html

それらの批判等を全く理解できないわけではない。しかし,人が住み,暮らし,食品を生産することなどできないような汚染を招く重大な出来事を発生させてしまったのだ。その事実に目を瞑ることは,逆に事態をますます悪化させることになる。だから,反論や批判は全て当を得たものではなく,単なる感情論に過ぎないか,または,電力関係の人間による悪質な宣伝工作の一種だろうと考えている。

セシウム等による急性的な害悪(短期毒性)については一応の安全基準がある。しかし,その安全基準が正しいものであるかどうかは,世界中の誰も確かめたことはない。チェルノブイリには実例が存在するけれども,ロシア政府は,損害賠償責任を負うことを恐れ,それを免れるという政治的な理由に基づき,疫学的因果関係を否定し続けている。これは,科学ではなく,単なる政治に過ぎない。

 チェルノブイリ原発事故からの教訓
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-daea.html

セシウム等による長期毒性については,安全基準そのものが無意味であり,ほんのわずかの摂取でも,何十年か後には発ガン性を発揮する可能性があることは,識者の間では常識に属する。そのことを知らないのは,単なる無知に過ぎない。

 牛肉からも高濃度の放射性セシウム検出 放射能が身体に与える影響を考える
 ダイヤモンドオンライン: 2011年7月15日
 http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/diamond-20110719-05/1.htm

放射性物質は,稲藁だけではなく,ほとんどすべての食品に吸収されているから,いまや日本の食品で全く放射能に汚染されていないものはないと考えたほうが正しい。あきらめるしかない。厚生労働省は検査結果を発表しているが,精度の点はさておき,そもそも検査対象を限定しているところに重大な問題がある。隠蔽の一種と思われる。

 厚生労働省:食品中の放射性物質の検査結果
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-e3e0.html

植物への汚染は,有機肥料等を通じても発生する。有機肥料の原料の中には,牧場で生産される牛馬の糞なども含まれる。こうした有機肥料を通じた汚染は,これまた識者の中では常識に属するが,官吏の中には常識のない人が圧倒的多数を占めているらしく,誰も調べようとしない。

このほか,汚泥や廃棄物の問題もある。

 下水処理場等での放射能汚染汚泥の蓄積が進む
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-63f9.html

 放射性物質によって汚染された汚泥のリサイクルセメントが流通
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-3428.html

そして,このような事態から生ずる精神的な苦痛は,福島県在住の者だけではなく,日本国民全員にとって共通のものなので,全国民に対し,一律に恐怖の慰謝料が支払われるべきだと主張してきた。

 恐怖の慰謝料
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-6451.html

私見のとおり慰謝料が支払われるべきだとした場合,もちろん,東電は支払不能に陥り,倒産する。

倒産すべきだと思う。

東電は,倒産することによって,「原発は決してペイしないビジネスだ」ということを世界に知らしめるべき崇高な歴史的使命を負っていると考える。

なお,東電が倒産しても,役員等の損害賠償責任(取締役の第三者責任等)は消滅しない。一文無しになっても,ちゃんと弁償すべきだと考える。

ちなみに,東電が倒産すれば,電力がなくなると心配する向きもあるが,事業それ自体は東北電力が引き継ぐことになるだろうから問題はない。現在の破産法と政令レベルで対処できることが多いだろう。

東電の従業員は職を失うことになるが,福島第一原発事故の処理作業員を志願すればよいだろう。東電が倒産しても,税金でもって給料を支払ってくれることは間違いないから,収入面で心配することはない。放射能汚染は心配だろうが,これまで放射能汚染のリスクを提供することによって利益を得てきたのであり,そのリスクを現実に顕在化させてしまった事業に従事してきたのだから,その報いとして,(法的にはともかくとして社会的には)自らの放射能汚染を心配する資格を有しないと考える(←強制労働に服させるべきだという意味ではない。)。

送電部門については,緊急立法により,東電から切り離して無償(または,国が東電と共に支払う損害賠償金の求償金と送電部門の買収代金とを相殺)で接収し,国営とすれば良いだろう。

なお,今後,医療用のモルヒネが大量に不足すると思われるので,国は,その生産体制を確立しなければならない。

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