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2011年7月27日 (水曜日)

放射性物質は,基準値を超えていなければ安全か?

昼のテレビニュースを見ていたら,放射能汚染に関して,学術会議の枢要な地位にある著名な教授が「基準値は危険な値よりもずっと低い値で厳格に定められているから,基準値を超えたら危険という誤解を招かないようにしなければならない」との趣旨の発言をしたとの報道がなされていた。

テレビニュースである以上,本来の発言趣旨と大きく異なるように歪曲されてしまっていることがしばしばあるが,もし報道のとおりであるとすれば,あまりにも荒唐無稽な発言内容だと思う。

一般に,ある有害物質に対する抵抗力の強弱には,非常に幅広い個体差がある。

植物や昆虫の毒で中毒症状をおこしやすい人とそうでない人,様々なアレルギー物質に敏感な人とそうでない人,ガンになりやすい人とそうでない人,紫外線に強い人と弱い人など様々だ。

もちろん,特定の毒物等に対する人間の抵抗力について,統計的に平均値をとることはできる。しかし,全ての人間の耐性が平均値のとおりであるなどということはあり得ず,現実には,大部分の人は平均値よりも相当強いか相当弱いかのどちらかとなっている。

しかるに,「基準値」そのものは,平均値の一種に過ぎない。

平均値の一種である以上,その値よりもはるかに低い値でも障害を起こす可能性のある人間が存在することを当然の前提としている。

「平均値」というものを理解することそれ自体は小学校の授業で学ぶことだ。そしてまた,人間にかなり大きな個体差があることは常識的に明らかだし,医学的にも当然の大前提となっている。

にもかかわらず,平均値の一種に過ぎない「基準値」でもって安全性を論証しようとするのであるとすれば,そのような姿勢は,明らかに非科学的だというべきだろう。

なお,福島第一原発の事故現場で働く作業員については,被爆線量の基準値が大幅に上げられている。このことは周知のとおりだ。要するに,「基準値」そのものがかなりご都合主義的なものであり,客観性をもたないということを政府自らが証明してみせた事例の一つということができる。このことからも,「基準値を超えていなければ安全」という立論それ自体が最初からなりたたないということを容易に理解することができる。

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