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2011年7月13日 (水曜日)

「プロバイダ責任制限法検証に関する提言(案)」に対する高木浩光さんの意見

久しぶりに高木浩光さんの日記を読みにいったら,次のようなものがあった。

 「プロバイダ責任制限法検証に関する提言(案)」に対する意見
 高木浩光@自宅の日記:2011年7月7日
 http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20110707.html

その意見はよくわかる。

それはさておき,一般に,「個人」を定義することはできない。

高木さんは,「個体」が人である場合に「個人」と呼ぶと定義しているが,「個体」も「人」も定義できない。「個体」は「独立した1個の生物体」と定義されるようだが,「独立」も「1個」も「生物」も定義することは難しい。暫定的で誤差を多く含み,明確性を欠くものでも構わないという前提であれば,一応満足することができるという程度のことだ。

ちなみに,「ある空間を物理的に占める物体」をもって「個体」と定義することも不可能ではないけれども,数学や物理学の専門家の目から見れば,そんな定義などナンセンスだということが一目瞭然だ。

また,仮に「人である個体」で定義できるとしても,その存在を証明することは,本当は不可能なことであり,確率論的に推定した判断結果が正しいと信じることくらいしかできない。

神ではない人間の認識能力では,それが限界だと認識すべきだろう。

さて,一般に,「定義」は,ある属性要素の集合として記述されるのが通例であるが,対象である「なにか」の「属性」を示す要素を全部取り除き,対象である「なにか」それ自体を純粋なかたちで記述(定義)しようとすると,実は「空集合」であることが判明することがしばしばある。そこにあるのは,対象である「なにか」を示すためのシンボル(名)だけであるのが普通だ。「名」だけであれば,名が指し示すはずの「なにか」を定義したことにはならない。

「個人」はその典型例であり,実は定義できない。個人情報保護法では,「個人情報」の意義について,「生存する個人に関する情報」と定義している。ところが,「生存する」は属性情報の一種であり,「に関する情報」も属性情報の集合体であるので,これら属性情報をすべて取り除き,「個人」だけを定義しようとすると,実は何もできない。「人である個体」と定義するにしても,「人」も「個人の属性情報の一種であり,「個体」も属性情報の一種なので,これらを取り除くと何も残らない。

強いて言えば,誰か(自己または他人)が「個人」だと主観的に評価している場合の観念的な評価結果に過ぎない。

客観的な実存としての「個人」を定義することは過去何千年も前からできなかったし,これからもできない。

要するに,観念論としては,「個人」を定義することはできないし,また,定義することができない「個人」についてそれを識別することもできない。

これが正解だと思われる。

とは言っても,こういうことを突き詰めていくと,何も言えなくなってしまうので,定義できないことでも「そうだろう」と推定して考えるしかない。

その程度のことだと思って甘んじるしかないのだ。

なお,「個体識別番号」については,別の意見もあり得るので,しばらく考えてから書くこととしたい。

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