IAEAの査察報告書を英語で読むと
下記の記事が出ている。
Japan nuclear: UN says tsunami risk was underestimated
BBC: 1 June 2011
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-13611797
日本語の文章で読むとそれほどきつい意見が書いてあるようには読めないかもしれないが,上記の記事で引用されている英文で読むとかなりきつい。
例えば,「Nuclear plant designers and operators should appropriately evaluate and provide protection against the risks of all natural hazards」と書いてある。
もちろん,リスク評価のやり方は多様なので,最も楽観的な評価手法を採用すれば「別に何も問題はない」ということになるかもしれない。
しかし,一度事故を起こせば自力ではどの電力会社も損害賠償責任を尽くすことが全く不可能な程度の巨大な損失を発生させる可能性があるものである以上,本質的に,最も厳しい評価手法が採用されるべきだ。
なお,中には異常に巨大な自然災害のようなものを法は想定していないと述べる者があるようだ。
何という不見識だろうか!
原子力損害賠償法は,異常に巨大な自然災害や戦争の場合には損害賠償責任が免除されると明定している。つまり,法はそのような事態の発生を想定しており,しかも,そのような場合には日本人全員が被曝して苦しむことになったとしても電力会社は知らんぷりをしていて良いという奇妙なことを定める法律ということになる。
このようなめちゃくちゃ・支離滅裂な法律が違憲でないわけがない(国民の生存権を無視する法律と解される)ので,すでにそのような記事を書いた。
くどいようだが,法は,巨大な自然災害や戦争があることを想定している。その想定に基づくリスク管理をしなければならない。
そして,自然災害の発生可能性について確率論で論ずるのは馬鹿げている。なぜなら,日本のどの学者も専門家も日本の未来の地殻変動や自然災害等について確実なことなど何も知らないし知ることもできないので,そもそも確率計算の前提となる(確実な)知識がほとんど存在しておらず,単なる期待や願望のようなものしか存在していないという当たり前のことを正しく理解すべきだろうと思う。
地震や津波の発生メカニズムについて,プレート理論だけに頼るのは誤りだし,活断層だけを原因として考えることも誤りだ。実は,まだまだよくわからないことのほうが圧倒的に多い。このことも既に何度も書いてきたとおりだ。
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