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2011年5月 9日 (月曜日)

風評被害として位置づけることは,東電の損害賠償責任を免れさせる結果となる

例えば,下記の記事が出ている。

 原発30キロ圏内なのに“安全”… 苦悩するいわき市北部の観光スポット
 産経ニュース: 2011.5.8
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110508/dst11050818010012-n1.htm

風評被害としてとらえられている。

しかし,東電は,風評被害に対して被害弁償することには難色を示していることから,仮に法的には損害賠償すべき場合であっても,何年もの時間をかけ多額の費用を支払わないと損害賠償を勝ち取ることができないかもしれない。

正確には次のように考えるべきだ。

1) いわき市では,年間許容範囲内にあるとしても,東京等と比較すれば放射線の濃度が高いことは否定できない。

2) 遊園地では,主に幼児や今後も妊娠する可能性のある女性が客となることが多いから,少しでも放射線被爆を避けようと考えるのは風評によりまどわさせた結果ではなく,むしろ冷静な判断の結果だと理解すべきだ。

3) 2の判断は正しい。

4) いわき市の遊園地における客の現象は,風評によってもたらされたものではなく,福島第一原発の事故によって必然的に生じた結果である。

つまり,上記の記事にあるような出来事は,風評被害として理解すべきものではなく,相当因果関係の範囲内にある当然の結果なのであり,東電は,その結果に対して損害賠償責任を負わなければならない。

上記の新聞記事が東電の損害賠償責任を免れさせる意図で書かれたものであるかどうかは知らない。しかし,結果的に,そのような効果をもたらすものであることは否定できない。

新聞社は,正しく記事を書くべきだ。消費者や顧客を侮ってはならない。

なお,いわき市の観光施設等はまことに気の毒だと思う。しかし,それは,風評が悪いのではなく,すべて東電が悪いのであり,東電の原発を誘致した人々が悪いのであり,直接の原因は彼らにあるという当たり前のことを冷静に判断すべきだと思う。被害の弁償は,東電や誘致した人々がなすべきことだ。

理論的には,誘致をした人々は,被害者ではなく,東電の共同不法行為者(加害者)の立場にたっていると考えなければならない。このことは,事故を起こしていない原発が位置する地域の首長等でも全く同じであり,原発の停止に反発したり,運転再開を要望したりする行為は,潜在的には共同不法行為(加害行為)の一部をなすものとして理解することができる。

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