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2011年5月 9日 (月曜日)

下水処理場等での放射能汚染汚泥の蓄積が進む

下記の記事が出ている。

 福島市の汚泥でも高濃度セシウム=調査19施設、1カ所除き検出
 時事通信: 2011/05/08
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011050800239

このブログで何度も書いてきたことだが,下水処理場だから蓄積されるというわけではないことに留意すべきだ。

例えば,河川の河口部には蓄積されやすいと考えるべきだろう。首都圏では,大きな河川のすべてが東京湾に流れ込む結果,東京湾に放射性物質がどんどん蓄積・濃縮されることになる。関東平野の流域面積はかなり広大なので,そこに降り注いだ放射性物質が河川を通じて東京湾に流入するとなると,その分量の合計はかなりのものになると想定される。

そのようにして東京湾に流入した放射性物質の中でも比較的重い粒子は河口付近で堆積しやすいだろうと思われ,また,風や波によって海浜に打ち寄せられ蓄積することも考えられる。

現在,東京湾の湾岸地域での放射線測定が基本的には何もなされていない状態にあるが,今後,少なくとも100年程度の間は,継続的に精密な測定と監視が必要だと思われる。

なお,汚染された汚泥等を勝手に処分することができないことは既に書いたとおりだ。

 自治体は,放射線で汚染された物質について勝手に除去等を命ずることができない
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-270b.html

放射性廃棄物なので,法の定める方法によってのみ処分することができる。この放射性廃棄物には,東電が福島第一原発から海に放流した汚染水も含まれるので,事故対応に一段落をつけることができたら,その後は,東電は,放流した汚染水を放射性廃棄物として回収し処分する作業をしなければならない。危機的状況が現にある間は緊急避難行為として違法性が阻却されるかもしれないが,危機的状況が消滅した後は,通常の状態に戻るので法に定めるとおり,回収して処分しなければならないのだ。

このことは,空気中に飛散した放射性物質全部について言えるので,東電は,日本中から全ての放射性物質を一粒残らず回収して処分しなければならない。

このように書くと,「そんなことは無理だ」と思う読者が多いだろうと思う。

そのとおり。無理だ。

要するに,現在の原子力関連法令は,最初から絶対に無理なことを可能なものとして定めている空虚かつ詐欺的な法令の体系であるということを正しく認識する必要がある。そして,私見としては,原始的不能を目的とする法律は,無効であると解する。

裁判官を含め,国民の大半は,お人よしすぎたのだ。そして,これまで何十年もの間ずっと騙され続けてきたのだ。

[このブログ内の関連記事]

 次第に濃縮される放射性物質
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-b33a.html

 放射性物質は,海に流出しても拡散するから大丈夫?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-bea5.html

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