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2011年5月 9日 (月曜日)

米国:GoogleやAppleによる利用者位置情報のトラッキングを受け,これを違法として禁止する法律制定の動き

下記の記事が出ている。

 Apple, Google to face lawmakers in privacy tussle
 REUTERS: May 8, 2011
 http://www.reuters.com/article/2011/05/08/us-privacy-congress-idUSTRE7471SA20110508

EUの個人データ保護指令及び関連する指令の枠組みでは,本人の事前の明示の同意がない限り,個人の位置データを収集・利用することは許されない。日本と米国では,この点が曖昧にされ,似非憲法学者のような人々や無責任な評論家のような人々によって,位置情報の利用が適法行為だと宣伝されてきた(名誉毀損だとして訴えられると面倒なので,いちいち列挙しないが,超有名大学の著名教授の見解等を含め,むしろ多数意見と言っても良い。違法説は,私見や新保史生先生の見解などごく少数にとどまるが,実はこちらのほうが世界的にはスタンダードな説だ。)。

米国での動きが本当に立法につながるかどうかは分からない。しかし,少なくとも,FTC,FCC,商務省等が行政的な規制を強化することは間違いない。

位置情報を利用したビジネスでは,個人識別をしてはならないし,それをマーケティングにつなけるようなビジネスは基本的に違法だと考えるべきだ。

適法行為としてそれらのビジネスを遂行したい場合には,個々の利用者から,事前に,明示の同意を得る必要がある。そして,同意は,空虚な同意であってはならないから,同意の対象となる事項(位置データの範囲,利用目的,第三者移転の可能性の有無等)を事前に明示する必要があるということになる。


[このブログ内の関連記事]

 大手無線通信事業者も利用者の位置情報等のトラッキングをしていた
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-eb88.html

 AppleがiPhoneとiPadによる利用者位置情報トラッキング問題についてバグ修正ということで対処
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/appleiphoneipad.html

 韓国:AdMobが違法に個人の位置情報を収集していた容疑で,警察がGoogleソウル事務所を捜索
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/admobgoogle-6c1.html

 米国:Androidによるトラッキングが違法であるとして,Googleに対するクラスアクションの提起
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/androidgoogle-1.html

 米国:iPhoneにより位置情報がトラッキングされていたことについて,Appleが提訴される
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/iphoneapple-02d.html

 iPhoneは利用者の行動(物理的移動)を密かに追跡・監視している
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/iphone-17d2.html

 GoogleとAppleは,スマートフォンのトラッキングにより超巨大な位置情報データベースを構築しているようだ
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/googleapple-91a.html

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