Twitterが能力不足に陥っている?
下記の記事が出ている。
Exclusive: Snafus forced Twitter datacenter move: sources
REUTERS: April 1, 2011
http://www.reuters.com/article/2011/04/01/us-twitter-idUSTRE7307B220110401
私は,明治大学法科大学院で担当している「サイバー法」の講義の中で,法律論以外のことに触れることが多い。
それは,「法を学ぶものは,ある対象(事実)に適用されるルール(法)を理解するだけでは半分しか学んだことにならず,ルール(法)の適用対象(事実)についても十分に理解していなければならない」という信念に基づいている。
「人」がいかなる存在であるのかを知らないで「人権」を説いても無意味だし,「社会」とは何かを知らないで「正義」を力説しても無力だ。
問題は,対象もまた人間の認識結果に過ぎないということだ。つまり,観察者の脳裏に認識されている「対象」しか存在しない。脳の中に直接(物理的)に物体(対象)を入れることはできないし,入れたとしても無意味なことだ。
要するに,全ては主観のなせるわざなので,錯誤もあるし誤解もある。
それゆえ,錯誤や誤解の幅をできるだけ小さくするような努力と工夫が必要になる。そのためには,莫大な分量の雑学を身につけ,常に思考しなければならない。
さて,その莫大な分量の雑学の中には,IT企業の実際についての雑学も含まれる。
そして,私は,「IT企業は,大成功すると必ず崩壊する」という理屈を説明するようにしている。
論理は極めて単純で,利用者や顧客が余りに増えてしまうと,物理的及び人的な処理能力が不足してしまい,それを補うために資金の借り入れ(実質的には借り入れになっている投資を含む。)が増大し,ある時点で必ず経営破綻してしまうという認識に基づいている。
だから,IT企業には常に成長の限界点が存在し,それ以上大きくなっても経営が悪化するだけという一般法則が存在すると考えている。
Twitterの場合もそうだ。Twitterでは,自前のデータセンターの構築を進めてきたようだが,上記の記事によれば頓挫してしまっているらしい。仮にデータセンターの構築に成功しても,結局は,自転車操業的にリソースの拡張をし続けるしかない。
Twitterなどのソーシャルメディアの限界はここにもある。
電脳空間と言っても,無なのではなく,物理的なリソースの質と量によってその能力と性能とが完全に左右されてしまうのだ。
だから,ごく少数のプラットフォームだけに頼る社会は極めて脆弱であるとも言える。
私が「巨大すぎるパブリッククラウド」に反対の姿勢を貫き続けている理由のひとつは,ここにもある。
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