パブリッククラウドで最も深刻な被害が発生するのはデータ消失の場合
下記の記事が出ている。
The challenge of security in the cloud
Financial Times: March 30, 2011
http://www.ft.com/cms/s/0/5987c464-5a50-11e0-8367-00144feab49a.html#axzz1IMenbF5u
このブログでは,データ消失の実例も紹介してきた。
上記の記事では,「信頼」がなければパブリッククラウドを誰も利用しないので,どのベンダも信頼の確保のために努力していると述べている。その信頼の中には,データ消失を防ぐための努力も含まれる。
たしかに,そうだろう。
しかし,例えば,今回の大震災のように広域にわたる重大な被害が発生した場合,それでも信頼を維持できるかどうかはかなり疑問だ。
もちろん,個々の利用者のシステムが被害を受けた場合,それでおしまいになってしまうことから,バックアップとしてクラウド型のストレージを利用する意味はある。しかし,それくらいしかないかもしれない。
というのは,仮にクラウド側でデータのバックアップを完全に持っていたとしても,メインシステムが大震災で崩壊してしまった場合,バックアップデータから元のデータを修復することができないからだ。
この問題を回避するためには,クラウドシステムそれ自体が多重化されていなければならないことになる。それは,技術的には可能なのだがコストの問題とセキュリティの問題があるため,果たしてビジネスとして成立可能なのかどうか,かなり疑問だ。
いつも書くことだが,期待は期待に過ぎない。最も悲惨で最悪な状況が発生するという前提で,それでも乗り越えることのできる危機管理プログラムを構築することのできるだけのマネジメント能力と技術力と資金力を有するベンダだけが生き残ることができる世界ということになるのではないかと思う。
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