« ハザードマップではなく安全マップをつくろう! | トップページ | RSAはどのようにしてハックされたのか? »

2011年4月 2日 (土曜日)

すべて風評被害で片付けるのは間違い

下記の記事が出ている。

 福島産の工業製品にも風評被害 「取引停止」「残留放射線量証明書を要求」
 産経ニュース: 2011.4.2
 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110402/biz11040220380013-n1.htm

この記事では,企業関係者が「国の責任で説明してほしい」と要望しているという記載がある。

気持ちはよくわかる。

しかし,現状を正しく認識して欲しい。

現在の日本は,平和で繁栄している日本ではない。戦後の焼け跡と全く同じ状態に戻ってしまっている。

第二次世界大戦後,かなり長い間にわたり,日本企業の製品は「安かろう,悪かろう」と思われていた時期がある。数年前の中国製品や韓国製品と同じだ。しかし,日本の企業は,製品の品質を高め,諸外国からの信頼を得るためにものすごい努力をしてきた。そして,信頼を勝ち取った。中国や韓国も同じだ。

ところで,福島県の企業が信頼を失ってしまったのは,その企業が悪いからではない。もちろん,東電が全部悪い。

原子力発電所をマネジメントする能力のない企業が自分の手に負えない施設をもってしまったところに最大の問題がある。それを認可してきたのは国(旧自民党政権)なので,国にももちろん責任はある。

しかし,そのようにして自分のせいでひどい目にあってしまったのではなくても,他力本願ではどうにもならない。

苦境を乗り越える自助努力をしない企業は,どうやっても立ち直れない。

頭を切り替える必要がある。

今は,終戦後の焼け跡状態なのだ。

その上でのことだが,たしかに,風評は風評かもしれない。

しかし,発注者である海外の企業の立場にたって考えてみれば,汚染されていない証明を求めるのは経営者として当然のことではないだろうか?

かつて,チェルノブイリで事故が起きたとき,日本の企業も同じことをした。過剰反応だったかもしれないけれど,自分の国も同じだったということを冷静に理解する必要がある。ものごとは公平に考えなければならないのだ。

そして,東電のせいでこうなってしまったというまことに理不尽な経緯があるにしても,自助努力で切り抜けるしかない。

そのためには費用がかかるし,契約がキャンセルになれば損失も発生するだろう。

それは,全て東電が負担すべきものであり,また,取締役が会社法に基づく第三者責任として損害賠償責任を負うべき筋合いのものだ。そして,東電が全財産を売り払っても支払いきれない損害賠償が発生したときは,国が補填的に面倒をみるというのが本来の筋合いというものだと思う。

けれども,これは何度もこのブログで書いていることだが,国は,税を納める金庫でしかない(国庫)。そして,国庫は無尽蔵ではない。100パーセントの損失補填を求めるとすれば,当然,現在の税収ではまかないきれない。不足分は一律増税というかたちで対処しなければならないだろう。そうなると,企業が損失の補填を国から受けても,あとから税金として取り戻されるという計算になる。要するに,被害者が非常に多い場合には,どのような国家補償制度も全く機能しなくなるという当たり前の事態が発生することになる。

結局,自分で自分の面倒をみるしかない。

理不尽でも臥薪嘗胆でも何でも,とにかくそうするしかない。

ドライに思考することが求められている。

|

« ハザードマップではなく安全マップをつくろう! | トップページ | RSAはどのようにしてハックされたのか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ハザードマップではなく安全マップをつくろう! | トップページ | RSAはどのようにしてハックされたのか? »