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2011年4月 2日 (土曜日)

震災地ではソーシャルメディアが役に立つか?

USA Todayを読んでいたら,地震等の被災地での安否確認のためにTwitterやFacebookなどが役立つという記事があるのを見つけた。

 Tech can help you prepare for and survive natural disasters
 USA Today, April 1, 2011
 http://www.usatoday.com/tech/columnist/kimkomando/2011-04-01-emergency-prep_N.htm

停電と通信途絶を経験した被災者がこの記事を読めば,「全くわかっていない」という感想を持つに違いない。

当たり前のことだ。

重大な被災地では,基本的に,一切の通信手段を利用することができなくなる。テレビを視聴することはもちろんのこと,インターネットや携帯電話を利用することもできなくなる。

今回の大震災の当初,テレビ番組でアナウンサーやキャスターなどが「危険ですから海岸には近づかないでください」と訴えていた。たしかに,その時点で被災地でなかった地域の視聴者にとっては意味があったかもしれない。津波はあとからやってくるからだ。しかし,明らかに重大な被災地の被災者に訴えかけていると理解できるものを視る度に,私は,「この人はほんとうに何もわかっていないのだ」と思った。テレビを視ることなどできるわけがないからだ。同様に,インターネットや携帯電話で安否確認をすることができるようにしたと言って威張っている通信会社があったが,これまた愚かだと思う。安否確認の仕組みを提供することそれ自体はよろしい。しかし,通信途絶しているところでは,そもそも利用することが全くできない。津波で携帯電話を流されてしまった被災者は数知れないほど多数ある。そして,通信が途絶していない地域でも,アクセスの集中によって,事実上,全く使えなくなってしまっていた。これは,通信会社の処理能力には最初から余裕がないことに起因している。要するに,いざというときには全く役にたたないシステムなのだ。

また,上記のUSA Todayの記事では,GPSを応用したアプリによって,自分の所在位置を確認することができると書いてあった。たしかにそうだろう。しかし,今回のような大規模地震が発生し,大地が何メートルも移動してしまうと,GPSと連動して表示される地図がすべて狂ってしまっていることになる。大地が移動しないことを前提とする地図情報提供サービスは,基本的な部分で根本的な見直しを求められているというべきだろう。もちろん,災害によって道路,鉄道,橋その他の施設が完全に破壊されてしまっていても地図情報サービスには反映されていない。がけ崩れや大津波による大規模侵食,地盤沈下等も一切反映されていない。要するに,リアルタイムに危険箇所を示す機能はない。

上記のUSA Todayの記事の中で,唯一正しい記述は,一番最後の数行の中にあった。それは,水や食料などのサバイバルキットを準備しておくことが有益だという部分だ。しかし,これは電子機器とは無関係のことだし,むしろ常識に属することだろう。

自分の経験からすると,やはり,水のペットボトルは常備しておいたほうが良いと思う。いざというときには誰もが「買いだめ」に走るので,どこにも売っていない。だから,いつでも,何本かを備蓄しておき,少し古くなったら飲料や調理用として使い,使った分を補充しておくということが大事だと思う。

非常食については,乾パンを常備していたのだが,ビニール袋に入ったもので古いものは駄目になってしまっていた。いざというときには,賞味期限が過ぎていても食べるしかないので,その点は我慢するしかないが,それでもカビが生えたり腐ったりしてしまっているものを食用に供することはできない。この点で,缶入りの乾パンだと相当長期にわたって品質を保つことができる。もし非常食として乾パンを備蓄したいと考えるのであれば,缶入りのものをお勧めする。なお,一度でも被災経験をするとすぐにわかることだが,水と乾パンがあればかなり幸運なほうで,実際には何もなくなってしまう。まして,肉や野菜などを食べることは,かなり長期間にわたって基本的に無理なことだと理解しておくべきだろう。

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