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2011年4月17日 (日曜日)

福島第一原発の状況を正確に測定することは可能か?

下記の記事が出ている。

 3号機の圧力容器で温度が急上昇 「計器の故障」と東電
 産経ニュース: 2011.4.15
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110415/dst11041507060009-n1.htm

測定機器類が損傷を受けている可能性は否定できない。しかも,それは1個にとどまらないだろう。つまり,測定値をもとに危機管理をすると逆にもっと危険な結果を招いてしまうことがあり得る。

このことから,リモートで数値を観察することだけに頼る管理手法は極めて危険だということを理解することができる。

原子力発電所に限らず,コンピュータシステムでも何でも全てそうだ。

他方で,上記の報道では,余震による更なる損傷や故障が危惧されている。今後も地震が続くだろうから,そのとおりだろうと思う。

ただし,本震と余震を区別する考え方は完全に捨てなければ駄目だ。気象庁はいまだに古くて役立たずの考え方にしがみついている。何十年も前の学生の頃に学んだ理論を乗り越えるだけの知性をもった者が皆無なのだろうと思う。そのような優秀な者は,おそらくとっくの昔に退職してしまっているものと推測される。日本の組織では,そういうことがしばしば起きる。組織の規模の問題ではなく,支配の力学の問題だろうと思う。

現在起きていることは,東日本全体での大規模な移動ということなのであり,それに伴って発生する地震は,ミクロ的な意味での発生メカニズムの相違や規模の大小とは無関係に,マクロ的にはすべて本震として理解するのが正しい。

福島第一原発付近では,今後もかなり大きな地震が継続して発生することだろう。長ければ半年以上の期間にわたってそのような状態が続く可能性がある。可能性の問題なので,実際にはそうならないかもしれない。しかし,これ以上悲惨な未来は考えられないというくらい突き詰めた厳しい状況を想定するのでなければ,本当の意味での危機管理やリスク管理をすることはできない。

具体的にどのような状況を想定すべきかについて,そして,そのような想定に基づいて本当は何をすべきかについては,これまで何度も繰り返し述べたので,ここではやめておく。

なお,こんなことになってしまっている真の理由については,有料制会員連絡用のブログに書いた。

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(余談)

一般に,「リスクをとる」という表現がある。これは,「リスクを怖れていたのでは利益を得ることができず,意味のある結果を得ることもできない」ということを意味している。

それ自体は間違っていない。

しかし,ここで「リスクをとる」ことが正しいとしても,そのリスクが現実に危険な結果(事故等)となってしまった場合に,他人(第三者)に対して一切の損失を発生させないということでなければ無責任だ。自分だけが損失を被り,他人に迷惑をかけないというのであれば,多少大きなリスクをとっても良いだろう。それは自業自得のようなものだ。しかし,他人(第三者)に多大な損失を発生させる可能性(危険性)がある場合,それを無視することは社会的にも法的にも許されることではない。

評論家のような人々が「リスクをとることが必要だ」という趣旨のことを述べるとき,この「責任」というものをどう考えているのか,疑問に思うことがある。

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