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2011年4月10日 (日曜日)

シリコンバレー風自由放任主義は転機を迎えたか?

下記の記事が出ている。

 Web firms face increased federal scrutiny over Internet privacy
 Washington Post: April 8, 2011
 http://www.washingtonpost.com/business/economy/web-firms-face-increased-federal-scrutiny-over-internet-privacy/2011/04/06/AFvREp1C_story.html

これまでが非常におかしかったので,それをまともな方向に少しだけ是正するということに過ぎない。

まともなビジネスをして欲しい。

[このブログ内の関連記事]

 EU・米国:ネットプライバシーの保護に関し,EUと米国とで温度差
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/eueu-ee47.html

 米国:連邦政府が,オンラインプライバシーを保護するための権利章典を強く推進
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-cf66.html

 GoogleとFacebookがプライバシー保護団体等からの批判を受け,新たな対応?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/googlefacebook-.html

 米国:連邦商務省がネット上のプライバシー保護を強化する政策を明らかにする報告書
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-8298.html

 ネット上のプライバシー保護の法的議論のルーツは1890年に書かれた論文に遡る
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/1890-3dbe.html

 米国:連邦政府がオンラインプライバシーガイドラインを準備
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-e2dd.html

 米国:次の連邦議会ではインターネット上のプライバシー保護が最重要検討課題になる見込み
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-0ab5.html

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(余談)

個人情報が適法に取り扱われていないのは何もネットに限ったことではない。

銀行に融資の申込みをすると,すぐに別の金融機関から電子メールが入ったりする。おそらく,銀行が組織的に情報を流しているというよりは,従業員が顧客情報を持ち出して売りさばいているのだろうと推測する。このような例はいくらでもある。従業員に対する監視と懲罰をこれまでの100倍以上に厳格にしなければならない。相談を受け,監督官庁(主務大臣)に行政監督をしてもらおうかとアドバイスをしても,「そこまでは・・・」という例が多く,本人の意思を無視してまで強い態度に出ることができないのがちょっと残念だ。できることなら,業務停止事例を積み重ね,徹底的に粛清を実行したいところなのだが・・・

他方で,様々なところでポイントカードが発行されている。このポイントカードでも同じようなことが発生することがある。関係のない会社からなぜか勧誘の電話が入ったりするのだ。約款によれば一定限度で第三者に情報提供をすることがあると書かれている場合が覆いのだけれど,約款をどのように読んでも事前に同意した範囲を逸脱しているとしか解釈できない場合がある。これまた,従業員等が顧客の個人情報を勝手に持ち出して売りさばいているのだろうと推測する。ポイントカード発行会社や加盟店等は,従業員の監視を強化し,厳格に懲戒して欲しいものだと思う。

更に問題なのは,ポイントカード発行会社が経営破綻等で消滅してしまう場合だ。この場合,個人情報取扱事業者が消滅してしまうことになるので,行政監督ができない。そして,そのような場合に,なぜかぜんぜん知らない会社からメールや電話が入ることがある。経営の譲渡を受けているわけでもなさそうなので,おそらく,ポイントカード発行会社やその従業員等がポイントカードの元会員の個人情報を勝手に売りさばいたのだろうと推測する。このような場合,現行の個人情報保護法では処罰することができない。

このように事業主体が法律上または事実上消滅してしまった場合について,現行の個人情報保護法は全く無力だ。欠陥法律と断定して良い。

それゆえ,私は,個人情報保護法制定前の法案の段階から,この法律には重大な欠点があるから即時廃止または全面改正すべきだと主張してきた。これがいわゆる「夏井説」だ。

現時点においても,「夏井説」は圧倒的に正しいと確信している。世の「個人情報保護法の専門家」と自称する者の中には,企業から買収され汚染されているのではないかと疑われる者が全くいないわけではない。原発問題における「原子力の専門家」と同じような状況が個人情報保護の場面でも存在している。

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