今更遅い
下記の記事が出ている。
菅、岡田降ろしが本格化 代議士会で公然と降板要求
産経ニュース: 2011.4.12
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110412/plc11041223400033-n1.htm
政治のことを言っているのではない。原発事故の全体像をどのようにとらえるかについて言っているつもりだ。政治家として闘争したければ勝手にやれば良い。国民はかなり冷酷な目で見つめている。
そういうわけで,原発事故対応について「今更遅い」という見解には賛成だ。
頭が悪いか,または,強欲だから想像できなかったのだろう。この点は,東電の経営陣及び従業員全員も同罪だと思っている。下請企業の従業員や自衛隊員等は,その尻拭いをさせられていることになる。あまりにも気の毒だ。
このブログの継続的な読者であれば,私がどのような見解をもっていたかを知っていると思う。福島原発の事故は,チェルノブイリとも異なるしスリーマイル島とも異なる。しかし,リスク管理という視点での危険度としてはスリーマイル島よりもチェルノブイリと似ているというのが私の見解だった。現時点で振り返ってみれば,そのような見方が最も正しかったということを誰にでも承認してもらえると思う(なお,ここで「リスク管理」と言っているのは,旧自民政権にも民主政権にも危機管理能力はなかったし,現在でもないので,せいぜいリスク管理くらいしかできないという趣旨でそのように述べている。)。
私は,今後の対応策についても書いてきた。いずれも正しい提言だったと確信している。
誰も承認しないし,まして政府が採用する可能性はない。
だが,きっとそうせざるを得なくなる。他に有効な方策が存在しないからだ。
それにしても,もっと早い段階だったら費用の支出が少なくて済んだだろうと予測されるのだが,現実はそうではないので,非常に残念だ。
原発とは関係ないが,訴訟案件でも,最初の段階で相談に来てくれれば,子供のお小遣い程度の極めて少額な相談料の支出で済んだものを,そうしなかったためにとんでもなくこじれさせてしまっている事例が何件かある。
一般に,最初の方針が悪いためにこじれてしまうと,それを修正し,本来あるべき訴訟に戻すために多大な支出が必要となる。
まともな弁護士であれば誰でも,相応の報酬を支出する気がある依頼者からの依頼であれば,どんなにこじれた事件でもそれなりに頑張り,依頼者が少しでも失地回復するように工夫をしてみることだろう。なぜ相応の報酬が必要であるかというと,他の仕事をあとまわしにしたりキャンセルしたりしてでも,当該案件と集中的に取り組まなければならず,その間,他からの収入がなくなってしまうからだ。しかし,依頼者に何も支出する気がないなら,今更泣きついてもだめだ。どうぞ泣いてください。
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