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2011年4月 9日 (土曜日)

原子力安全委員会の委員には危機管理能力が全くなかった

下記の記事が出ている。

 全電源喪失、国は「考慮する必要はない」と解説
 Yomiuri Online: 2011年4月9日
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110409-OYT1T00156.htm

 【原発事故7場面検証】(1)電源喪失 安全とコストを天秤
 産経ニュース: 2011.4.9
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040908290008-n1.htm

危機管理のイロハも知らない人間を幾ら集めても無駄だ。

危機管理は,通常のリスク管理が全て無効になったときから始まるものだ。

脅威(リスク)が現実(インシデント)になってしまったら,インシデント対応をすべきなのは当然だが,通常の安全対策の機能が全て失われている状態を想定しなければ,何も考えていないのと全く同じことになる。

全ての安全機能の喪失を前提に対応策をスタートさせるような発想をもてる者だけが原子力安全委員になる能力を有していると考えるし,また,いかなる意味においても一切の買収に応じない者だけが委員になる資格を有すると信ずる。

政府は委員を全員更迭すべきだが,その気配はなく,逆に必要な人材を更迭し,いなくても良い者だけ残しているようだ。

このままでは国民が死滅するかもしれない。

もし,安全委員の心の中にほんのひとかけらでも「良心」というものが残されているのであれば,速やかに辞任すべきだ。

日本には,若くて優秀,かつ,責任感の強い研究者がいくらでもいる。世代交代しなければ駄目だ。

[このブログ内の関連記事]

 原子力安全委員会の委員を無条件で即時全員更迭しなければ駄目だ
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-df4a.html

 自己過信を捨てよう
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-a3ae.html

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コメント

宮崎人さん

本当に納税者を馬鹿にしたようなことばかりですね。

でも,これはまだ相当軽いほうです。

まだまだあります。

投稿: 夏井高人 | 2011年5月12日 (木曜日) 23時51分

 ニュース番組でもこの問題が出てましたが、まさに税金の無駄遣いのひどい委員会、管総理も会議をたくさんつくれば良いものではない。あまりにもひどすぎる。

投稿: 宮崎人 | 2011年5月12日 (木曜日) 23時06分

yutakarlsonさん

コメントありがとうございます。

引用されている議事録(?)は,ROMさんが紹介されたものと同じソースによるものですね。

さて,一般に,どのような器をつくっても,その委員が買収されてしまうとどうにもなりません。そのために報酬を高くしているんですが,既に買収されてしまっているような人しか委員になれないようにするという手はあります。

原子力の場合特に難しいのは,「原子力の専門家になるために莫大な研究費が必要だ」という点に尽きるだろうと思います。その研究費を調達するためには,どうしても電力会社に迎合的になってしまいます。このことは,日本だけではなく米国でもどこでも全く同じです。何億円という研究費をもらっておきながら,反対したり抵抗したりすることはできないでしょう。

こうした問題を解決するために,「既に成功した研究者や天下り官僚的な人を委員にしてはならない」というルールを確立することが考えられます。

研究費をもらえなくて貧乏だけれど,若くて,能力があり,正義感の強い人を委員にすれば良いでしょう。

ただし,別の点での問題もあります。

例えば,日本という国は奇妙な国で,日本国政府としてのどのような政策についても,普通は所管官庁の課長1人くらいだけでやっています。たった1人の担当課長が(当該案件については)全部決めてしまいます。大臣でも政治家でもみんな単なる素人に過ぎず無知ですから,担当課長の意見に従うしかありません。原発の場合でも同じで,K元課長がすべてを仕切ってきました。そのお子さんと合わせると莫大な財をなしているはずですので,もし今回の件について少しでも責任があると思うのなら,全財産を寄付すべきだと考えています(たぶん「自分は何ひとつ悪いことをしていない」と思っているでしょうから,この文章を読んだらきっと憤慨するでしょうね。)。

というわけですので,どうやっても駄目かもしれませんが,とにかく「器」の問題ではなく「中身」の問題であることだけは確かです。そこで,そこらへんについて国民が監視できるような国家システムを構築する必要がありそうです。

なお,このシステム再構築のためには,例えば,内閣総理大臣が奇妙な強権をふるって迎合的な政策を強行しようとしたら,直接選挙によってリコールできるような仕組みがないと駄目です。

もしそのような民主的な制度を確立できないとなると,あとはテロ(暗殺)の横行ということになってしまいかねないです。

投稿: 夏井高人 | 2011年4月10日 (日曜日) 12時36分

ヒドすぎる原子力安全委員会の会議内容―【私の論評】最早全く機能していない、原子力委員会と原子力安全委員会??

ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」

こんにちは。原子力安全委員会といえば、原発を規制する側の立場の組織です。しかしながら、この委員会の議事録を見ている限りでは、地震のない平時は無論のこと、地震が発生してからも、ほとんど活動らしい活動をしていません。日本においては、本来安全面の最高権威のはずであるのに、この体たらくは、どうしてしまったのでしょうか?現実には、日本の原子力行政は、原子力安全・保安院が原発推進ありきの立場で、活動し安全対策はなおざりにされていたのだと思います。原子力に関しては、推進するにしても、廃止するにしても、いくら努力したとしても、今のまま既存システムや組織が温存されていては、抜本的な解決にはならないと思います。まずは、新たなシステム、組織にすることが必須であると考えます。国民として、本日行われる投票、ならびにその後行われる選挙などでは、こうしたことを主張する候補者に投票すべきと思います。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。

投稿: yutakarlson | 2011年4月10日 (日曜日) 09時26分

ROMさん

ありがとうございます。

議事録は読んでおりますし,過去の資料等にも目をとおしております。

あまりにもひどくて,委員会としての機能を全く果たしていないと思っています。もともと名誉職のようなものなので少しも実務的ではありませんし,実務的になってしまうと電力会社や原子力施設製造会社にとっては厄介者になってしまいます。だから,長年の努力によって現在のような骨抜き状態にしてしまったのだろうと推測しています。産業界の勝利ですし,そのお先棒を担いだ政治家等の勝利ということです。

しかし,それではいけません。

だから,全員更迭すべきだと主張しています。

投稿: 夏井高人 | 2011年4月 9日 (土曜日) 20時26分

夏井先生に、是非とも読んでいただきたいと思います。

ヒドすぎる原子力安全委員会の会議内容 | 将来世代のための地球環境論
http://8260.teacup.com/astroecology/bbs/142

投稿: ROM | 2011年4月 9日 (土曜日) 19時35分

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