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2011年4月20日 (水曜日)

津波に対する認識の低さ

下記の記事が出ている。

 住民の4割以上「知らぬ」 県内沿岸部に津波の恐れ
 中日新聞: 2011年4月19日
 http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20110419/CK2011041902000117.html

要するに,無知・無教養ということに尽きる。

次のような土地には,決して住んではならない。いつか必ず津波や洪水等の被害を受ける可能性があるので,自殺行為に等しい。

1) 海抜10メートル未満の土地

2) 縄文時代~古墳時代に海の底だった土地

3) 戦国時代以降に埋め立てられた土地

4) 山地であっても近隣に新生代以降に形成された海蝕崖と推定される地形のある土地

また,このような土地にある工業施設や原子力施設等は,大津波によって100パーセント間違いなく壊滅的な打撃を受ける。

大津波の規模は,場所によって異なるが,砂浜のような平坦な地形のところでも最大で10メートル以上の高さ,入り組んだ入り江のような場所では最大で20メートル~30メートル以上の高さとなることを覚悟しなければならない。

そして,日本の海岸の中で過去に津波の被害を一度も受けていない地域は存在しない。

以上は,常識の一部だと言える。

では,どこに住んだら一応安全と言えるのか?

見つけるのは簡単だ。

縄文時代に貝塚があった場所を探し,その貝塚よりも高い場所なら一応安全と言えるだろうと思う。古墳が過去の地震等によって破壊されずに残されている場所は,一層安全だと言える。

結局,日本の戦後の復興を支えた臨海工業地帯という思想は,思想それ自体が空虚であり,自然の力によって破壊されてしまうものだったということになる。

要するに,長きにわたり続けられてきた自民党的な産業政策は,根本から否定された。このことは誰の目にも明らかだろう。

そして,真の問題は,民主党を含め,どの政党も新たな産業ビジョンを何も持っていないということだ。

「豊かな社会」や「幸福な社会」の実現を主張することは馬鹿でもできる。大事なことは,「どのような幸福を,どうやって?」だ。その方法論を誰も考えつくことができない。それはそうだろう。日本の指導層には,「バブル時代の幸福」のイメージしかもてない人間ばかりだからだ。

しかし,それでは駄目だ。

「幸福」それ自体のイメージをさっさと塗り替えることのできる者だけが,次の時代の幸福を見通すことができるだろう。

ただし,インチキ政党のようなところでは,「誰もが幸福を感じることのできる社会」と言った表現でごまかすことがあり,それに騙されてしまう人がかなり多数ある。そのことには十分に警戒心を持たなければならない。

このような詐欺的なタイプの表現は,詐欺の一般的手法の応用の一つだ。「幸福」の具体的内容を一切示すことなく,「幸福」という言葉の受け手が自分に都合よく「幸福」の内容を想像または妄想してしまうような心理的効果を得ることができる。

似たような騙しのテクニックを使った表現として「誰もが安心して暮らせる社会」がある。この表現では「安心」の具体的な内容が何も示されておらず,「安心」という言葉の受け手が自分に都合よく「安心」の内容を想像または妄想する心理的効果を狙っている。

「幸福」や「安心」を「安全」で置き換えても,やはり同じだ。

騙しであるかどうかを判別するためには,「幸福」や「安心」等の具体的内容が述べられているかどうか,それを実現するための具体的な方法論が述べられているかどうかによって判定することができる。

そして,まともな「幸福論」というものは,大抵の場合,「な~~んだ,その程度なのか」と失望することが多い。だからこそ実現性が若干なりともあると言えるのだが,そのような表現の受け手のほうが欲張りなものだから,それでは満足しない。結局,欲張りであるがゆえに,詐欺師のような連中に騙され続けることになる。「愚か」とは,そのようなことを言う。

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