旅客機などの航空機がサイバー攻撃に晒されている危険性
下記の記事が出ている。
'Remote control' computer programs pose terror risks to aeroplanes
news.com.au: April 04, 2011
http://www.news.com.au/technology/remote-control-computer-programs-pose-terror-risks-to-aeroplanes/story-e6frfrnr-1226033003093
過去の事例の中でも,コンピュータウイルスによって墜落させられたのではないかと疑われている事例が既にある。
コンピュータ制御が高度化すればするほど,そのリスクが高まる。
しかし,ジェット機の場合には燃料噴射の制御のためにコンピュータが欠かせないし,現在の複合素材を用いたハイブリッド型の飛行機では機体全体をコンピュータ制御しているのが普通なので,このような状態を前提にする限り,そのリスクを低減させることには相当の困難とコスト負担を伴う。
コンピュータ制御を相当減少させたプロペラ機に戻す必要があるかもしれない。速度が遅く,翼がばかでかく,搭乗可能な人員に大幅な制限が出るかもしれないが,遠隔操作で墜落させられるリスクが高い状態よりは良いだろう。ジェット機よりはメンテナンスが容易だし,燃料の消費が少ないというメリットもある。
なお,このような攻撃の本来のターゲットは,軍用機である可能性がある。軍用機を墜落させるための技術を開発しているのは,もちろん,どこかの「国家」または「国家機関」だ。実際,米軍の無人偵察ロボット飛行機が暴走してしまったため撃墜処分をしたという実例もある(この事例では,制御用コンピュータがハックされた可能性が指摘されている。)。しかし,そのハッキング技術は民間機に対してより簡単に応用可能なものだし,世界には「実際にやってみよう」とする者が必ず存在すると思っている。
ちなみに,このようなリスクは,一般に,スマートグリッドでも言えることだ。それゆえ,工場プラントに対するサイバー攻撃の危険性について識者から何度も警告が出されてきた。にもかかわらず,原発に対する従来の対応と同様,無視され続けている。超大企業においては,福島原発事故における東電の経営者と同様,現実に重大な被害を発生させてしまうまでは「事実」を直視し適切に判断することのできないような傲慢にしてかつ必要な能力を欠いている経営者が少なくないというということを示唆しているのかもしれない。
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