Amazonの障害は,クラウドコンピューティングサービスの信頼に対して重大な疑問を発生させている
下記の記事が出ている。
Amazon's Trouble Raises Cloud Computing Doubts
New York Times: April 22, 2011
http://www.nytimes.com/2011/04/23/technology/23cloud.html
Amazon's Cloud Problem, and Why It Matters
PC Magazine: April 22, 2011
http://www.pcmag.com/article2/0,2817,2383980,00.asp
サービス停止が長引けば,Amazonの決済システムを利用している企業(利用者)が倒産するといった事態が発生する危険性がある。
その場合でも,Amazonn自身は,免責約款により,何らの法的責任も負わないことになるかもしれない。
ただし,一般的な約款では,ベンダに故意または重過失がある場合には,免責約款を適用しないこととする条項が設けられていることも珍しくない。
今回の事故の詳細はまだわからないが,これだけ重大な結果を発生させておきながら,Amazonが免責約款による免責を主張することは,信義則上許されることではない。
AmazonのEC2のような巨大なパブリッククラウドコンピューティングサービスというものは,「もし事故を起こせば世界全体に対して非常に深刻な悪影響を及ぼす可能性のあるビジネス」なので,可能な限り免責を認めない方向で法解釈論を考えるのが正しい。もしそれがいやだというのであれば,そもそもビジネスを開始しなければ良いのだ。自分がやりたいことを好きなだけだけやっておいて,利益があがれば当然のこととしつつ,もし利用者等に対して損失を発生させた場合には何の責任も負わないということは,企業の社会的責任を論ずるまでもなく,余りにも無責任なことであり,社会的にも法的にも許されることではない。
このことは,原発事故でも全く同じだ。
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http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/amazon-70cf.html
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