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2011年3月31日 (木曜日)

耐震性偽装について厳罰と全財産没収を法制化すべきではないか

耐震偽装関係の判決があった。

 2建築士に賠償命令 マンション耐震偽装 福岡地裁判決
 西日本新聞: 2011年3月25日
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/233531

 姉歯元建築士に賠償命令 偽装物件住民へ1億5千万円
 共同通信: 2011年3月30日
 http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011033001000711.html

国や自治体等が地域の防災性を高めようとどんなに努力しても,耐震偽装があったのではどうにもならない。

私は耐震偽装が現時点でも全国各地で続いていることを知っているし,建築関係の人間であれば誰でも知っている。単に発覚していないだけのことだ。自治体の担当者が買収されてしまっていたり,情実があったり,無能で見抜かなかったりといった事例はいくらでもあると推定される。とりわけ,介護施設や幼稚園等に関しては補助金が出るということから建築ラッシュが続いているが,手持ち資金がほとんどないのに補助金目当てで介護施設や幼稚園等の業務に参入する者が多いことから,耐震偽装が多発しているものと推定される。

そのような問題について,民事賠償責任を問うことは可能だし,現実の上記の記事のように原告(被害者)勝訴の判決を得ることができる。

しかし,被告(加害者)には支払能力がないことが一般的なので,判決は「ただの紙切れ」になってしまうことが珍しくない。

そのような場合に,国が補償するとすれば,ただそれだけで国の財政が完全に破綻してしまう可能性が高い。国は,国民の税金を管理する金庫に過ぎないこと(国庫説)については何度も書いた。金庫に入れるお金は国民の財産(税)なので,理論的には,「国民全員が被害者となる場合には,誰も補償されることができない」という論理的関係が常に成立する。これが国家賠償や国家補償そして社会福祉の理論的限界なのだ。潤沢に税収入がある場合にのみこれらの制度は正常に機能する。

私見によれば,このようなタイプの問題については,死刑や無期懲役刑を含め,厳罰と全財産の没収によって対処するしかない。

損害の賠償を得ることが全く期待できない場合,加害者に対し,国として強烈な報復(刑罰)を加えることなしに社会の安定を得ることはできない。刑法学説上では,刑罰の本質について,「応報」という考え方に反対する者もある。しかし,それは人間と社会の本質を知らない者の見解であり,私は全く賛成しない。応報なしには社会が成り立たない。

とりわけ,耐震偽装がある場合,殺人,傷害,放火,建造物損壊等の未必の故意があるものと推定すべきだろう。未必の故意がない場合とは,精神的に問題のある場合等に限られるので,そのような場合には単に資格を剥奪するというだけではなく,精神病等の専門家による治療を強制できるような法制整備もしなければならない。

法制度を全面的に見直すべきだ。

[このブログ内の関連記事]

 救済と無救済との限界点
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-d81e.html

 首都圏の湾岸地域では新潟大地震の教訓が活かされていたか?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-f9ae.html

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