遺伝子組み換え生物等の管理は大丈夫か?
企業や研究機関などでは遺伝子組み換え生物の研究・応用・利用が盛んに行われている。
人工的につくられた生物については,人類社会及び自然環境に与える影響が未知数であるため,法律により厳重な管理が求められており,その実施のための細則も定められている。
遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令
(平成116年1月29日財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省令第1号)
研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令
(平成16年1月29日文部科学省・環境省令第1号)
これらの省令が遵守されているかどうかは不明だが,仮に遵守されていたとしても問題がないわけではない。
例えば,今回の福島原発から半径20キロ以内のところに遺伝子組み換え生物の研究施設等があったと仮定した場合,現時点では,そこを管理する者が避難してしまっており,誰もいないはずだ。つまり,無管理状態にある。地震・津波による被害がどれくらいあったかもわからないだろう。もし海浜にこのような施設があった場合,津波で全部流されてしまい,遺伝子組み換え生物が自然環境に放流されてしまったことになる。
しかしながら,上記の省令は,基本的に,大規模災害がない状態で遵守可能なことしか定めていない。
震度7程度の地震及び高さ30メートル程度の大津波でも全くびくともしないような施設であり,かつ,被災後に停電等があっても長期間にわたって自立的に管理可能な施設でなければ安全とは言えない。とりわけ,電気で作動するモニタなどで管理し,管理情報を通信により遠隔地でチェックするような施設は笑止と評価するしかない。
今後,遺伝子組み換え生物の管理施設に関しては,原発に適用されるのと同程度以上の厳格な規制を設けるよう,早急に法改正作業と取り組むべきだと思われる。
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