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2011年3月24日 (木曜日)

福島原発の復旧作業に従事している作業員には労災の適用がないとの報道について

下記の記事が出ている。

 現場に踏みとどまる原発作業員に「死の危険」 仏専門家が増援呼び掛け
 産経ニュース: 2011.3.24
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110324/dst11032407030010-n1.htm

この記事では,フランスの准教授(日本社会学)が,「原発作業員が白血病などを発症しても、めったに労災と認定されないと批判」していると報じられている。

誤報ではないが,このフランスの先生の見解は間違っている。日本の労災実務についてよく知らない人の素人的な見解に過ぎないので,無視すべきだろう。

また,東電の法的責任についても触れているが,私見によれば,法人としての東電の損害賠償責任は免れようがないと思われるし,取締役(元取締役を含む。)等の第三者に対する責任としての損害賠償責任も免れようがないと考える。

一般に,「想定外」と言えば一切免責されるといった俗物的な解釈があるが,これは間違いだ。想定すべき場合に想定しなければ,予見義務違反として損害賠償責任を負うのは当然のことだ。そして,今回の大津波等については,当然,予見すべきであったと考える。随分と以前から巨大津波の可能性については識者によって指摘されていたし,歴史上の資料も山ほどある。それを知らないのは,単なる無知・無教養に過ぎない。

なお,私見に反する裁判所の決定(福島原発へのMOX燃料の持ち込み差し止めに関する事件)もあるが,担当裁判官は,自らの不明と無知・無教養を恥じ,かつ,もし差止を認めていれば3号機の復旧についての困難が大幅に軽減されただろうということを正しく認識し,その原因の一端を裁判官である自分がつくりだしているということを深く反省して,即刻依願退官すべきだと思っている。この決定は,明らかに誤判(経験則違反)であることが現時点では明らか(公知)になっているので,再度の申立をするか,または,民事再審の申立がなされてしかるべきだと考える。


[追記:2011年4月28日]

関連記事を追加する。

 35年間で10人労災認定 原発労働者のがん
 共同通信: 2011/04/28
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042801000030.html

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