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2011年3月 8日 (火曜日)

サイバー攻撃があった場合,政府や主要なプロバイダは接続を遮断すべきか?

下記の記事が出ている。

 Could the UK Government shut down the web?
 Independent: 8 March 2011
 http://www.independent.co.uk/life-style/gadgets-and-tech/features/could-the-uk-government-shut-down-the-web-2235116.html

あくまでも一般論だが,脅威が現実化した場合,接続を遮断してしまう(または,システムを停止してしまう)ことにより,脅威を無効化することが可能だ。

しかし,電気通信事業者は通信を確保すべき法律上の義務がある。

理論上の選択肢は何通りか考えることができるだろう。

例えば,可能な限り接続を維持するようにふんばるという選択肢がある。少なくとも,電気通信事業法上では,電気通信事業者には重要通信を確保すべき法律上の義務がある。この場合,一般の通信を切捨てでも重要通信を確保しなければならないことになるが,その目的で切り捨てる場合には電気通信事業者としての義務を遂行しているだけのことなので,適法行為となる。

しかし,通信の接続を維持しようとする限り,通信システム全体が崩壊してしまうというギリギリの場面では,重要通信も切り捨てなければならない。そうでなければ,脅威が去った後に通信サービスを回復することが物理的かつ全面的に不可能となってしまうからだ。これは,緊急避難等の違法性阻却事由の問題として考えることができる。

そして,通信事業者である限り,身体・生命の危険から免れることができないという事態に立ち至ったときは,事業を放棄または破壊することも許されることになるだろう。これまた緊急避難等の違法性阻却事由の問題だ。

さて,このような事態は発生するだろうか?

きっと発生する。

そのようにイメージできる人にとっては,上記の記事に興味をもつことができるだろう。

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