仮説:江戸川から取水している浄水場で高濃度の放射性物質が検出された原因
あくまでも素人の仮説だ。間違っているかもしれない。しかし,これまでさんざん苦労して続けてきた植物学や生態学等の領域に属する事項について研究を重ねてきたことにより得た知見に基づく仮説だ。
北茨城などの河川のように福島原発に近いところでは,放射線量が相対的に多くなることは絶対値の相違として理解することができる。
しかし,遠く離れた江戸川等で高濃度の放射性物質が検出された原因については,謎とされている。
気象学者は気象条件に原因を求めるだろう。たしかに,それもあるかもしれない。
私は,河川の構造にそれを求める。
江戸川は,人工的に構築された河川だ。最初からそうだし,現在でもそうだ。本当は運河と呼ぶべき存在なのだ。
その結果,自然の河川敷がほとんどない河川となっている。
自然の河川敷が十分にある河川では,河川敷に植物が大量に生えるし,河川の中にも水草が生え,植物プランクトンなどが大量に存在する。
そのように植物が大量に存在する河川では,河川から水分を吸収する植物が放射性物質を吸収して溜め込み,一時的に放射性物質のダムのような役割を果たしている可能性がある。もちろん全量を吸収することはあり得ないが,その吸収量は馬鹿にできないレベルに達しているのではないかと思う。その結果,植物は被爆していることになるので,ちょうど受粉時期の植物等には何らかの影響があるだろう。しかし,自然界では,突然変異を起こしても,生存能力の乏しい個体は淘汰されてしまうので,全体としてみるとそんなに大きな影響が発生しないのだ。また,ヨウ素131については,半減期がかなり短いので,植物の中に蓄積されている間にどんどん半減期に到達してしまうことが考えられる。
このようにして,放射性物質が降り注ぎ,雨と一緒に河川に集まってきても,植物が豊富にあるところでは,自然の力で汚染を抑制する自己回復力のようなものがあるのではないかと思う。
人類が地上に登場するずっと以前から植物は存在した。そして,地球の長い歴史の中で,火山活動の結果として地下にある放射性物質が地上に降り注ぐこともきっと何度となく繰り返されてきたことだろうと思う。そのような状況の下では,放射線に弱いタイプの植物は生き残れない。そうやって,淘汰が発生し,現在生き残っている植物は,基本的にある程度の放射線耐性を(遺伝子レベルで)有しているものばかりになったと推定することができる。
もともと全ての生物の祖先は,深海の無酸素でとんでもない有害物質だらけの熱水の中で誕生したと考えられており,もしそうであるとすれば,ほとんど全ての生物について,遺伝子のどこかにそのような過酷な環境でも生き延びることのできる遺伝子を子孫に伝えるための仕掛けが残されていると推定することができる。
自然界というものは実に巧妙につくられている。
しかし,江戸川ではそうではない。おそらく,隅田川でも下流域ではそうだ。
最初に述べたとおり,以上は,あくまでも素人の仮説だ。完全に間違っているかもしれない。専門家による研究を待ちたい。
そして,もし私の仮説が正しいとする場合,今後の浄水場計画ばかりでなく河川管理にも根本的な再考が求められることになるだろう。
例えば,河川は,相当広い河川敷をもつものとして改修されなければならない。そのためには,都市を流れる河川の両岸にある住宅地などを強制収用し,河川敷として居住禁止区域にする必要がある。
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