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2011年3月 4日 (金曜日)

米国:機密性の高い政府業務に従事する職員に対する身辺調査は合憲との連邦最高裁判決

うっかり見落としていた。下記の記事が出ている。

 US Supreme Court says NASA background security checks do not go too far
 Network World: January 19, 2011
 http://www.networkworld.com/community/node/70825

NASAのジェット推進研究所などの業務に従事する職員が,身辺調査(麻薬使用の有無,性生活など)を受けたことがプライバシー侵害に該当し,憲法違反になるとして提訴していたもの。

米国では,かなり昔から,政府職員(特に機密性の高い業務に従事する職員)に対する身辺調査が実施されている。

日本でも同様のことが全くないわけではないが,かなり甘い。地方自治体等では,縁故採用等が普通だった(おそらく,縁故採用そのものが身辺調査の代替として考えられていたのであり,身辺調査と同程度の確実性をもっていると考えられていたのだろうし,当該地域に居住しない者が身辺調査しようとしても地元住民が必ずかばうので身辺調査が実際には実施不可能だったという事情もあるのだろう。GHQの政策による影響もあるだろうと推定される。)。

そのため,現実にかなり問題のある者が公務員として採用されてしまうことがあるし,外国等のスパイが入り込んでしまっている可能性がかなり高い。

なお,一定の場合には,従業員に対する身辺調査をする必要があり,合憲であるとの判断については,私は基本的に賛成だ。

問題は,通常は,トップに対する身辺調査が実施されることはないという点だ。何しろ,身辺調査を命ずるのはトップだ。したがって,もしトップが外国のスパイ等であった場合,スパイであることを暴こうとする従業員を見つけ出し,排除するために身辺調査が実施されかねない。

トップが「悪」である場合の対処を常に考えなければならない。

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