パブリッククラウドサービスが特許侵害となる場合のリスクについて,次第にまじめに検討されるようになってきたようだ
このブログでは,パブリッククラウドサービスに何らかの特許侵害がある場合(または特許侵害があるとして提訴され暫定的差止命令が認められた場合)などに,その利用者には何ら特許侵害がないのに巻き添えをくって何もできなくなってしまうというリスクがあることを指摘してきた。
これまでのところ,上記の私見はあまり評判のよい意見ではなかった。
なにしろ自社製品や自社サービスに特許侵害その他の違法行為がある場合を前提にした議論は誰もやりたがらない。つまり,想定したがらない。
これは,想定外なのではなく,想定可能であり想定すべきなのに想定していないだけのことなので,過失責任を免れない。
それでも,あまり真面目に議論されてこなかったことは事実だ。
しかし,最近になって,この関連の論説等が少しずつ増えてきたように思う。たまたま下記の記事をみつけた。
A Big Google Problem: 37 Android Related Patent Disputes
ReadWrite: March 23, 2011
http://www.readwriteweb.com/cloud/2011/03/37-android-related-patent-disputes.php
Android May Have Bigger IP Issues than Java
SYS-CON Media: Mar. 21, 2011
http://www.sys-con.com/node/1758945
日本でも少しはまじめに検討してもらいたいものだと思う。リスクマネジメントとは,マネジメントの主体が崩壊するかもしれない場合や,マネジメントの主体が「悪」である場合も想定するのでなければ,何もしていないのと同じだ。
[このブログ内の関連記事]
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http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-9891.html
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http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/microsoft-word-.html
Oracleが,Googleに対し,AndroidがOracleの特許を侵害しているとして,提訴
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/oraclegoogleand.html
米国:連邦司法省が,AppleやMicrosoftを構成員とするパテントプール組織MPEG LAがGoogleのVP8の市場参入を不当に妨げており,独占禁止法違反の疑いがあるとして調査開始
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/applemicrosoftm.html
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