車両の安全に関する法規制を根本から見直すべきだ
テレビの痛ましい映像を何度も目にしている国民が少なくないと思う。
人が乗ったまま流されていく自動車が多数あった。その中で奇跡的に助かったものもあるけれども,多くは犠牲者になってしまったのだろうと推測する。本当に痛ましいことだ。
随分以前から指摘されてきたことだが,現代の自動車には重大な問題がある。
それは,ほとんどの機能が電化されているということだ。
津波や洪水の際には,自動車の電気系統がショートして使えなくなる。その結果,運転できなくなることはもちろんのこと,パワーウインドウが作動しなくなるので,窓をあけて脱出することもできなくなる。ドアは水圧のためにほぼ100パーセントあけることができなくなっていると考えたほうが良い。
このことは,海岸や河川への自動車転落事故でも同じで,水没していく自動車から脱出することが著しく困難または不可能になってしまっている。
もし手動で窓をあけることができたら,死ななくても済んだ人が多数あるだろうと想像する。
そこで,パワーウインドウを禁止しろとは言わないが,手動で窓を開けることのできるメカニズムを必ず装備するように法律や関連政令等を改正すべきだと考える。
原発トラブルでもそうなのだが,何でもかんでも電気に頼りすぎること,そして,電気を利用した自動安全装置に信頼を置きすぎることは非常によくない。
いざというときは手動で対応できるようなフェイルセーフを社会の隅々まで確保することが,地震や水害等の多発国である日本が生き延びるためには必須であると考える。
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コメント
koneko04さん
お久しぶりです。
自動車の窓を割るためにレンチのような道具はホームセンターなどでも売っていますね。確実に割れると思います。
ただ,人間の心理を考えてもらいたいと思います。日本人には「もったいない精神」のようなものがあります。だから,これだけ狭い国土で乏しい資源しかないのに生きていられます。ところが,そのもったいない精神が,危機状況の下では逆の方向に作用します。今回の震災でも,買ったばかりの自動車がもったいないと取りに戻った人が犠牲者になっているという例が多数あります。
さて,窓から脱出しなければならない場面でも,このもったいない精神が逆に作用します。パニックになっているはずなので,仮に破壊用の道具を装備していてもそれがあることが頭の中からすっぽり抜けてしまうこともあり得ると思いますが,仮にそれを手にしていても,できれば破壊せずにあけられないかと必死に電動スイッチを押し続け,脱出のタイミングを失ってしまうということもあり得ると思います。
こうした日本人特有の心理を考えると,破壊用具を装備するだけではなく,手動で窓をあけられるような仕様とすることを義務化することが効果的だと考えます。
ちなみに,一般の人はセキュリティの感覚がそれほど鋭敏とは考えられませんから,破壊用の道具を常時装備している車両は相当少ないのじゃないかと思います。それでも脱出可能な仕様を義務付けることが行政の仕事というものでしょう。
投稿: 夏井高人 | 2011年3月20日 (日曜日) 08時58分
夏井先生♪
お久しぶりです。
たまに大雨が降ることがある南カリフォルニアにおりますので、運転している時に鉄砲水に巻き込まれた際にパワーウィンドウを割って逃げることができるようにと、車の中にボールペンを何本か置いてあります。
何年か前にテレビのニュースで、車の中に窓を割る道具を常備した方が良いと言っていたので、その通りにしています。
ここまで書いて思ったのですが、ボールペンでは窓を割ることが出来ないかもしれないので、今後はステンレスで出来たレターオープナーでも運転席の横に置くようにします。
投稿: koneko04 | 2011年3月20日 (日曜日) 08時27分