防災用品の日用品化-例えば,今後は家庭用蒸留水製造装置を安価で供給できるよう製品開発をするべきではないか?
大震災があると,基本的に,電気,ガス,水道が使えなくなる。
これらの中で水道の問題は深刻で,水がなくなると人間は生きていられなくなる。
しかし,被災地においては,放射能だけではなく,その他様々なもので汚染されていない綺麗な水を獲得することが非常に困難だ。なぜなら,店舗や倉庫が被災したり,物流もストップしたりしてしまうため,ペットボトルの水などを購入することができなくなってしまうからだ。
一般には,防災用として,非常時のためのペットボトルを買い置くことが推奨されたりする。
しかし,日本のどこかで大震災があったときは国民の防災意識が高まり,防災用品の購入や備え置きが促進されるけれども,特に何も災害のない日々が続くと,人々はそれを忘れてしまう。そして,販売実績がふるわなくなると,防災用品を製造している会社でも製造個数を減らしてしまい,在庫も必要最小限のものとなってしまうということが繰り返されることになる。
そこで,日用品として普段から使える防災用品を考えることが今後重要になるのではないかと思う。
水の問題に即していうと,放射能の問題が全くなくても,水には様々な物質が溶け込んでいるので,それを除去するためのろ過装置などが販売されている。水道水でも殺菌のための塩素が含まれており,それを嫌う人はろ過装置で塩素分を除去している。
しかし,家庭用の普通のろ過装置ではすべての化学物質をろ過できるわけではなく,個々の製品の性能には相当のばらつきがある。
この問題を解決するために,蒸留水製造装置の利用が考えられる。
蒸留水であれば,一般的に含有されている可能性のある化学物質はほぼすべて除去可能だし,細菌等も全く含まれていない水を得ることができる。
最悪の場合,川の水や雨水でも,それを蒸留して得た水であれば,基本的に無害なものとして利用できるだろう。
例えば,ガスまたは電気を燃料とし,非常時には卓上ガスコンロ用の小型ボンベを用いることもできる蒸留水製造装置のようなものがあれば,家庭で蒸留水を製造することができる。
頭がよく器用な人であれば,手持ちの道具を組み合わせて簡易な蒸留水製造装置を組み立てることができるだろうが,普通の人には無理かもしれないので,普段から使える蒸留水製造装置を提供することには意味がある。
なお,蒸留水は,飲料として用いる場合にはあまり美味しいものではないが,料理や炊飯のために用いる分には特に問題はないだろうと思う。
そして,とりわけ,乳児に与える粉ミルクを溶かすための水として,ミネラルウォータではミネラル分が多すぎて乳児には負担が多く,問題があるとされているが,蒸留水であればそのような問題は発生しない。そのことから,粉ミルクを溶かすための水を製造するための装置としての需要もあるのではないかと思う。
この記事では,水の問題に絞って私の意見を書いた。
しかし,一般モデルとしては,「防災用品は,できるだけ防災用品でないことが望ましい」ということになると思う。
普段日用品として使われているものが防災用にも利用可能であれば,防災用品として普及し,どの家庭でもすぐに使える状態を維持することができる。
これに対し,防災用に特化されたものは,普及率に限界があり,いざというときにはどこにしまいこんだかわからなくなってしまったり駄目になってしまっていたりして,使えないということが起きる。
「防災用品の日用品化」をこれからのキーワードにすべきだと思う。
そして,防災力の高い社会を構築しなければならない。
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(参考:順不同)
ADVANTEC: 蒸留水製造装置一覧
http://www.advantec.co.jp/japanese/hinran/01_30.html
テックジャム: 純水装置全販売商品リスト
http://www.tech-jam.com/science-equipment/demineralizer/index.phtml
ヤマト科学: 純水製造装置
http://www.yamato-net.co.jp/product/science/water/index.htm
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