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2011年3月23日 (水曜日)

地震を周期で考えるのはやめにしたらどうか

「1000年に一度」とか「100年に一度」という表現をよく耳にする。

これは,極めて不正確で曖昧な表現だと思っている。

1)歴史上の記録は正確性を担保されていない(そもそも記録されていないことが多い。)。

2)地震のメカニズムがまだはっきりしていない(おおまかな理論はあるが,個々の地震発生のメカニズムはまだまだよくわかっていない。)。

一つめの理由により理解できることは,そもそも元データがはっきりしていないのだから,周期性のものと理解するほうがおかしい。頭が悪いとしか言いようがない。

二つめの理由により理解できることは,周期性を説明するための理論それ自体に信頼性がないということだ。

個々の地震の発生原因として,もぐりこむ側のプレート上にある海山が崩壊する場合などがあげられることがある。確かに,そのような場合はあるだろう。しかし,海山は規則正しく一定の間隔で並んでいるわけではないので,この原因により地震が発生する場合には,むしろ不規則になるはずだ。つまり,この説によれば,周期性説は否定される。

また,火山性の地震については,火山活動がどのような原因で活発になるのかがよくわかっていないことから,周期性説を肯定する根拠には絶対にならない。

「1000年に一度」とか「100年に一度」は,周期性説による表現である限り完全に誤った表現であることになる。また,周期性説をとらなくても,「1000年間は地震が同程度の地震が起きない」とか「100年間は大丈夫」とか,誤った理解を広めることになる。

おそらく,「1000年に一度」とか「100年に一度」という表現は,平均値としての頻度としてはそうだということくらいしか意味していない。要するに,確率論の一種として理解することができる。そうであるとすれば,仮に1000年に一度の確率それ自体が正しかったとしても,例えば,最初の10年間で毎年巨大地震が発生し,そのあとの9990年間は何も地震がない場合でも同じ確率となるはずだから,「同程度の地震がすぐにやってくることはない」というとを全く意味していないことになる。

私が言いたいことはこれで理解できだと思う。

地震の専門家は,数学に強い人が多いはずだから,「確率」や「平均値」というものの意味を正しく認識しているはずだ。

ごまかさないで対応してほしい。

正しい防災対策は,「歴史上資料が残っている最大級の災害が発生したとしても耐えられるようにする」ということに尽きる。

「最大級の災害は当分の間やってこない」などという保障などどこにもない。

今後は,そのようなつもりで防災政策の根本的な見直しをしてもらいたいものだと思う。

もちろん,それには巨額のお金が必要になる。

しかし,予見可能なのに予見しないで「想定外」という扱いにし,原発事故を発生させてしまうと,防災に要するコストの何倍~何万倍もの損害賠償責任等が発生する。それよりははるかに安いのだという当たり前過ぎるくらい当たり前のことを正しく認識すべきだと思う。

防災力が高く,かつ,冗長性のある社会を目指すべきだ。

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