金町浄水場から放射性物質が検出されたことについて
東京中がパニックになっているかもしれない。
問題点はいろいろあるが,大事な点を幾つか指摘したい。
1) 金町浄水場は,どうして給水停止にしないのか?
東京の上水道システムは,コンピュータ制御されており,一つの浄水場が駄目になっても他の浄水場からの給水ができるように水圧を調整するシステムが導入されている。金町浄水場からの給水を停止しても断水にまで至ることはないので,直ちに停止すべきだった。それをしないのは,都知事以下,行政に危機管理能力がないことを意味している。
2) ミネラルウォータ等を粉ミルクをとかすために使ってはいけない。
一口にミネラルウォーターと言っても多種多様なものがあるが,基本的には,普通の水道水よりもミネラル分が多く入っている可能性がある。これは,乳幼児にとっては摂取過多となり負担となる。また,ひとくちに天然水と言っても多種多様なものがあるが,中には不純物の混じっているものがある。だから,一般的には,ミネラルウォーターや天然水を用いて粉ミルクをとかすことは好ましくないとされている。
育児用粉ミルクをミネラルウォーターで調乳するのはやめてください
ほほえみクラブ:育児情報ひろば
http://www.meiji-hohoemi.com/mamapapa/history/0311index.html
それじゃあ,乳幼児を抱えた母親はどうしたらよいのか?
乳の出る人は,自分がミネラルウォーターを飲み,母乳で育てることに専念するという方法がある。
乳の出ない人の場合,もし蒸留水をつくる方法を知っているのであれば蒸留水をつくればよい。知らない場合には,ネットで検索して試してみるしかない。
どちらにしても,乳幼児にとって,ミネラルウォーターは救世主とはならないので,それを買うための努力も徒労だということを理解しなければならない。
3) 関東地方も被災地だという感覚を忘れてはならない。
東北地方だけではなく,関東地方も被災地の一部であり,ただ,被災の形態が異なるだけだ。そのことを忘れてはならない。
ガソリンの供給を確実にし,物流を確保することが急務だ。
乳幼児については2で書いたとおりの問題があるが,大人が飲むミネラルウォーターについては,物流が確保されれば買いだめの衝動も少しは冷却されることだろう(製造元には在庫があるが,ガソリン不足で運搬できない。)。
とにかく,物流を確保し,都民等に安心感を与えることが最も重要な対応策のひとつだ。
[追記:2011年3月24日]
関連記事を追加する。
東京都の水道水、乳児の基準範囲内に改善 24日の検査で判明
産経ニュース: 2011.3.24
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110324/dst11032412570032-n1.htm
[追記:2011年3月24日19:50]
ヨウ素の融点は113.6度C,沸点は184.4度Cとされている。水の沸点は100度C前後とされているから,ヨウ素131を含む水道水を煮沸すると,水の分子だけが蒸発してヨウ素131の分子が残り,煮沸後の水の中のヨウ素131の濃度は濃くなる計算となる。つまり,煮沸すると危険性が増すということになる。したがって,水蒸気だけを冷やして蒸留水をつくった場合,元の水道水よりはヨウ素131の含有率が小さな水を得ることが期待可能だと思われる。これに対し,煮沸した後に冷やした水では,ヨウ素131の濃度が濃くなっている可能性がある。そして,その濃度が基準値を大幅に上回る場合には危険であり,飲料として用いるべきではない。
他方,ヨウ素131の融点が113.6度Cということは,普通の水の中では,イオンではなく固体(微粒子)として存在している可能性が高い。これまで実験結果はないのではないかと思うが,活性炭等に吸着させることにより,ヨウ素131の濃度を低下させることは不可能ではないように思われる。ただし,微粒子といっても相当小さなものだろうと推定されるので,活性炭でも吸着できないこともあり得るし,まして,普通の家庭用浄水器で除去することは無理ではないかと推定される。
[追記:2011年3月25日]
関連記事を追加する。
乳児用「ポカリ」増産へ=水の代替需要で-販売元
時事通信: 2011/03/24
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011032400455
[このブログ内の関連記事]
政府は首都圏近郊の輸送手段の復旧を緊急の重点課題としなければならない
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-7c93.html
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