福島第一原発は統制不能状態か?
下記の記事が出ている。
東電、仏に緊急SOS…支援要請は初めて
産経ニュース: 2011.3.29
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110329/dst11032906200005-n1.htm
大地震と大津波があったからこのトラブルが発生したことはいうまでもない。
しかし,本質を見失ってはいけない。
要するに,構造上の欠陥があるのだ。
緊急時に対応するための安全設備のほぼすべてが緊急時には使用不可能になってしまうような構造となっている。
安全装置は,原子力発電所の基本施設とは全く別系統で構築されていなければならないのに,冷却装置は(原子力発電所の基本機能である)タービンが回らなければ作動しない。電気系統は汚染された水で水没しないように配線されていなければならないのに,最も危険な場所ばかりに配線されている。これは,あまりにもひどい「ブラックジョーク」ではないか。
要するに,このタイプの原子力発電所は,すべて存在してはならない欠陥品だ。そして,その欠陥のために,もし重大事故が発生すれば,リカバーすることが基本的に不可能または著しく困難な構造物だと理解すべきだろう。
一律に稼働を停止し,廃炉として埋めてしまい,周囲の半径10キロ程度を立ち入り禁止区域に指定してしまわなければならない。
ところで,このような欠陥品を産み出した原因の一つに,日本の「箱庭文化」があるのではないかと思っている。
狭いスペースの中にできるだけ効率的に様々な部品や設備を詰め込んでしまうのだ。
しかし,このような発想は,「安全の確保」という観点からは極めて危険な発想だ。
安全を確保するためには,相当程度の冗長性が必要だ。最適化という発想は捨てなければならない。
なお,プルトニウム汚染も問題となりつつある。
土壌からプルトニウム検出 「人体に問題はない」福島原発
産経ニュース: 2011.3.28
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110328/biz11032823580029-n1.htm
プルトニウムの問題はどの原発でもあり得ることではないが,福島第一原発では,MOX燃料が用いられている。もんじゅでは,もし同様の大津波等による損傷等が発生した場合,福島第一原発どころではないとんでもなく広範囲に及ぶ重大な被害が発生する可能性がある。
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(余談)
プルサーマルを推進してきた学者や,無条件で「原発は安全だ」と主張し続けてきた学者,政府の審議会や委員会等で危機管理上の重要な指摘があってもそれをすべて黙殺してきた学者らは,日本に生まれたことを喜ぶべきだ。
もしここが独裁者の国だったら,事故発生から今日までの間に,ひどい拷問を受けたあげく公開処刑されてしまっているのに違いない。
それくらい重大な過ちを犯してきたのだということを深く反省し,今後,立身出世・栄達の人生を一切断念して隠遁生活に入り,自分の愚かさを悔やみ,被災者の安全を祈祷し続ける人生を送るべきだと思う。
金儲けのために原発を無条件で許容してきた政治家(特に旧自民党政権当時の国務大臣)もまた同じだ。少なくとも,政治家を廃業しなければならない。
本来あるべきであった国家政策は,総エネルギー抑制策だったのであり,欠陥原発の増産や「エコ」という名の電力大量消費政策ではなかったはずだ。
[このブログ内の関連記事]
原発について,今後どのような対応が必要か?
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-0ce7.html
福井県のもんじゅは大丈夫か?
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-5147.html
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