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2011年3月 4日 (金曜日)

オーストラリア:現行法ではDDoS攻撃の処罰に適切に対応できないとの議論

下記の記事が出ている。

 Anonymous DDoS charges too weak: AFP
 ZDNet AU: 4 March, 2011
 http://www.zdnet.com.au/anonymous-ddos-charges-too-weak-afp-339310749.htm

本当は,日本も同じような状況にある。

しかし,裁判所が非常にルーズで罪刑法定主義に反するのではないかと思われるような判決を出すことがある結果,なぜか処罰できてしまい問題が解消(?)してしまっているような結果となっている。

しかし,これは正しい解決ではない。

本来なら立法的に対処すべきものを法解釈論で対処してしまっている。

モンテスキューが述べているとおり,裁判所は,「法を語る口」であるほうが健全であると思われる。

とはいえ,日本の立法府はどうかというと,何とも評論し難い状況にあることは否定できない。戦前であれば,いつ2・26事件のような事件が起きても全然不思議ではないような状況にあるのではないかと思われる。

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コメント

yamatomさん

学生にはいつも「言行一致」と言ってましたよね。これって難しいんです。

例えば,「教育は愛だ」と言っている教授が,カンニングがあったとたんにひどく感情的になって「徹底処罰」みたいなことを言い出すことだってあり得ることでしょう。

だから,いつも「巧言令色すくなし仁」と言っているんです。

私の言動は,かなりきついです。

でも,誰にもおべっかを使わないし,甘い言葉で騙したりしないから,結果的に現行不一致の状態になる可能性がやや低いのではないかと思っています。

私の生き方はあまり上手な生き方とは言えないし,そんなことしていたのでは企業の中で生きていくことなどできません。

でも,私は大学教授なので,企業内の従業員とは異なる生き方をすることができます。

だから,それに安住しないで,大学教授として筋の通った生き方をしたいと思っています。

とは言っても,大半の人は企業等の組織の中で従業員として生きていくしかない。そして,不用意に本音を口に出せば軋轢が生ずることが多いです。

だから,本当は「沈黙は金」が常に正しいです。

でも,心の中では常に筋のとおった考え方をすることができるようにこころがけたいものですね。

投稿: 夏井高人 | 2011年3月 5日 (土曜日) 18時22分

お忙しい中、御返事ありがとうございます。
話題のカンニングの件は、先生のエントリに書かれていたような電波妨害装置や、愚考の域を出ませんが、受験申し込み時において、受験者と大学間で「試験における不正行為の禁止」と、違反時の個人情報の公開、賠償の規定を定めた契約でもさせておいたりなど、警察が飛び出してくるような事態にするまえに出来ることがあるんではないかと感じました。

今回の大学側の対応が、カンニング手法がネット、携帯電話経由でありその調査(通信事業者へのログ照会)の方便のために被害届を出したように見えたのが、すっきりしない理由なのかもしれません。

先生の仰られるような危機感を持ちながらも、立法が不甲斐ないから法解釈で頑張っている、ならまだいいのですが、恣意的な法運用に味をしめてしまったらと思うと、非常に怖いです…。

投稿: yamatom | 2011年3月 5日 (土曜日) 15時16分

yamatomさん

ありがとうございます^^

どんな法律制度も所詮はツールの一種に過ぎないので,それを使う人次第です。

法律は非常に強力なツールなので,決して濫用があってはならないのですが,人間がそれを用いるものである以上,濫用を防止することは不可能です。

法の担い手が法律を濫用した場合というのは,モデル的には「トップが悪である場合」の一つのパタンとして理解することができます。

今後の世界では,上司やトップが悪である場合,どのように対処すべきかを真剣に考えなければならないでしょう。リビアのように血でもって対処しなければならないというのは悲しいです。しかし,タイのようにいつまでも政治的混乱が続くようでも困ります。

おそらく,政治学上の諸々の基本理念を根本から見直すところから始めないと,何も解決できないだろうと思っています。

今回のカンニング事件を含め,業務妨害罪の適用を柔軟に考えることそれ自体については否定的ではありません。しかし,本当に処罰でもって対応すべき事柄(実害が発生している場合)と,そうでない事柄(危険しか発生しておらず,実害はない場合)とをしっかりと見極め,その相違に適切に対応した適用を考えないと,結果的に非常にまずいことになってしまうかもしれませんね。

投稿: 夏井高人 | 2011年3月 5日 (土曜日) 06時41分

法律をかじった程度の知識でしかない私でも、近年の日本の司法・行政の立ち遅れは、危機感を覚えます。実は先生のサイトを私が再び発見したのも、岡崎市立図書館事件(librahack事件)で紛糾している最中、高木浩光さんのサイトを見ていて偶然流れ着いてきた、という経緯です(私もAnonymous cowardですが、Twitterで放言してました)。
学生時代ご指導頂いた際、『ウイルスを作ることを処罰できないか』と某メディアの記者が先生にインタビューをしてきた、という笑い話が思い出されます。
10年という月日がたって、不正指令電磁的記録作成罪が議論されているのを見ると、流石にどうかと思います。しかも、なんだか、また爆弾抱えた変な悪法になりそうな懸念が払拭できません。
立法には……期待はできないんでしょうねぇ…。

最近、体調を崩されたとのこと、お大事になさって下さい。

投稿: yamatom | 2011年3月 4日 (金曜日) 22時03分

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