英国:ファイルシェアリングに関する訴訟で,ACSが違法行為を証明できない可能性
法律事務所が適法行為だと考えて実行した措置が,裁判所によって違法行為として扱われる可能性が出てきた。下記の記事が出ている。
ACS:Law faces county court charge over file-sharing case
Guardian: 17 March 2011
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/mar/17/acs-law-file-sharing
違法なファイルシェアリングによって著作権侵害があったことを証明できなければ,ACSから加害者と目される者に対して和解金を支払って解決することを強要するような通知を出す行為が逆に違法行為となる。
もともと,裁判所の判断に基づく仮処分命令ではなく,単なる私人である著作権管理団体から委任を受けた民間の法律事務所がやっていることであり,いわば自力救済の一種なので,その行為の適法性が裁判所によって認められるかどうかはわからないものだった。
法の基本原理の一つとして,法治国家においては,自力救済は,原則として禁止されている。
ACSの件では,英国でインターネットを全く利用していない老人等に対してもACSから和解金を支払って解決するよう強要する通知が届く例が多数あり,社会問題化していた。このような事例では,例えば,実在する他人名義でプロバイダを利用している誰かがファイルシェアリングしていたり(実在する者がインターネットを一切利用していない場合,自分の名義が利用されていることに気づかないことがある。),IPアドレスを偽装しながらファイルシェアリングしていたりしたということがあったのではないかと推測される。
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