金のかからない選挙
「金のかからない選挙」が実現可能と考える馬鹿が多すぎる。
政治的理想を実現することは,たった一人ではできない。たった一人では国会で議案を提出することもできない。議案を可決するためには議院の過半数を有する議員と協働する必要があり,個人の意見よりも協働する集団としての意見が当然優先される。つまり,個人としての選挙公約は常に無視されまたは劣後的に扱われることになる。そして,一定規模の集団を組織として維持するためには政党が必要であり,その維持のためには莫大な経費を要する。
つまり,政治とはもともと莫大なお金がかかるものであり,そのお金をかけていなければ,選挙活動をすることもほとんど不可能となる。
もちろん,例外的に,辻説法方式で当選する議員もあるが,どの会派にも属さない個人のままでいると,当然のことながら,単に議院として議院歳費をもらってのんびり暮らせるというだけのことで,議員としての活動は何もできないのに等しい。少なくとも,国会内での発言権は実質的にみてゼロだ。このような場合,要するに,何もできない無為徒食の者に対して巨額の議員歳費を税金から支払い続けているのと同じことになるから,「金のかからない選挙」よりももっと悪質な結果が生ずることになる。
「金のかからない選挙」が実現可能だと思うのは自由だが,妄想に近いことであり,絶対に実現できない。
もちろん,その金の生み出し方や管理の方法に違法行為や不正行為あるいは脱税行為等があってはいけないことは当然のことなので,誤解のないようにお願いしたい。ここで言いたいのは,「相当大きな資金なしには何もできない」ということだけだ。
このような問題を避ける方法はある。
それは,国会議員の数を相当圧縮することだ。各議院でそれぞれ議院定数を50名程度とし,かつ,選挙区については全て1個の全国区にすればよい。そうすれば,政党としての規模が小さくても済むだけでなく(過半数を支配するためには25人以上を維持できれば良い。),選挙区毎の投票価値の格差が消滅するので違憲の問題が発生しない(地方区がないので,選挙区毎の投票価値の格差が発生しない。)。そして何よりも,議院歳費の支出を大幅に減少させることができる。加えて,社会の中から精選された50人ということになるので,単にウケが良いとか,威勢がよいとか,演説が上手だというだけでは絶対に選挙で当選しないことになるだろう。
しかし,この解決策の問題点は,現在の国会議員がこのような解決策を受け入れる可能性が皆無だということだ。
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