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2011年2月22日 (火曜日)

金光 寛之・松藤 保孝・松嶋 隆弘編著『農業株式会社と改正農地法-法務と税務』

下記の書籍の寄贈を受けたので,読んでみた。

 金光 寛之・松藤 保孝・松嶋 隆弘編著
 『農業株式会社と改正農地法-法務と税務』
 三協法規出版 (2011/1/15)
 ISBN-13: 978-4882602194

農業株式会社に関しては,幾つかの論文等が公表されているが,まとまった書籍には乏しかった。

今後,同種の書籍が刊行されるだろうと思われるけれども,会社法との関係を含め関連分野について適切に言及がなされており,税務についても詳細に書かれた書籍はそんなに多くは出ないだろうと思われる。

内容的には概説の部分とQ&A形式で項目別に解説を加える部分とに分かれており,読者の需要に応じた使い方が可能だろう。

世界的な食料需給関係のアンバランスが続いており,一般的には,人口の増加に食料の供給が追いつかないばかりか,開発や環境破壊(特に地下水の人為的な枯渇)等によって世界規模で農漁業に適した場所がどんどん狭まっていく近未来を考えると,農業のあり方それ自体が根本的に変わってしまうかもしれない。そのような状況に対して,農業株式会社という法的枠組みが果たしてフィットしたものであるかどうかは未知数ではあるけれども,これまで利用できなかった選択肢が提供されていることは間違いない。

本書は,その法的枠組みを簡潔に解説するものとして,有用性があると考える。

なお,本書中の記載には,私見とは異なる部分も散見されるが,それは見解の相違というものだろうと判断した。

また,農業株式会社が拡張することは,個人経営の農業従事者を圧迫し,いわば「囲い込み」の一種のような社会的状況を発生させるかもしれない。そして,そのようなタイプの問題については,更に別の角度からの政策論を論じなければならないかもしれないが,それは本書の対象範囲外のことに属すると考える。

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