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2011年2月22日 (火曜日)

トップが裏切り者である場合の情報管理術

現在のマネジメントシステムは,管理主体が「善」であることを大前提としている点で重大な欠陥がある。管理主体が「悪」の場合には,マネジメントシステムは,悪の遂行を最適化するための機能することになる。このことは何度も強く主張してきたことだ。

「そんな馬鹿な」とか,「夏井さんは考えすぎだ」とか「あくまでも机上の議論としてはそうだが」とか,様々な批判を受けてきた。

しかし,「皆さん現実を知らな過ぎるのではないか」というのが私の率直な感想。

企業レベルでも政府レベルでも,トップが悪である事例やトップが裏切り者やスパイであった事例はいくらでもある。最近では,台湾の事例がある。

 台北支局長・山本勲 台湾将軍が中国女スパイと密会 流出の機密情報は超弩級
 産経ニュース: 2011.2.22
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110222/chn11022202550001-n1.htm

日本でも,元首相が中国の美人エリート諜報員と関係があった云々が週刊誌で報道されたことがあるので,他国のことは言えない。また,下記の書籍を読むとうんざりとしてしまう。

 有馬哲夫
 『原発・正力・CIA-機密文書で読む昭和裏面史』
 新潮新書(2008年2月20日)
 ISBN-13: 1978-4106102493

 ティム・ワイナー
 『CIA秘録(上)』
 文藝春秋 (2008年11月12日)
 ISBN-13: 978-4163708003

 ティム・ワイナー
 『CIA秘録(上)』
 文藝春秋 (2008年11月12日)
 ISBN-13: 978-4163708102

こういう具合に,現実には,管理主体が「悪」である例は,本当に多い。その組織で働く労働者は,騙されているとは知らずに「悪」に奉仕し続けていたことになる。

自社が「善」であっても,取引相手が「悪」である場合もある。その場合,自社としては何も悪いことをしていないつもりでも,全体としてみると,取引相手の「悪」の遂行に寄与・関与してしまっていることになる。

あるマネジメントシステムに対する認証もまた,その組織が「悪」である場合には,認証をすることによって「悪」を幇助していることになる場合がある。刑事事件としては故意がなければ有罪とならないのが原則だ。しかし,民事上では過失があれば損害賠償責任が発生するので,よく調べれば「悪」の組織であることを知ることができたのに調査を尽くさないで認証をした場合,その認証機関は,認証を信じて取引等に入り損失を被った被害者に対して損害賠償責任を負うことがあり得る。この認証には,会計監査や内部統制監査等を含む。

これまでの情報管理論の中で完全に欠けていたのはこの部分だ。つまり,自分が所属する組織のマネジメントシステムまたは取引相手等の組織のマネジメントシステムを機能させてはならない場合についての対処だ。

少し先だが,このような場合の対処についてのセミナー講演を引き受けたので,目下準備しているところだ。

[追記:2011年10月29日]

関連記事を追加する。

 台湾の“二重スパイ”大佐に無期懲役
 産経ニュース: 2011.10.29
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111029/chn11102918000003-n1.htm

[このブログ内の関連記事]

 トップが悪である場合の対策はあり得るのか?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-528d.html

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