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2011年2月19日 (土曜日)

利己と利他

世間にはいろんな人がいる。

大人になれない子供のことがいろんな本に書かれているが,真実は,大人になれる子供など存在せず,子供が外側に防御用のカモフラージュを幾重にも重ね着しているだけのことなので,要するに,全員子供だ。ピアジェの心理学では別のことが述べられているが,ピアジェの学説は基本的に間違いだらけではないかというのが率直な感想だ。

「みつごの魂云々」と昔から言うが,人間の本性はいくら大人になってもそうそう変わるものではない。

そして,基本的には,利己的な人と利他的な人がいる。

もちろん,生きていく上で必要なので様々な偽装が施される。

一見利己的に見えるけれども本当は利他的な人もいるし,利他的に装っているけれど利己的な人(偽善者)もいる。

それぞれ個性なので,変えようがないし,そのままで生きるしかない。

問題は,利他的に見えるけれども本当は根っから自己愛しかない人が組織のトップになってしまった場合だ。その人を支持するグループが「騙された」と思ったときにはもう手遅れだ。

幕末~明治維新なら,怒り狂った浪人等が剣をふるって暗殺・・・ということになるのかもしれないが,現代社会ではそういうことは滅多に起きない。

利他的であるということを国家レベルでイメージすると,それは,真の意味での「愛国心」ということになるだろう。

日本国憲法レベルで「利他的であること」は「全体の奉仕者」という表現で書かれている。要するに,公務員のことだ。この公務員には一般職公務員と特別職公務員の両方を含むので,全ての公務員は国民全体に対して奉仕者でなければならない。この語の語源は英語にあり,public servantがそれに当たる。米語では,公務員のことをOfficialsと言うから,日本国憲法における公務員概念のエッセンスは本当は英国流にルーツをもつものかもしれない(起草者であるGHQ担当者の脳裏には英国流憲法のほうが米国流憲法よりも日本にはマッチしているという考えがあったのだろう。日本国において天皇制を廃止して大統領制を導入すると,とんでもないことになると考えていたのに違いない。この考えは正しい。例えば,自分が最も嫌うタイプの政治家を誰か一人選んだ上で,もしその者が日本の大統領になったらと想像してみれば,すぐに理解できることだろう。憲法によって誰も大統領になれないようにしておいたほうが日本国の政治的安定のためにはベターなのだ。日本の一般的な政治家の特性として,もし仮にいったん大統領になってしまうと,私利私欲に走り,クーデターでも起きない限り,どんなことがあっても自らは絶対に辞任しないだろうということは眼に見えている。)。

要するに,公務員は,利他的でなければならない。利他的であることを本質とする職業なのだ。

そのことを忘れてはならない。

ちなみに,企業の経営者についても同じようなことが言えるかもしれない。

利他的なように装う利己主義者(偽善者)に騙されてしまった有権者は気の毒としか言いようがないが,本当に利他的である人かどうかを見極める力がなかった自分の無能と愚かさを嘆くべきだろうと思う。

古い格言だが,ある国において,その国の国民のレベル以上の政治家を生み出すことはできない。政治家のレベルは,国民のレベルを素直に反映している。民主制の下においては,そのことが最も顕著に現れることになる。

政治ではなく,普通の社会生活においてもそうだ。

  「巧言令色すくなし仁」

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