ねんきんネットが運用開始初日からトラブル
下記の記事が出ている。
ねんきんネット、初日から不具合
時事通信: 2011/02/28
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011022800365
このサイトのシステムにはちょっと問題があると思っている。すぐに別のトラブルが発生することになるだろう。私もそのトラブルによって被害者の一員となり得る。最悪の場合,このサイトが存在しているために,年金制度全体が崩壊してしまうこともあり得る。
下記の記事が出ている。
ねんきんネット、初日から不具合
時事通信: 2011/02/28
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011022800365
このサイトのシステムにはちょっと問題があると思っている。すぐに別のトラブルが発生することになるだろう。私もそのトラブルによって被害者の一員となり得る。最悪の場合,このサイトが存在しているために,年金制度全体が崩壊してしまうこともあり得る。
これまで非公開とされてきたCIA博物館の収蔵品の一部が一般公開されたようだ。下記の記事が出ている。
The CIA's antique spy kit
Guardian: 27 February 2011
http://www.guardian.co.uk/world/2011/feb/27/cia-spy-kit
CIA博物館のサイトは下記にある。バーチャルツアーにより収蔵品の一部を見ることができる。
CIA Musium
https://www.cia.gov/about-cia/cia-museum/index.html
下記の記事が出ている。
Mac Trojan uses Windows backdoor code
Register: 28 February 2011
http://www.theregister.co.uk/2011/02/28/mac_trojan_backdoor/
馬鹿げていると思う。
あくまでも冗談だが,「スマートフォンだからケータイじゃありません」と言ってスマートフォンを持ち込む者,同様に,トランシーバやPCを持ち込む者が出てきたら,いちいち(「お前は馬鹿か」と言うと,すぐに名誉毀損で訴えられることになるので)「入試要綱に携帯電話禁止と書いてあるのは,当然解釈として,外部と無線通信することのできる電子機器は禁止という趣旨で・・・」と長々と説明し,議論になってしまったり,あるいは,ありとあらゆる種類の電子機器の禁止を入試要綱に印刷したり,ということになってしまいかねない。
そうではなく,別の解決策があるだろうと思う。
例えば,干渉波を出して無線通信をできないようにしてしまう機器(ジャミング機器等)を校舎内に設置するのが妥当だ。そのような機器は,大学入試のときだけではなく,静粛を要する講義や講演会,期末試験等のときにも利用することができるから,利用価値が高いと言える。
ちなみに,2004年に携帯電話を用いたリモートカンニングが発覚して大きな社会問題となった隣国韓国の報道等をみていると,「いまどき金属探知機も設置しないで入試をしているとは,日本は時代遅れの国だ」という趣旨の嘲るような意見もあるようなのだ。しかし,「金属探知機を設置しないと入試を実施できないほど民力が低いということになるのかもしれない」ということを冷静に再考してもらいたいものだというのが率直な感想だ。
***********************
(余談)
大学では,通常,カンニングがあり得ることを想定し,大学入試でも定期試験でも,カンニングその他の不正行為に対する対応をマニュアル化し,教職員に徹底している。
だから,大学入試でカンニングがあったことが発覚し,それに対して対応することは,予め想定された業務を想定どおりに遂行しているだけのことになる。つまり,業務を妨害しているのではなく,当初からなすべきものとされていた業務を遂行しているのに過ぎない。
そうなると,業務妨害罪の成立は難しいのではないかとの考え方もあり得る。
そもそも業務妨害罪については法解釈上の問題がある。この点については,昨日発行した有料会員向けプレミアムサービスの中で詳しく書いたし,本日発行したニューズレターの中でも簡単に触れておいた。
しかしながら,例えば爆破予告事件などで業務妨害罪の成立を認めることに批判的な意見は少ない。爆破予告があれば,それに対応して捜査活動等をするのは警察の本来的業務そのものなので何も業務が妨害されていないことになるのではないかとも考えられるのだが,そのような意見はあまり耳にしない。私見としては,単純に脅迫罪等で対応すればよいと思うのだが・・・
さて,カンニングだが,もし大学入試のカンニングが偽計業務妨害罪に該当するという見解が正しいとすれば,今後,大学の定期試験でカンニングがあった場合にも,大学としては,当該学生を偽計業務妨害罪で告訴または告発しなければならないということになるだろう。
それでよいかどうかがこの問題を考える際の重要なポイントになるのではないかと思われる。
ちなみに,過去において,司法試験の問題が公開されていなかった当時,過去問題の再現問題集を出版する行為が偽計業務妨害罪に該当するとの見解はなかったように記憶している。もしこれも偽計業務妨害罪に該当するとすれば,司法試験問題を暗記して持ち帰り,出版社や司法試験受験団体等に協力した受験生(現在裁判官,検察官,弁護士となっている者を含む。)は,全員,偽計業務妨害罪の共同正犯であるか幇助犯であったことになるだろう。
[2011年3月1日]
念のため,他の法令違反の罪についても検討してみた。
著作権法上の権利(公衆送信権)の侵害については,著作権法13条1項2号に該当する場合を除き,一応,成立の生むを検討すべき余地がある。しかし,数学の問題については,数式が最適化されたものであればあるほど創作性の余地が乏しくなってしまうので,そもそも著作物ではないということになりそうだ。ここらへんのところは小倉秀夫先生が特に詳しいので,興味のある方は小倉先生のブログで質問してみたらよいのではないかと思う。
私立大学の場合,入試問題であっても,その公開前には営業秘密の一種であると解する余地がある。しかし,カンニングが不正競争行為であると解するのは難しいのではないかと思われる。
軽犯罪法1条31号の適用に関しては,業務妨害罪の場合と同じ問題がある。なお,大学入試は「儀式」とは言えないので,同法1条24号には該当しない。
詐欺罪が成立しないことに異論はないと思われる。他人を騙して役務を提供した場合に詐欺罪を成立させるような立法的解決を図るしかない。なお,カンニングによって不正に入学した者が後になって発覚し入学を取り消された場合,既に支払った入学金や授業料等は不法原因給付(民法708条)となるので,その返還を求めることができない。
このほか,もしかすると,地方自治体の迷惑防止条例の中には該当し得るものがあるかもしれないが,全ての条例を調べているわけではないので,わからない。
要するに,ドイツ刑法のように保護されたデータ一般に対する無権限アクセスや無権限送信行為等を処罰する法令が存在しておらず,特定の法益侵害に該当する場合のみ処罰するものとする法制度しかない日本においては,どんなに「けしからん行為」であっても処罰することができないといういつもの「おきまりのパターン」ということになる。
[追記:2011年3月2日]
ほぼ特定できてきたようだ。関連記事を追加する。
都内2高校生が関与 1人は外で中継 京都府警ほぼ特定
産経ニュース: 2011.3.2
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110302/crm11030213560020-n1.htm
なお,被疑者は未成年者のようなので,少年法の適用がある。
業務妨害罪の適用に困難がある場合,家庭裁判所は,少年法3条1項1号または2号を適用せず,同条同項3号の「ぐ犯」として扱う可能性がある。その場合,リモートカンニングが業務妨害罪に該当するかどうかの判断をしないことになる。なお,該当するとして3条1項1号または2号により対処する場合でも,少年審判が非公開となっていることから,結局,裁判所の判断を知ることはできないだろうと思われる。
かくして,事例としては,裁判所の判断を知ることができない可能性の高い事件となりそうなので,学者が議論して結論を出すしかなさそうだ。
本日,有料会員に発行している Cyberlaw News Letter vol1. no.3 を発行した。この号には,次の論説が含まれている。
無線電子機器による大学入試カンニング
EUにおけるコンピュータ及びネットワークの濫用に対する立法手順
警察庁のサイトで,下記の資料が公開されている。
来日外国人犯罪の検挙状況(平成22年暫定値)
警察庁刑事局組織犯罪対策部国際捜査管理官:2011年2月24日
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kokusaisousa/kokusai/H22_rainichi.pdf
警察庁のサイトで,下記の資料が公開されている。
犯罪収益移転防止管理官(JAFIC)年次報告書(平成22年)【暫定版】
警察庁刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官:2011年2月24日
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/gazo/jafic_2010j_zantei.pdf
有料会員の中でプレミアムサービスの利用登録をしている会員だけに発行している「プレミアムサービス」の正規版第2号を本日発行する。
このプレミアムサービス正規版第2号には,「DDoS攻撃に適用可能な刑罰法令-比較法的検討」が含まれている。
会員制サイトのご案内
http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/Advanced.html
ちょっと必要があって調べていたら,どの刑法学者も必ず引用する非常に有名な注釈書や権威と呼ばれている刑法学者の教科書の中にも著作権侵害部分が存在することを幾つか発見した。
とりわけ,コンピュータ犯罪やサイバー犯罪に関する記述がそうで,例えば,米澤慶治編『刑法一部改正法の解説』(立花書房)の中の記述を,引用としてではなく,自分の文章として書き出版している例が多々ある。
罪と罰を論ずる学者として,まことに恥ずかしいことだと思う。
自分でちゃんと書きなさい。
*****************************
(余談)
この記事を読んで書きすぎだと感ずる読者は,とりわけコンピュータ犯罪の「罪数」に関する記述部分に注目し,上記の書籍の中の該当部分等と照らし合わせてみると良い。
私のブログ記事が「書きすぎ」ではなく,非常に抑制的で最小限のことしか書いていないことを理解することができるだろう。
下記の記事が出ている。
DSD tests Apple iOS for national security
ZDNet AU: February 24th, 2011
http://www.zdnet.com.au/dsd-tests-apple-ios-for-national-security-339310133.htm
この記事で注目すべき点は,「iOSの安全性が確認される見込みだ」という点にあるのではない。
国防のため,OSなどの安全性を検査・確認するための国家的な仕組みが存在するという点が重要なのだ。
しかも,iOはオーストラリアの同盟国である米国の企業の製品だ。
ただし,同盟国であっても例外なく検査をするというところがいかにもオーストラリアらしいということもできるかもしれない。
なお,日本には,このような政府組織はない。国防という観点からすると,世界でも最も「まぬけ」な国家のひとつだということができるだろう。
ドッグイヤーとかラットイヤーという用語は既に古い。現在の新製品の寿命はせいぜい数ヶ月くらいのようだ。新製品が目白押しとなっている。下記の記事が出ている。
Cloud Wars Baffle Simmering Cyber Lawyers
Forbes: Feb. 25, 2011
http://blogs.forbes.com/bretswanson/2011/02/25/cloud-wars-baffle-simmering-cyber-lawyers/
この記事の中では,「サイバー法」のとらえ方について興味深い指摘がある。
なお,このように新製品がどんどん出る状況ではどの企業も初期投資を回収できない状態になるということはこのブログでも既に指摘していたことだ。上記の記事の中でも指摘されている。
私は,このような現象のことを,「全てのカードがババで構成されているババ抜きゲーム」と呼んでいる。ゲームから抜けるには,誰かプレーヤーでない者を引き込み,M&Aによってカードを売り払うしかない。M&Aによってプレーヤーになった者は,ババしかないゲームを続けるか,別の者に売りつけてゲームから抜けるしかない。しかし,ねずみ講と同様,必ず限界がある。世界の経済は,このようにして構成されているので,机上の理論としては,それほど遠くない将来,必ず崩壊する。
ちなみに,プレーヤー企業の経営者が賢い場合,上記のようにして上手にゲームから抜け出すことができるだろう。しかし,その場合,必ず雇用問題が発生する。私が労働法の分野についても研究を重ねている理由の一端はそのことにもある。
[このブログ内の関連記事]
今後のモバイルの動向
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-fc7f.html
下記の記事が出ている。
German law on Internet blocking challenged in Constitutional Court
EDRI: 23 February, 2011
http://www.edri.org/edrigram/number9.4/germany-constitutional-case-web-blocking
機能がかなり限定されており,不評のようだ。下記の記事が出ている。
Google Cloud Connect: The limits of a Microsoft makeover
Register: 26 February 2011
http://www.theregister.co.uk/2011/02/26/google_cloud_connect_caveat/
下記の記事が出ている。
McAfee: 75% Of Organizations Not Confident They Will Pass An Audit, Half Have Already Failed
dark READING: Feb 23, 2011
http://www.darkreading.com/database-security/167901020/security/storage-security/229219094/mcafee-75-of-organizations-not-confident-they-will-pass-an-audit-half-have-already-failed.html
あまりにもひどい状況というしかない。日本の企業も同レベルであると仮定した場合,日本の企業の半数以上については,「絶対に信用してはならない企業」だということにならざるを得ない。
このことは,「企業である」ということだけで,「信用できない」と推定しても良いということを意味することにもなり得る。
そのような状況は絶対に避けなければならない。
他国の企業はともかくとして,日本の企業は,「信頼」こそが生命線だ。
下記の記事が出ている。
Google demotes 'low-quality' websites in search overhaul
New York Times: Fabruary 25, 2011
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/feb/25/google-search-results
この記事によれば,米国内だけで12パーセント程度のサイトが検索結果から除外されてしまう可能性があるらしい。
下記の記事が出ている。
LinkedIn hit as China clamps down on dissident talk
BBC: 25 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12576401
民主化運動を警戒する中国政府(公安)による封鎖が続いている。
この調子で接続できないノードが増えていくとなると,中国内でのネットワーク通信が全くできなくなってしまうような事態の発生があり得る。
中国でもネットワーク通信を利用した受発注やビジネス上の連絡が一般化しているので,接続不能状態が増加すると,最悪の場合,中国経済全体の崩壊が発生する危険性がある。
日本企業は,そのような事態に備え,まだ通信が可能な間に危機管理上の指示を事前に徹底しておく必要があるだろう。
下記の記事が出ている。
Cloud Computing and Patent Trolls: How To Prepare Now
Computer World: February 22, 2011
http://www.computerworld.com/s/article/9210722/Cloud_Computing_and_Patent_Trolls_How_To_Prepare_Now
このブログではずっと前から書いていることと同じ内容なのだが,誰が考えても同じ予測になるということなのだろう。
ちなみに,プライベートクラウドでも同じ問題は生じ得る。例えば,政府に納入されたクラウドシステムが特許侵害物であることはあり得る。この場合,もし差止請求が認められれば,それだけで政府はクラウドを利用できなくなり,政府機能が麻痺することになる。つまり,1発の銃弾も発することなく,一つの国の政府を倒すことができることになるのだ。当然のことながら,企業においても,全く同様ということになる。
[追記:2011年8月23日]
関連記事を追加する。
Oracle's decision to nix Itanium support hurting HP sales
ZDNet: August 19, 2011
http://www.zdnet.com/blog/btl/oracles-decision-to-nix-itanium-support-hurting-hp-sales/55463
[このブログ内の関連記事]
Microsoft Word 2007のXML特許侵害問題から考えるクラウドアプリケーションの問題点
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/microsoft-word-.html
Amazonが取得したSNS基本特許
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-1a9e.html
AmazonがSNS(Social Networking System)の特許を取得-Facebookは特許侵害していることになるか?
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/amazonsnssocial.html
Javaの特許をめぐるGoogleとOracleの争い-Androidは特許侵害物か?
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/googleoracleand.html
DDoS攻撃は,通常,多数のPCに予めしかけられていた攻撃用ソフトウェアをタイマーまたはリモート操作によって作動させ,特定のサイトなどに集中砲火的(または飽和攻撃的)に攻撃をしかけることによって実行される。
これまではそうだった。
明日のDDoS攻撃は,無数のスマートフォンからしかけられることになるかもしれない。
もう一つのパターンもあるが,差し支えがあるので書けない。
勝新太郎主演の『座頭市』で毎度おなじみの名台詞だった。
本日,某テレビ局のニュースで,とても暖かい陽気だったことを伝えていた。その報道の画面として,公園で裸になって遊ぶ外国人の男児の様子が放映されていた。
法律上は「児童ポルノ」に該当することになるだろう。
妙な法律でも法律は法律だ。
当該テレビ局は処罰されなければならない。
嫌な渡世だなぁ~~
下記の記事が出ている。
Samsung to set up biopharmaceutical joint venture
REUTERS: Feb 24, 2011
http://www.reuters.com/article/2011/02/25/us-samsung-idUSTRE71O0F020110225
私の「読み」どおりの時代になってきた。
過去5年くらいにわたり,私が本当は何を研究してきたのかを知っている人なら,私がそのように言う根拠を即座に理解することができるだろう。
ただし,日本の企業経営者等の中で私の近未来予測に耳を貸そうとした人は一人もいなかった。だから,日本の企業は衰退するのだ。
とはいえ,更にその先がある。
そのことをちゃんと理解しているのは,たぶん日本では私だけだろう。
下記の記事が出ている。
Security to Ward Off Crime on Phones
New York Times: February 23, 2011
http://www.nytimes.com/2011/02/24/technology/personaltech/24basics.html
これまで何度も指摘してきたことなのだが,スマートフォンは携帯電話の形をした小型PCだ。したがって,PCに対して可能な攻撃は全てスマートフォンに対しても可能だということになる。
誰が考えても当たり前すぎるほど当たり前のことなのだが,ガラパゴス的なローカル携帯電話は非常に安全であり,スマートフォンは非常に危険ということになる。
ちなみに,一般に,スマートフォンは,かなり汎用性の高い機械部品によって構成されており,世界中どこでも最も安く部品を供給できる国から調達することができる。その代わり,その部品の中に最初からスパイ回路が組み込まれている可能性も飛躍的に増大することになる。
また,スマートフォンは,要するに小型のPCなので,自作のものとそうでないものとを含め,企業秘密を盗み出して他所へ伝送するためのアプリなどを自由自在にインストールし利用することも可能だ。
機密性の高い業務を担当する者は,決してスマートフォンを利用してはならない。経営者も,スマートフォンの社内持込を許してはならない。
下記の記事が出ている。
Security Firm Strikes Back At Cenzic Patent Lawsuit Threat
dark READING: Feb 24, 2011
http://www.darkreading.com/vulnerability-management/167901026/security/vulnerabilities/229219381/security-firm-strikes-back-at-cenzic-patent-lawsuit-threat.html
この種の例は,米国ではいくらでもある。
どちらに正義があるのかとは無関係に,訴訟を維持し続けるだけの資金をもっているかどうかで結果が違ってしまうことになるところが社会的病理現象といえないことはないが,それ以上に,(私見によれば)無効ではないかと思われる特許があまりにも多すぎる。
無効ではないかと思っても,訴訟を提起されれば莫大なコストをかけて応訴しなければならなくなってしまう。
やはり,社会的病理現象と言うべきなのだろう。
***************************
(余談)
過日,某新聞紙上に,日本の知財高裁における特許権者の敗訴率が高いという事実をとらえ,これでは日本の知的財産権を守れないと怒る論説が掲載されていたので読んだ。
どの特許紛争のことを指しているのか必ずしも明確ではなかったので,間違いをただすという意味で批判することもできない程度の記事だったのだが,一つだけ言えることはある。
それは,知財高裁の判決は必ずしも悪いものばかりではないということだ。
仕事上の必要があって,一日に何件もの判決文を読む。その中にはインターネットがらみの特許紛争事件の判決もある。
そして,判決文を読む限り,例えば,そもそも特許が無効であるので特許権の存在を前提とする請求が全くなりたたないというタイプの事件が多いことに気づく。
特許庁で審査した上で特許が付されても,成立した特許の中には無効なものもあり得ることは,特許法が認めていることだ。特許無効の訴訟制度等が存在している。
特許を付与された者が自分のことを特許権者だと思うのは当然のことだが,間違って付与されてしまった特許だってあるのだ。
そして,紛争になるのは,そうしたあやふやなクレーム(特許請求項)で構成された特許であることが比較的多いように思う。
米国のAmazonの有名な特許にしても,長年にわたる訴訟の結果,特許を構成する多数のクレーム中の大半が無効と判断されてしまったという実例がある。
下記の記事が出ている。
Thunderbolt: A new way to hack Macs
Register: 24 February 2011
http://www.theregister.co.uk/2011/02/24/thunderbolt_mac_threat/
複数のポートを区別しないで一元管理することができる仕組みが逆に脆弱性要素になっているとの指摘だ。
ユビキタス化が究極まで進むと,すべてのチャネル,すべてのポート,すべての電源が自由自在な侵入経路となり得る。
あくまでも一般論だが,利用者にとって不便な機能は,攻撃者にとっても不便だ。したがって,利便性を意図的に低下させることが安全性の確保にとってはプラスとなることがある。
[関連記事]
Intel launches high speed Thunderbolt connector
BBC: 24 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12570323
下記の記事が出ている。
Met called after hackers send obscene emails from university database
Guardian: 22 February 2011
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/feb/22/hackers-st-george-university
日本の文部科学省は,大学教員に関する業績情報等を何でもかんでも公開するように要求している。
業績それ自体は,もともと公開情報であることが多いので,それほど問題がないかもしれない。
しかし,今後,更に教員の詳細情報の公開が求められるようになると,大学の教員のデータを悪用した犯罪が多発するのではないかと懸念している。
情報公開それ自体を否定する気はない。
けれども,情報セキュリティの観点を抜きにした盲目的な情報公開は,単に「まぬけ」だというだけはなく,危険行為でさえある。
安全配慮義務違反を理由とする国家賠償訴訟を検討しなければならない事例も出てくるだろう。
以上のように私がブログに書いた以上,本日以降,予見可能性が発生したことになる。
将来,上記の国家賠償請求訴訟の代理人を担当するかもしれないと考えている弁護士は,この記事をコピーし,タイムスタンプ認証を得て保存しておくことをお勧めする。予見可能性の発生時期に関する重要な証拠となる。
下記の記事が出ている。
ウィキリークス創設者、身柄引き渡し認定 ロンドンの治安裁判所
産経ニュース: 2011.2.24
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110224/erp11022422050004-n1.htm
下記の記事が出ている。
Samsung launches ultra-slim notebook, targets Apple
REUTERS: Feb 23, 2011
http://www.reuters.com/article/2011/02/24/us-samsung-notebook-idUSTRE71N0N220110224
総務省のサイトで,下記のパブリックコメントの募集が開始されている。意見書の提出期限は,2011年3月24日とのこと。
「知識情報社会の実現に向けた情報通信政策の在り方」に係る検討アジェンダに対する意見募集等
総務省:2011年2月23日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_01000008.html
下記の記事が出ている。
Users Of Android Phones Warned Of Hong Tou Tou
dark READING: Feb 22, 2011
http://www.darkreading.com/insider-threat/167801100/security/antivirus/229219027/users-of-android-phones-warned-of-hong-tou-tou.html
様々なインジェクション攻撃,ガンブラー,ドライブバイダウンロードなどによる汚染はよく知られた攻撃手法の一つだが,その被害が深刻なものとなってきているようだ。下記の記事が出ている。
Cyber criminals find new targets on unsuspecting sites
BBC: 23 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12539993
********************************
(余談)
情報セキュリティの専門家の間では,日本の有名サイトの中にも汚染されたところが多数あったこと(現在でもあるであろうこと)が広く知られている。
しかし,一般人はほとんど知らない。
臭いものには蓋ということかもしれないし,情報統制があるのかもしれないが,いずれにしても事実に関する情報公開をしないことは非常に不誠実なことだと言うしかない。
下記の記事が出ている。
Supreme Court allows lawsuits over seat belts
REUTERS: Feb 23, 2011
http://www.reuters.com/article/2011/02/23/us-mazda-seatbelt-court-idUSTRE71M3Q020110223
事案を簡単に紹介すると,この事件はマツダのミニバンの後部座席に座っていて交通事故で死亡した者の家族から提起された訴訟事件で,事故当時,3人がけ後部座席の真ん中のシートについては腰だけのシートベルトしかなく,もし肩と腰でとめるシートベルトが装備されていれば事故による死亡は避けられたはずであり,肩と腰でとめるシートベルトを装備していなかったことが製造物責任に該当するとして損害賠償請求をしていたものだ。
当時の米国の行政規則(安全基準)では,後部座席(3人がけ)のうち,左右の座席については腰と肩でとめるシートベルトでなければならないが,真ん中の座席については腰だけでよいということになっており,マツダはこれに準拠していたのだから製造物責任はないと主張していた。なお,現時点では行政規則(安全基準)が改正され,真ん中の席を含め,全座席について,肩と腰でとめるシートベルトでなければならないことになっている。
原審であるカリフォルニアの裁判所はマツダの主張を認め,マツダに製造物責任がないとの判断を示していたが,上告審である連邦最高裁は,原審の判断を覆し,行政規則は注意義務の最低限度を定めるのに過ぎず,行政規則を完全に守っている場合でも製造物責任が発生することがあるとの判断を示した。
一般に,日本の企業では,「行政上の規則や基準され守っていれば,民事・刑事の法的責任を負うことはない」と考える経営者がかなり多い。
そのような考え方が「根本から間違っている」ということは,このブログでずっと主張し続けてきたことだし,法律家の世界ではむしろ常識に属することだ。しかし,どうしてそのことを理解してもらえないのか,本当に理解に苦しむことが多い。おそらく,法律家よりも政府のほうが偉いと思っているのだろう。その点で,そもそも間違っている。「国のガイドラインや規則や基準に従っていれば,それだで大丈夫」と考える経営者は,ただそのことだけで経営者としては既に失格だと言って過言ではない。なぜなら,そのような考えを持っているということは,その者が無知であり,かつ,「リスク管理能力」を完全に欠いているということを如実に示しているからだ。
国が定める基準等は最低限のもの(ミニマムスタンダード)であるのが普通で,現実には,それ以上の注意義務を尽くさなければ,民事・刑事の責任を免れることができない場合が多々あるし,そのことを示す実例や判例は数え切れないほど多数ある。
さて,後部座席の中央席が腰だけでとめるタイプのシートベルトになっている自動車は,日本では,むしろ普通だろう。
日本でも,製造物責任があり得ることを承認し,全ての車両について,すべての座席のシートベルトを肩と腰でとめるタイプに交換するためのリコールを直ちに出すべきだろうと思う。
******************************
(余談)
私が少し変わっているのかどうか知らないが,世間には不思議に感ずることが多々ある。
例えば,自動車ではシートベルトの着用が厳しく言われているのに,二輪車ではそれがない。構造上の問題かもしれないが,何か方策を考えるのが理系(特に工学)の人間のやるべき仕事ではないだろうか?
また,自動車よりも高速で走行する新幹線には(ごく一部の車両を除き)シートベルトが全くない。私にとってはいつも不安に感ずることの一つだ。新幹線は「安全だ」と信じたいけれども,例えば,緊急停止信号が発令された場合に,予めコンピュータプログラムによって上手に制御されるように計画されていたとおりに原則せず,文字通り急停車することが絶対にないとは言えない。人間がつくる道具なので,どこか問題が潜在している可能性は常にある。そして,もし本当に急停車してしまった場合,車内は地獄だ。
ニュージーランドで被災した方々は本当に不運というかお気の毒だと思う。一人でも多く1分でも早く救助してもらいたいと思っている。
ただ,神戸の震災のときに感じたことを今回も感じてしまったので,ちょっとだけ書いておく。
それは,「人災」の場合を想定した証拠確保ということだ。
神戸の震災のときは,何だかわけもわからない間に瓦礫が片付けられてしまった。しかし,手抜き工事等により崩壊したビルが多数あったに違いない。その場合,天災ではなく人災なのだ。しかし,何となくうやむやにされてしまっている。
今回の地震災害で日本人が多数生き埋めになってしまったビルの崩落現場の映像を見ると,ちゃんとした鉄骨や鉄筋などが見えないことに気づく。基本的にコンクリートだけでつくられていた建物なのではないだろうか?
地震がないとされている国ではコンクリートだけの建物はむしろ普通だ。かつてタイのバンコクに出張した際,鉄筋抜きのコンクリートだけで建設中の建物をたくさん眼にした。現地の教授から聞いた話によれば,地震がないからこれで大丈夫だという。しかし,タイでは本当に地震がないのだろうか?
ニュージーランドの場合はどうかというと,日本と同様に地震国として世界的に有名なところだ。かつて,ひとつの街が全部崩壊してしまうほどの大地震災害に見舞われたこともある。
したがって,ニュージーランドにおいては,耐震性能の高い建築物でなければいけないのだろうと思う。建築基準法のような法律があるのかどうかは知らないので,行政法規違反かどうかは判断できない。しかし,行政法規の有無と民事上の損害賠償責任(安全配慮義務違反等)の有無とは無関係のことだ。
今回日本人の多くが被災した建物については,現時点で「人災」の可能性を想定し,可能な限り多くの証拠を確保しておく必要がある。
[追記:2011年2月25日]
大震災があると,必ず,**学者が登場し,「今回の被害は***が原因で・・・」と解説を始める。
それはそれで大事なことかもしれない。もしそのとおりであるとすれば,今後の震災対策に大いに寄与することだろう。
しかし,法律家としては,常に別の視点を持ち続けなければならない。
それは,「差分」だ。
今回崩落して大勢の犠牲者を出したビルと同じ構造のビルは必ず存在する。被害が同じであるかどうかを確認し,早期に証拠確保すべきだろう。
また,今回崩落したビルの近隣には,ほとんど被害を受けていない建物がたくさん存在する。どこが違うのかを可能な限り早期に検証し,証拠確保をすべきだろう。
この記事(本文)を書いて依頼,ずっとニュース映像から何が読み取れるかを考えていたのだが,2点だけ指摘できると思う。
それは,瓦礫の中に鉄筋や鉄骨等が極めて少ないということ,そして,コンクリートが非常に軟弱ですぐに崩壊してしまうものであること(骨材も乏しく,おそらく大部分が水だけのコンクリートだった可能性がある),以上の2点だ。簡単に言うと,ビルそれ自体が巨大な欠陥構造物だった可能性がある。
もしそうであるとするならば,今回の被災は,人災なのであり,天災ではない。
この重要な事柄から目をそらされてはならない。
下記の記事が出ている。
大麻栽培のあおり容疑 全国初、埼玉の男逮捕
神戸新聞: 2011/02/23
http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0003822207.shtml
下記の記事が出ている。
Singapore to introduce data protection regime in 2012
Asia Pacific Future Gov: 21 February 2011
http://www.futuregov.asia/articles/2011/feb/21/singapore-introduce-data-protection-regime-2012/
日本はどうかというと,「世界的に通用しない個人情報保護法を誇示している」・・・と,つまらない駄洒落を言うことくらいしかできない。(苦笑)
下記の記事が出ている。
Microsoft's Kinect: The New Mouse?
New York Times: February 22, 2011
http://bits.blogs.nytimes.com/2011/02/22/microsofts-kinect-the-new-mouse/
たしかに,「動き」を入力としてとらえたほうが合理的な場合には,Kinectのような装置が利用されやすいだろうと思う。例えば,格闘技ゲームなどがそうだ。
ただ,私のように主に検索をしたり,文書を書いたりするためにPCを利用している者にとっては,あまり意味のないデバイスかもしれない。
また,微妙な制御が必要な場合には,ソフトウェアのほうがちゃんとしていないと,誤作動を起こしてしまう危険性はある。自動車などの制御に用いる場合がそうだ。目配せだけでウインカーを作動させたり,窓を開閉できたりすれば便利なことは間違いないのだが,別の意図による動作を誤認して誤作動を起こしてしまうと,たちまち重大な交通事故の発生につながる。
日本の地下鉄でも携帯電話が使えるところが多くなってきている。英国のロンドンでも使えるようになってきたようだ。それ自体としては非常に便利なことだと思う。
ところが,英国の地下鉄での移動体通信技術を中国の通信会社であるHuawei(華為)が提供しているらしいということから,通信傍受が行われているのではないかということが危惧されているようだ。
下記の記事が出ている。
Possibility: London Underground To Finally Get Mobile Signal
22 February 2011
http://www.london-insider.co.uk/2011/02/possibility-london-underground-to-finally-get-mobile-signal/
[このブログ内の関連記事]
トップが裏切り者である場合の情報管理術
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-7df2.html
英国:諜報機関が,中国製のデジタルカメラなどにスパイウェアが仕組まれており,PCに接続すると機密情報などが盗まれてしまう危険性があると警告
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-d3fa.html
Huawei(華為)はディープパケットインスペクションで問題視されているPhormとリンクしている?
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/huaweiphorm-024.html
インド:中国製の通信機器にはスパイチップが組み込まれているとして締め出し
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-0c1f.html
**********************
(余談)
日本でもHuawei(華為)と提携しているプロバイダがあるかどうかはよく知らない。
もしそのようなプロバイダがある場合,その利用者に対し,Huawei(華為)を経由して通信がなされるということを明確に告知すべきだろうと思う。
そのあとは利用者が自分で判断すべきだ。
下記の書籍の寄贈を受けたので,読んでみた。
金光 寛之・松藤 保孝・松嶋 隆弘編著
『農業株式会社と改正農地法-法務と税務』
三協法規出版 (2011/1/15)
ISBN-13: 978-4882602194
農業株式会社に関しては,幾つかの論文等が公表されているが,まとまった書籍には乏しかった。
今後,同種の書籍が刊行されるだろうと思われるけれども,会社法との関係を含め関連分野について適切に言及がなされており,税務についても詳細に書かれた書籍はそんなに多くは出ないだろうと思われる。
内容的には概説の部分とQ&A形式で項目別に解説を加える部分とに分かれており,読者の需要に応じた使い方が可能だろう。
世界的な食料需給関係のアンバランスが続いており,一般的には,人口の増加に食料の供給が追いつかないばかりか,開発や環境破壊(特に地下水の人為的な枯渇)等によって世界規模で農漁業に適した場所がどんどん狭まっていく近未来を考えると,農業のあり方それ自体が根本的に変わってしまうかもしれない。そのような状況に対して,農業株式会社という法的枠組みが果たしてフィットしたものであるかどうかは未知数ではあるけれども,これまで利用できなかった選択肢が提供されていることは間違いない。
本書は,その法的枠組みを簡潔に解説するものとして,有用性があると考える。
なお,本書中の記載には,私見とは異なる部分も散見されるが,それは見解の相違というものだろうと判断した。
また,農業株式会社が拡張することは,個人経営の農業従事者を圧迫し,いわば「囲い込み」の一種のような社会的状況を発生させるかもしれない。そして,そのようなタイプの問題については,更に別の角度からの政策論を論じなければならないかもしれないが,それは本書の対象範囲外のことに属すると考える。
下記の記事が出ている。
Chinese workers urge Apple to act on n-hexane poisoning
Guardian: 22 February 2011
http://www.guardian.co.uk/world/2011/feb/22/chinese-workers-apple-nhexane-poisoning
iPhone等のタッチスクリーンの製造工程では様々な化学物質が用いられており,それが工場労働者を汚染して健康被害を発生させていることが問題となっていた。今回,防止策の要求の対象となっているのは,ノルマルヘキサン(n-hexane)のようだ。
労働者が要求したとの記事になっているが,おそらく中国政府の意思とみるべきだろうと推測される。公害や健康被害の発生を防止すべきことは当然のことなので,要求それ自体としては正当なものだと考える。
公害の輸出は許されない。中国に進出している日本企業も「明日はわが身」と考えるべきだろう。
ただし,今後,この問題がどのように解決されるかは不明で,かなり興味深い結果が待っているかもしれない。
[追記:2011年2月23日]
関連記事を追加する。
Workers Sickened at Apple Supplier in China
New York times: February 22, 2011
http://www.nytimes.com/2011/02/23/technology/23apple.html
[このブログ内の関連記事]
Appleが,中国にある製造工場で児童が就労していた事実を認める
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/apple-58b2.html
下記の記事が出ている。
First details on EC data protection action against UK revealed
Register: 22nd February 2011
http://www.theregister.co.uk/2011/02/22/1st_details_of_commission_data_protection_action_against_uk_revealed/
原因は,英国政府がEU個人データ保護指令の適用範囲(スコープ)を狭く解釈しているというところにあるようだ。
さて,日本の個人情報保護法はどうかというと,適合していない。現実には,隠れたセーフハーバー方式を併用することでどうにか乗り切っている。
下記のイベントが開催される。
Cloud Expo
June 6-9, 2011
Javits Convention Center
New York City, USA
http://cloudcomputingexpo.com/
下記の会議が開催される。
The 2011 2nd International Congress on Computer Applications and Computational Science (CACS 2011)
15-17 November 2011, Bali, Indonesia
http://www.irast.org/conferences/CACS/2011/index.html
下記の会議が開催される。
ICCS 2011: "The Ascent of Computational Excellence in the Land of the Rising Sun"
Computational Science
Tsukuba International Congress Center, Tsukuba, Japan
June 1 - June 3, 2011
http://www.iccs-meeting.org/
現在のマネジメントシステムは,管理主体が「善」であることを大前提としている点で重大な欠陥がある。管理主体が「悪」の場合には,マネジメントシステムは,悪の遂行を最適化するための機能することになる。このことは何度も強く主張してきたことだ。
「そんな馬鹿な」とか,「夏井さんは考えすぎだ」とか「あくまでも机上の議論としてはそうだが」とか,様々な批判を受けてきた。
しかし,「皆さん現実を知らな過ぎるのではないか」というのが私の率直な感想。
企業レベルでも政府レベルでも,トップが悪である事例やトップが裏切り者やスパイであった事例はいくらでもある。最近では,台湾の事例がある。
台北支局長・山本勲 台湾将軍が中国女スパイと密会 流出の機密情報は超弩級
産経ニュース: 2011.2.22
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110222/chn11022202550001-n1.htm
日本でも,元首相が中国の美人エリート諜報員と関係があった云々が週刊誌で報道されたことがあるので,他国のことは言えない。また,下記の書籍を読むとうんざりとしてしまう。
有馬哲夫
『原発・正力・CIA-機密文書で読む昭和裏面史』
新潮新書(2008年2月20日)
ISBN-13: 1978-4106102493
ティム・ワイナー
『CIA秘録(上)』
文藝春秋 (2008年11月12日)
ISBN-13: 978-4163708003
ティム・ワイナー
『CIA秘録(上)』
文藝春秋 (2008年11月12日)
ISBN-13: 978-4163708102
こういう具合に,現実には,管理主体が「悪」である例は,本当に多い。その組織で働く労働者は,騙されているとは知らずに「悪」に奉仕し続けていたことになる。
自社が「善」であっても,取引相手が「悪」である場合もある。その場合,自社としては何も悪いことをしていないつもりでも,全体としてみると,取引相手の「悪」の遂行に寄与・関与してしまっていることになる。
あるマネジメントシステムに対する認証もまた,その組織が「悪」である場合には,認証をすることによって「悪」を幇助していることになる場合がある。刑事事件としては故意がなければ有罪とならないのが原則だ。しかし,民事上では過失があれば損害賠償責任が発生するので,よく調べれば「悪」の組織であることを知ることができたのに調査を尽くさないで認証をした場合,その認証機関は,認証を信じて取引等に入り損失を被った被害者に対して損害賠償責任を負うことがあり得る。この認証には,会計監査や内部統制監査等を含む。
これまでの情報管理論の中で完全に欠けていたのはこの部分だ。つまり,自分が所属する組織のマネジメントシステムまたは取引相手等の組織のマネジメントシステムを機能させてはならない場合についての対処だ。
少し先だが,このような場合の対処についてのセミナー講演を引き受けたので,目下準備しているところだ。
[追記:2011年10月29日]
関連記事を追加する。
台湾の“二重スパイ”大佐に無期懲役
産経ニュース: 2011.10.29
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111029/chn11102918000003-n1.htm
[このブログ内の関連記事]
トップが悪である場合の対策はあり得るのか?
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-528d.html
下記の記事が出ている。
マジコン:規制強化へ 不正競争防止法を改正し刑事罰
毎日jp: 2011年2月21日
http://mainichi.jp/life/today/news/20110222k0000m020067000c.html
関連資料は,下記で入手できる。
次期通常国会提出予定法案
経済産業省:平成23年1月
http://www.meti.go.jp/topic/data/growth_strategy/pdf/2011_0119.pdf
技術的制限手段に係る不正競争防止法の見直しの方向性について
平成23年2月
産業構造審議会知的財産政策部会技術的制限手段に係る規制の在り方に関する小委員会
http://www.meti.go.jp/press/20110221003/20110221003-2.pdf
なお,この分野に関する論文はほとんどないのに等しい。
なお,明治大学法学部の私のゼミ学生が書いて応募し受賞した論文だが,下記のものがある。
法情報学夏井高人ゼミナール:高梨 彗,全 柱顕
「プロダクトキーによるライセンス保護の現状と法的課題」
法学会誌 Vol-60 2010,pp.41-81
明治大学法学会(2010年4月1日)
ISBN 0288-5468
[このブログ内の関連記事]
ゼミ学生の論文が受賞
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-448b.html
昨年に引き続き今年も学生の応募論文が入選
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-66b3.html
スマートグリッドについては,良い面ばかり報道されている。新聞社は,ガス企業や電気企業から宣伝広告収入を得ているので,批判的なことを一切書けないという極めてかわいそうな奴隷的立場にある。ここには報道の自由などない。スポンサーへの隷従のみだ。
というわけで,商業スポンサーのない私だけが書くことになる。
スマート化によって,確かに利用者の利便性は高まるだろう。例えば,携帯電話を用いて,遠くにいても家の中の様子を知ることができる。
しかし,そこで考えなければならないことは,携帯電話もスマート化していること,要するに,携帯電話型のPCになってしまっているということだ。
ここでは,携帯電話のチップ内にある固有番号等による認証によってではなく,通常のIDとパスワードによる認証が普通になる。
これ以上は書かなくてもわかるだろう。
ID泥棒が横行することになる。
それを守るのは,企業ではなく利用者個人だ。
その負担に耐えられる利用者は,意外と少ないかもしれない。
ちなみに,下記のような記事もある。
Ember Needs A Wake-Up Call From The CIA
Forbes: Jan. 31 2011
http://blogs.forbes.com/jeffreycarr/2011/01/31/ember-needs-a-wake-up-call-from-the-cia/
昨年6月15日に開催された会議の議事概要がやっと公開されている。遅すぎる。
IPv6を用いた環境分野のクラウドサービスワーキンググループ(第4回会合)議事概要
総務省:2011年2月21日
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6_internet/40972_3.html
下記の記事が出ている。
4歳娘の裸写真販売=児童ポルノ容疑、32歳母逮捕―宮城
時事通信:2010年2月21日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110221-00000124-jij-soci
ちなみに,最近ではなくなってしまったかと思っていたら,先日,男児の裸の臀部等が撮影されているオムツのTV広告が放映されているのを眼にした。もちろん,このような画像は児童ポルノに該当することになるし,それを放映したTV局は共同正犯であるか幇助犯であるかのいずれかとなり,かつ,男児だけという点が男性差別的な行為であると言える。そして,性器や臀部に性欲を感ずる小児性愛者だけではないから,胸部,背部,脚部を含め,児童の身体を露出する画像はすべて児童ポルノとなる可能性が全くないわけではない。このような違法行為をする会社のオムツを購入してはならない・・・ということになる。児童ポルノに関しては,現在でも様々な議論があるが,保護法益が特殊であるため(普通のわいせつ罪は,通常人の性的羞恥心を基準として判断するというのが最高裁の判断なのだが,児童ポルノの場合には,通常人の感覚からは相当かけはなれている人々の主観的嗜好や好奇心等を基準に判断しなければならないところが根本的に異なっている。つまり,児童ポルノの成否に関しては,まともな人の感性等を前提に大丈夫かどうかを判定してはならない。),ちょっと奇妙な法解釈論が正当に成立してしまうことになる。
米国では,TV番組を見ながら,TwitterやFacebookなどを用い,その番組内容について友人とチャットしている視聴者が多いのだそうだ。下記の記事が出ている。
TV Industry Taps Social Media to Keep Viewers' Attention
New York Times: February 20, 2011
http://www.nytimes.com/2011/02/21/business/media/21watercooler.html
あえて「融合」とは言わない。組み合わせサービスの一種に過ぎないからだ。チャットに飽き,需要がなくなれば,いつでも解消してしまうことだろう。
下記の記事が出ている。
Alibaba.com chief executive resigns
Guardian: 21 February 2011
http://www.guardian.co.uk/business/2011/feb/21/alibaba-chief-resigns-over-frauds
アリババと提携している日本企業に対しても中国警察(公安)による捜査の手が及ぶかどうかは不明。
「百度」について同様の捜査がなされているかどうかも不明。
********************************
(余談)
中国政府による民主化運動に対する禁圧と関係があるかどうかは不明。
「金のかからない選挙」が実現可能と考える馬鹿が多すぎる。
政治的理想を実現することは,たった一人ではできない。たった一人では国会で議案を提出することもできない。議案を可決するためには議院の過半数を有する議員と協働する必要があり,個人の意見よりも協働する集団としての意見が当然優先される。つまり,個人としての選挙公約は常に無視されまたは劣後的に扱われることになる。そして,一定規模の集団を組織として維持するためには政党が必要であり,その維持のためには莫大な経費を要する。
つまり,政治とはもともと莫大なお金がかかるものであり,そのお金をかけていなければ,選挙活動をすることもほとんど不可能となる。
もちろん,例外的に,辻説法方式で当選する議員もあるが,どの会派にも属さない個人のままでいると,当然のことながら,単に議院として議院歳費をもらってのんびり暮らせるというだけのことで,議員としての活動は何もできないのに等しい。少なくとも,国会内での発言権は実質的にみてゼロだ。このような場合,要するに,何もできない無為徒食の者に対して巨額の議員歳費を税金から支払い続けているのと同じことになるから,「金のかからない選挙」よりももっと悪質な結果が生ずることになる。
「金のかからない選挙」が実現可能だと思うのは自由だが,妄想に近いことであり,絶対に実現できない。
もちろん,その金の生み出し方や管理の方法に違法行為や不正行為あるいは脱税行為等があってはいけないことは当然のことなので,誤解のないようにお願いしたい。ここで言いたいのは,「相当大きな資金なしには何もできない」ということだけだ。
このような問題を避ける方法はある。
それは,国会議員の数を相当圧縮することだ。各議院でそれぞれ議院定数を50名程度とし,かつ,選挙区については全て1個の全国区にすればよい。そうすれば,政党としての規模が小さくても済むだけでなく(過半数を支配するためには25人以上を維持できれば良い。),選挙区毎の投票価値の格差が消滅するので違憲の問題が発生しない(地方区がないので,選挙区毎の投票価値の格差が発生しない。)。そして何よりも,議院歳費の支出を大幅に減少させることができる。加えて,社会の中から精選された50人ということになるので,単にウケが良いとか,威勢がよいとか,演説が上手だというだけでは絶対に選挙で当選しないことになるだろう。
しかし,この解決策の問題点は,現在の国会議員がこのような解決策を受け入れる可能性が皆無だということだ。
下記の記事が出ている。
Westboro Baptist Church targeted by Anonymous
BBC: 21 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12523184
ウエストボロバプティスト教会は,同性愛(特にゲイ)に対して敵対的な教義をもっていることで有名な宗教団体で,米国内ではカルト集団とみなす見解もあるようだ。
Anonymous活動家達がなぜウエストボロバプティスト教会を攻撃することになったのかについては,イマイチよくわからない部分がある。
[追記:2011年2月22日]
その後,Anonymous活動家達は,風説に過ぎないとして,ウエストボロバプティスト教会を攻撃するつもりはないとの声明を出したようだ。
Anonymous denies Westboro attack
BBC: 22 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12535456
[追記:2012年12月17日]
関連記事を追加する。
Anonymous sets sights on an old enemy—the Westboro Baptist Church
ars technica: December 17, 2012
http://arstechnica.com/tech-policy/2012/12/anonymous-sets-sights-on-an-old-enemy-the-westboro-baptist-church/
[追記:2012年12月18日]
関連記事を追加する。
Anonymous Hacking Group Takes on Westboro Baptist Church After Sandy Hook Vigil Protest Threat
Latin Times: December 17, 2012
http://www.latintimes.com/articles/1567/20121217/anonymous-hacking-group-takes-westboro-baptist-church.htm
[追記:2012年12月20日]
関連記事を追加する。
Twitter Briefly Suspends Anonymous' Account After Hacker Group Targets Westboro Baptist Church
Huffington Post: December 19, 2012
http://www.huffingtonpost.com/2012/12/19/twitter-suspends-anonymous_n_2331390.html
[追記:2012年12月22日]
関連記事を追加する。
Westboro Baptist Church continually hacked by UG Nazi and Anonymous
Examiner: December 21, 2012
http://www.examiner.com/article/westboro-baptist-church-continually-hacked-by-ug-nazi-and-anonymous
下記の説明会が開催される。
ITセキュリティ認証制度に関する説明会-安全な製品調達に向けて-
日 時:2011年3月18日(金)
場 所:独立行政法人 情報処理推進機構 13 階 会議室A
募集人数:60名 (先着順、募集人数が集まり次第、受付を終了)
http://www.ipa.go.jp/security/jisec/seminar/cc_semi_20110318.html
下記の説明会が開催される。
CC評価を理解するための開発者向け説明会
日 時:2011年3月29日(火) 10:00~18:00 (開場:9:45~)
場 所:独立行政法人 情報処理推進機構 13 階 会議室B
募集人数:50名 (先着順、募集人数が集まり次第受付を終了)
http://www.ipa.go.jp/security/jisec/seminar/cc_semi_20110329.html
CC(Common Criteria)についてこれから学びたいと思っている人にとっては良いイベントではないかと思う。
下記の記事が出ている。
Stuxnet Aimed to Destroy, Report Says
Epoc Times: Feb 21, 2011
http://www.theepochtimes.com/n2/technology/stuxnet-aimed-to-destroy-report-says-51644.html
下記の記事が出ている。
Sweden warns firms of cloud computing risks
The Local: 2 Feb 11
http://www.thelocal.se/31796/20110202/
あまりにも当たり前のことだし,これまで私見として何度も繰り返し強調して主張してきたことなのだが,政府レベルで私見と同じ警告を出す国がやっとでてきた。喜ぶべきことだ。ただし,それが日本国政府ではないというところがとても悲しい・・・
おそらく,まともに考えることのできる能力のある政府である限り,スウェーデン以外の欧州各国政府も次第にこの当たり前のことに気づき始めることだろう。
なお,この問題は,企業の情報資産の機密性管理の問題であると同時に,国防の問題でもある。つまり,ここでも「戦時と平時が常に共存する状況」が存在する。
下記の記事が出ている。
小4女児、サイト不正アクセスで補導 女子中学生だます 仮想通貨狙い
産経ニュース: 2011.2.21
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110221/crm11022112380013-n1.htm
下記のところからダウンロードすることができる。
Guidelines on Security and Privacy in Public Cloud Computing
National Institute of Standards and Technology
January 2011
http://csrc.nist.gov/publications/drafts/800-144/Draft-SP-800-144_cloud-computing.pdf
このガイドラインの中でも指摘されているとおり,現在のビジネスにおいては,パブリッククラウドにおけるプライバシーとセキュリティに対する考え方が甘すぎる。
しかし,このガイドラインを読んでみると,このガイドラインもまた妥協的過ぎて甘すぎるのではないかと思う。
簡単に言うと,モデリングに関してあまり詰めて考えていない。ドイツ人ではなく米国人が書いたものなのでやむを得ない部分はあるのだが・・・
下記の記事が出ている。
BBC Sites Injected With Malicious iFrame
dark READING: Feb 17, 2011
http://www.darkreading.com/security/attacks-breaches/229218824/bbc-sites-injected-with-malicious-iframe.html
日本の類似サイトの中にも既に同様の攻撃を受けているものがあるかもしれない。
体調を崩し,しばらく作業ができない状態にあったが,どうにかキーボードだけは使えるまでに回復したので,有料会員向けニューズレターを発行することにした。本日午後までに発行の予定。
会員制サイトのご案内
http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/Advanced.html
このニューズレターには,営業秘密に関する判決例の紹介とフィリピンのサイバー犯罪法案に関する記事が含まれている。
まだ体調が完全に回復していないため,長い記事を書くのは辛いけれど,完治した後には本格的に作業を進め,当初予定していたサービスを提供することとしたい。
下記の講演会が開催される。
講演会「あらゆる知識へのユニバーサルアクセス―誰もが自由に情報アクセスできることを目指して」
ブリュースター・ケール氏(IA創設者)の講演と鼎談
日 時:平成23年 3月24日(木) 14:00 ~ 17:00 (13時30分より受付開始)
場 所:国立国会図書館 東京本館 新館 講堂
参加費:無料(事前申込みが必要)
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/20110324lecture.html
人間のヌードを扱った芸術作品を芸術とみるかわいせつ物とみるかは主観によって異なるかもしれない。しかし,ヌードであるというだけで一律排除となると,社会問題化する。
Art School Runs Afoul of Facebook’s Nudity Police
New York times: February 18, 2011
http://bits.blogs.nytimes.com/2011/02/18/art-school-runs-afoul-of-facebooks-nudity-police/
私見によれば,Facebookの利用者であることをやめればよいのではないかと思うのだが,そういうわけにもいかないのだろう。
なかなか難しい問題だ。
ちなみに,そのうち,嬰児や幼児の写真が「児童ポルノ」」として自動的に排除される時代がやってくることになるだろう。
まあ,いろんな考え方があることは理解できるのだけれど,所詮,人間は「裸のサル」に過ぎないということを忘れて格好良いことばかり口にしていても,何の解決にもならないことだけははっきりしている。
ちょっと調べものをしていたら,下記のニュースが目にとまった。
勝間和代氏の会計士廃業を「さおだけ屋」著者残念がる
アメーバニュース: 2011年2月20日
http://news.ameba.jp/20110220-36/
私は勝間和代氏のファンではないし,その意見にも賛成しかねる部分が多い。あまりにも観念的過ぎるからだ。
しかし,廃業することにした原因(動機)については,何となく分かるような気がする部分もないではない。
研修は弁護士会にもあるし,大学にもある。それを受けないと,それなりのペナルティもある。ギルド組織なので当然のことだろう。
しかし,研修なるものの内容が問題だ。
あくまでも一般論だが,トップクラスの者がずっとレベルの低い者が主宰する研修を受けなければならない場合,きっと世の理不尽を感ずることだろう。
実際にその者がトップクラスかどうかとは無関係に,自意識としてトップだと思っている者にとっては耐え難いものではないだろうか。むしろ,侮辱に近いことだ。
社会が組織化されると避けられないこととはいえ,何か方策を講ずる必要があるかもしれない。
そうでなければ,昔ながらの家元制度のようなものの現代版ができるだけのことであり,それは,有能な人材を殺してしまう作用しか営まない。
***************************
(余談)
私が第35期の司法修習生の時分のことだ。
あるとき,研修所の教官に対し,「教官になるための資格審査はあるのですか?」と質問したことがある。
その教官は絶句していた。
私は,当時,どの教官よりも自分のほうががずっと優れていたとは思わない。当時でも今でも,部分的には,どの教官よりもはるかに優れている部分を持っていたし現在でも持っていると自負するが,もちろん劣っている部分も多々あった。その意味で,司法研修(特に自由選択科目の外国法の講義と演習)はとても楽しかったし,意義あるものだったと思っている。
しかし,どの部分をみても教官よりもはるかに優れた同期生が存在したことは事実だと確信している。教官よりも優れているのに,どうして司法修習を受けなければならないのか,それが疑問だった。
私は,一般論として,どの研修においても,もしその研修が受講者の任意で参加するものではなくシステム上義務的に参加しなければならないものであるとするのであれば,研修担当者は,いかなる受講者よりもはるかに優れていなければならないという信念をもっている。もちろん,自分の意志で教育,訓練,研修等を受けるのであれば,それは別だ。有償・無償を問わず,受講者の自由に属するし,たとえ研修担当者が無能であったとしてもも,それは受講者の選択という自己責任の領域に属する。私がここで言ってるのは,義務的な研修,訓練等のことなので,誤解のないようにしていただきたい。
少なくとも,機械的に検査するのことできる知能指数だけでも優秀成人評価で200以上(=評価不能)でなければならない。
もし研修担当者が「自分はそうではない」と思うのであれば,潔く研修担当を辞任すべきだろう。
能力のない者が,優秀な者に対して,義務的な研修を施し,くだらないことを押し付けてはならない。
下記の記事が出ている。
Google 'Arctic Sea' – Chrome native code, ahoy!
Register: 18 February 2011
http://www.theregister.co.uk/2011/02/18/google_releases_first_native_client_sdk/
最近,全国紙の新聞販売店と思われるところから何度か新聞購読の勧誘電話を受けた。なぜ私の電話番号を知っているのかは知らない。電話帳には掲載していないので,どこかから名簿か何かを入手したのだろう。極めてけしからん。
それはさておき,こうやって勧誘電話をかけまくらなければならないくらい新聞販売店の業績が非常に悪いということを示唆しているのではないかと推測する。
新聞が売れないのだ。
売れない原因ははっきりしている。それは,新聞社が唯我独尊の記事を垂れ流すだけで金儲けできることに安住し,経営改善努力をしてこなかったからだ。
現実的に考えた場合,どの家庭でも家計が厳しいので,月何千円かの支出をするかどうかを極めてシビアな眼で判断している。新聞に対して支出するメリットがなければ,当然支出しない。
メリットとは何か?
それは,新聞紙でなければ得られない情報を得ることができるということだ。しかし,報道記事の大半はネットや携帯でも読むことができる。ネットで読むことのできない記事(社説の一部など)を読む読者はほとんどいない。主筆の主観としては,社説こそ新聞の生命だと思っていることだろう。まさにそうでなければならない。ところが,少しも面白くなく,客観性を欠いた唯我独尊の記事にあふれており,お金を出してまで読む気がしないのだ。
他方,ネット上での情報提供という面でも問題がある。これまでも繰り返し書いてきたことなのだが,日本の新聞社がネット上で提供する報道記事はかなり短期間にネット上から消滅してしまう。「バックナンバーを読みたければ有料のデータベースサービスを受けろ」という趣旨なのだろう。しかし,海外の報道記事では何年も前の記事を今でも検索可能なものが多いということと比較してみると,いかにも日本の新聞社の情報産業としての自覚と責任の薄さが明々白々に見えてきてしまうのだ。これでは,誰も信用しないし尊重もしない。
更に,地方紙では,新聞の折り込みちらしによってスーパーマーケットなどの特価品を知るというメリットはあった。ところが,現在では,スーパーマーケットで直接にミニコミ的な特価情報提供媒体を無料で配布している。つまり,折り込みちらしに頼る必要性が乏しくなってきている。これは,スーパーなどで直接配布したほうがコスト的にメリットがあるから,そうなってしまったのだろうと思う。
こういうわけで,現在の新聞には良いところが一つもない。
誤解を避けるために付言しておくと,私は,新聞社を忌み嫌っているわけではない。厳しい状況の中で取材する能力をもっているのは現実問題として報道機関だけであり,個人では全く無理だ。それだけに,新聞社の社会的機能は極めて重要だ。
新聞条例等によって厳しく言論弾圧されていた当時の新聞社は,資金的にとても厳しい状況の中で,かつ,当時の官憲に常に睨まれ弾圧されている中で,言論の自由を守るために頑張っていた。
けれども,現在の新聞社は,莫大な利益と社会的地位(社会的権力)の上に胡坐をかき,経営改善の努力を怠っている。このままの状態が続けば,おそらく多数の新聞社が衰滅してしまうことは間違いない。
社会基盤が根本的に変化してしまった現代の状況に即応できるような新聞社に生まれ変わってほしいものだと思う。
下記の記事が出ている。
New Fast-Flux Botnet Unmasked
dark READING: Feb 18, 2011
http://www.darkreading.com/insider-threat/167801100/security/vulnerabilities/229218915/new-fast-flux-botnet-unmasked.html
総務省のサイトで,下記の統計結果が公表されている。
電気通信サービスの加入契約数等の状況(平成22年12月末)
総務省:2011年2月18日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/40906.html
下記の記事が出ている。
Thought-controlled wheelchairs and bionics that 'feel'
BBC: 17 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-12490048
日本流に言えば「念力コントロール」のようなものだ。技術はここまでやってきた。
そのうち,「テレパシー」のようなものを媒介する装置もできてしまうのじゃないだろうか?
そうなると,世界中の独裁者が大喜びという時代が来ることになるだろう。
古物営業法施行規則が改正された。
古物営業法施行規則の改正について
警察庁:2011年2月10日
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki10/kobutsuhpshiryou.pdf
物営業法施行規則の一部を改正する規則案に対する意見の募集について
警察庁生活安全局生活安全企画課:2010年12月17日
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=120100009&Mode=0
警察庁のサイトで,下記の資料が公開されている。
平成22年中の出会い系サイト等に起因する事犯の検挙状況について
警察庁:2011年2月17日
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h22/pdf02.pdf
警察庁のサイトで,下記の資料が公開されている。
携帯電話販売店に対するフィルタリング推奨状況等実態調査の結果について
警察庁:2011年2月11日
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen40/shounen20100217.pdf
下記の記事が出ている。
Cloud Services Redefining Rules For Regulatory Compliance
dark READING: Feb 17, 2011
http://www.darkreading.com/security-services/167801101/security/privacy/229218908/cloud-services-redefining-rules-for-regulatory-compliance.html
議論が出るのは当たり前だ。解決困難な自己矛盾が内在されているからだ。
ちなみに,パブリッククラウドに関連する法律問題について,新しい原稿を書いた。夏井高人・岡村久道・掛川雅仁編『Q&Aインターネットの法務と税務』(新日本法規出版)の次の追録(3月発行予定)に収録されている。
下記の記事が出ている。
Pressure mounts over Apple's 30% subscription charge
BBC: 18 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12491883
大きなジレンマがある。
囲い込みをしなければ電子出版による利益を確保することができない。しかし,囲い込みをすれば独占禁止法に抵触する。
つまり,大きな利益をあげるという前提での電子出版における囲い込みというビジネスモデルは,ビジネスモデルそれ自体として違法であるのかもしれない。
なお,全体としてみると,一般に,ネット上でのコンテンツ配信やサービス提供を有償で行うというビジネスは,既に破綻しているかもしれないと思うようになってきた。そして,破綻させないようにするためには,どうしても囲い込みが必要になるが,そうすると独占禁止の問題を避けることができない。基本的に自己矛盾のあるビジネスモデルなのかもしれない。
世間にはいろんな人がいる。
大人になれない子供のことがいろんな本に書かれているが,真実は,大人になれる子供など存在せず,子供が外側に防御用のカモフラージュを幾重にも重ね着しているだけのことなので,要するに,全員子供だ。ピアジェの心理学では別のことが述べられているが,ピアジェの学説は基本的に間違いだらけではないかというのが率直な感想だ。
「みつごの魂云々」と昔から言うが,人間の本性はいくら大人になってもそうそう変わるものではない。
そして,基本的には,利己的な人と利他的な人がいる。
もちろん,生きていく上で必要なので様々な偽装が施される。
一見利己的に見えるけれども本当は利他的な人もいるし,利他的に装っているけれど利己的な人(偽善者)もいる。
それぞれ個性なので,変えようがないし,そのままで生きるしかない。
問題は,利他的に見えるけれども本当は根っから自己愛しかない人が組織のトップになってしまった場合だ。その人を支持するグループが「騙された」と思ったときにはもう手遅れだ。
幕末~明治維新なら,怒り狂った浪人等が剣をふるって暗殺・・・ということになるのかもしれないが,現代社会ではそういうことは滅多に起きない。
利他的であるということを国家レベルでイメージすると,それは,真の意味での「愛国心」ということになるだろう。
日本国憲法レベルで「利他的であること」は「全体の奉仕者」という表現で書かれている。要するに,公務員のことだ。この公務員には一般職公務員と特別職公務員の両方を含むので,全ての公務員は国民全体に対して奉仕者でなければならない。この語の語源は英語にあり,public servantがそれに当たる。米語では,公務員のことをOfficialsと言うから,日本国憲法における公務員概念のエッセンスは本当は英国流にルーツをもつものかもしれない(起草者であるGHQ担当者の脳裏には英国流憲法のほうが米国流憲法よりも日本にはマッチしているという考えがあったのだろう。日本国において天皇制を廃止して大統領制を導入すると,とんでもないことになると考えていたのに違いない。この考えは正しい。例えば,自分が最も嫌うタイプの政治家を誰か一人選んだ上で,もしその者が日本の大統領になったらと想像してみれば,すぐに理解できることだろう。憲法によって誰も大統領になれないようにしておいたほうが日本国の政治的安定のためにはベターなのだ。日本の一般的な政治家の特性として,もし仮にいったん大統領になってしまうと,私利私欲に走り,クーデターでも起きない限り,どんなことがあっても自らは絶対に辞任しないだろうということは眼に見えている。)。
要するに,公務員は,利他的でなければならない。利他的であることを本質とする職業なのだ。
そのことを忘れてはならない。
ちなみに,企業の経営者についても同じようなことが言えるかもしれない。
利他的なように装う利己主義者(偽善者)に騙されてしまった有権者は気の毒としか言いようがないが,本当に利他的である人かどうかを見極める力がなかった自分の無能と愚かさを嘆くべきだろうと思う。
古い格言だが,ある国において,その国の国民のレベル以上の政治家を生み出すことはできない。政治家のレベルは,国民のレベルを素直に反映している。民主制の下においては,そのことが最も顕著に現れることになる。
政治ではなく,普通の社会生活においてもそうだ。
「巧言令色すくなし仁」
下記の記事が出ている。
How Anonymous hacked the security firm hacker
Guardian: 17 February 2011
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2011/feb/17/wikileaks-internet
ある自治体で,芸術振興の目的ということで,芸術家の手形を刻印したタイルを歩道に埋め込むことを企画しているそうだ。同じようなものは既に全国各地にある。
しかし,これは失礼なのではないだろうか?
名誉を称えられるべき方々を泥のついた靴で踏みつけるのだ。どんでもない侮辱としか言いようがない。
ただし,同じような侮辱的行為は,政府などの中でもしばしば観られる。正義のための国家組織であるべき裁判所にも存在し,例えば,最高裁の建物のメインエントランスにもある。それは,床板に使われている大理石なのだが,韓国産だそうだ。とても美しい大理石なのに床に用いられ,そこを通る人々によって踏みつけられる。そのことを韓国の人々が知ったら,とんでもない侮辱だと感ずることだろう。ちなみに,現在の最高裁の建物は,誰が設計したのか知らないが,とんでもなく高価なものだったし,どうしてあのようなデザインになってしまったのか,誰も合理性を説明することができない(西洋の中世のお城のイメージでデザインされたものだというのが公式説明だったのだが,その説明に「合理性がある」と思ったことはこれまでの人生でただの一度もない。大理石をふんだんに用いているのは過激派によるロケット弾攻撃にも耐えられるようにするためという説明だったが,私の見解では,ロケット弾の攻撃に対してはほとんど耐えられない構造であり,簡単に攻撃・破壊できる建物だと思っている。ちなみに,弁護士会館の建物がバブリー過ぎることも多数の弁護士から批判のあるところだ。)。
要するに,日本の指導的立場にある人々の中には,こういうあたりの感受性のひどい乏しさが常に顕著に見られる人が確かに存在する。
傲慢や優越感の一種なのかもしれない。
下記の記事が出ている。
Google asks US Patent Office to rethink Oracle Java patents
Register: 17 February 2011
http://www.theregister.co.uk/2011/02/17/google_wants_reexamination_of_oracle_java_patents/
なお,この関連の過去記事については,「特許」のタグで記事を一覧表示させると見つけることができる。
下記の記事が出ている。
「非出会い系」被害の子供、GREEが突出 「特定社が増やす」と業界怒り
産経ニュース: 2011.2.18
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110218/crm11021800230000-n1.htm
私は,様々な理由により,アクセスしないことにしているサイトがいくつかある(有名サイトだけで5箇所以上ある。)。もちろん,Google検索などでたまたまヒットしてしまった場合に偶然アクセスしてしまうことはあるので,意図的または意識的にアクセスしないようにしているサイトだという趣旨だ。
サイトの名前を見ただけで,寄るべきではないと直感することができる。
被害に逢う児童には,そうした直感が働かない要素が何かあったのだろう。
********************
私が何を言わんとしているかについてどうしても知りたいという読者もあるだろう。
「ここではないか?」とめぼしをつけることのできるサイトがあったら,株主構成,出資者,役員構成などを詳密に調査してみると良い。誰でも納得できる理由を発見することができる。
下記の記事が出ている。
Google will launch iTunes music store competitor with upgrade to Android
Guardian: 16 February 2011
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/feb/16/google-music-itunes-competitor-android
これで音楽コンテンツ産業の将来はほぼ決まったのではないかと思う。
超供給過剰とダンピングの繰り返しの結果,コンテンツが完全に飽和してしまうことにより,音楽コンテンツの有償提供というビジネスそれ自体が世界規模で全面的に崩壊することになるだろう。
今後,音楽産業は,リアルでも仮想でも,そもそもビジネスとして全く成立しなくなってしまう可能性が高い。
会計処理及び税務上でも,コンテンツの資産価値をゼロと評価すべき時代がまもなくやってくる。
****
では,音楽それ自体は滅びるのだろうか?
そんなことはない。
芸術性の高い音楽作品は生き延びる。学生がサークルの演奏会で演奏し続けることだろう。
宗教音楽は生き延びる。信者が守るからだ。
音楽協会のような支援団体が組織可能なカテゴリーは生き延びる。文化として必要だからだ。
辻芸人,「かどづけ」,路上パフォーマンス,物乞い芸人等の実演として生き延びることのできるものもあるだろう。もともとそうだったので,基本型に戻るだけのことだ。
下記の記事が出ている。
Scientists build the world's first anti-laser
BBC: 17 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12453893
私が担当している「専門演習法情報学」のゼミ生である全柱顕さん(韓国からの留学生),浦吉由美子さん,太田圭祐さん,武藤壮登さんの4名の学生が,明治大学の法学会で毎年募集している学生論文に応募していたのだが,この応募した論文が採用され,雑誌に掲載されることに決まったとの連絡を受けた。「優秀賞」ということだ。
論文のタイトルは,『RFIDシステムにおけるセキュリティと法的課題~プライバシーデータ保護を中心として~』だ。
今年は,各ゼミとも論文作成に力を入れていたらしく,応募者が多く激戦だと聞いていたので,入賞するのは難しいのじゃないかと思っていたのだが,見事に入選した。よかった。
昨年も入賞しているので,2年連続ということになる。
ゼミ学生諸君の努力の成果だ。
私としても,とても嬉しい。
[このブログ内の関連記事]
ゼミ学生の論文が受賞
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-448b.html
国のトップ(国務大臣など)や企業のトップ(経営陣)が「悪」をなすというタイプの事件が相次いでいる。最高トップとしては,イタリア大統領の少女買春疑惑,エジプト元大統領の不正蓄財疑惑,日本のロッキード事件など,現代に属する世界においても何百・何千もの実例がある。一般に,「腐敗しない権力者」は存在しない(「清廉潔白な権力者」など絶対に存在し得ない)ので,当然と言えば当然の結果なのだが,それにしても程度問題というものがあり,ちょっとひどすぎる例が多いように思う。
国の例として,独裁国家の独裁者が権力を濫用し,「悪」をなすのは当然のことだ。悪をなしたいから独裁していると言っても良い。他方,独裁国家でない政治体制の国においても国のトップが「悪」をなすという事例がいくらでもある。最近では台湾の事例がある。国務大臣が中国のスパイであり,米国製兵器等に関する軍事機密を中国に流していたとされている。
企業の例としては,エンロンやリーマンの例が有名だが,最近では,フランスのルノー幹部の事件がある。
日本でも数え切れないほど多数の例がある。最も最近の例としては,岡本ホテルグループによる投資詐欺事件がある。この事件の容疑者は,ホテルオーナーではあったが暴力団そのものだった。投資者の中で,岡本ホテルの経営者が暴力団そのものだということを知っていた人は皆無に近いだろう。現実には,暴力団に支配を奪われてしまっている企業がかなり多数存在する。推測だが,まだ発覚していないだけのことで,他にも様々な犯罪を実行する目的で,「企業」という道具が暴力団によって使われている例がいくらでもあるだろうと思う。
さて,現在のマネジメントシステムは,国際的に標準とされているものや政府がガイドラインの形式で策定しているものを含め,トップが健全であることを大前提にしている。ここに致命的な欠陥がある。
トップが「悪」である場合,または,組織の存在それ自体が「悪」である場合を想定したプロシージャが存在しなければならない。
例えば,①部下が上司やトップを犯罪の現行犯として逮捕できる場合の要件・方法,②正当防衛として部下が上司やトップに対して何らかの攻撃を加えることのできる場合の要件・方法(自分が口封じのために殺されそうになっている差し迫った状況があり,他に防衛のために適切な方法がない場合には,正当防衛のための措置として加害者である上司やトップを殺害することが許される場合さえあり得る。),③部下が上司やトップを告訴・告発するための要件・方法(トップが悪である場合には公益通報者のシステムが機能しないので,内部通報システムを利用してはならない。直ちに,警察・検察に告訴・告発をする必要がある。)等をマネジメントシステムに予め組み込んでおく必要がある。
簡単に言うと,「経営陣は常に100パーセント善であるとは限らず悪であることもある」という古今東西極めて自然に観察可能なごく当たり前のことを承認し,一個人に過ぎない従業員等が,悪に対していかに合法的に抵抗し,悪を破壊することができるかを一般定式化して,マネジメントシステムの中にビルトインしておくだけのことだ。これは,遺伝子で言えば自己崩壊機能に相当するものだ。
そして,監査や認証という側面では,経営陣が「悪」であることを想定したポリシーとコントロールが用意されていない場合には(「悪」をなす経営陣を排除し経営支配を奪取できるポリシーが必要になる。これは,現在の経営主体が自己否定するための要件を予め定めておくようなものだ。現在の会社法に定める諸手続きでは全く間に合わないし,全然役に立たない。),ゼロ評価にするということが必要になるだろう。
このようにしても,トップから末端まで全員暴力団員である企業等の場合には,マネジメントシステムはやはり何の役にもたたない。
要するに,マネジメントシステムという考え方は,それ自体として,そもそも最初から非常に大きな限界があることを素直に承認しなければならない。そして,それに乗っかっている監査や認証にも同様に非常に大きな限界があることを知らなければならない。
では,どうしたら良いのか・・・
あれこれ考えていると,結局,ホッブスの世界に戻ってきてしまうのだ。
***********************************************************
(余談)
悪人をなくする方法はないが,悪人を見つける方法はある。
例えば,上司に対して,「上司が犯罪者である場合の対応を社内規則で明確にしてください」と上申してみると良い。
横領,背任,各種業法違反,脱税その他もろもろ「やましい気持ち」のある上司やトップであれば,それなりの態度の変化(怒り出すか,妙に冷淡になることなど)があるので,リトマス試験紙のようにすぐに観察結果を出すことができる。ただし,最初から冷静に観察する気でいないと観察できない。
そして,悪い結果の出た企業は,そのまま在職し続けても犯罪の手先として使われることがわかりきっているので,さっさと退職し,別の生き方を見つけたほうが賢明というものだ。
**********************
なお,政治の場合にはやや面倒な問題がある。
あくまでも一般論だが,親米的な内閣の場合,親中国的な政治家を仮想政敵として扱うかもしれない。逆に,親中国的な内閣の場合,親米的な政治家を仮想政敵として扱うかもしれない。
ここでは,「悪」が相対的になってしまっている。
所詮政治は,単なる力関係に過ぎないので,正邪とは無関係だし,社会正義や善とも全く関係がないのかもしれないが,互いに悪とみなし合っている勢力が同一のマネジメントシステムを用いている場合,相互にスパイになっている関係が成立するから,「むしろマネジメントシステムが存在しないほうが正常かもしれない」という非常に奇妙な関係が成立することになるだろうと思われる。
[追記:2012年2月24日]
本文の中で,「自分が口封じのために殺されそうになっている差し迫った状況があり,他に防衛のために適切な方法がない場合には,正当防衛のための措置として加害者である上司やトップを殺害することが許される場合さえあり得る」と書いた部分について,「書きすぎではないか」との御批判を頂戴した。
書きすぎだとは思わない。
リビアのカダフィ大佐はリビアのトップだ。そのトップが国民の大半を裏切り,自分の私的戦闘武装部隊(大半が外国人傭兵)を用いて国民を虐殺している場合,リビア国民は,基本的人権の一種である抵抗権の行使として,カダフィ大佐及びその私的軍隊と交戦し,場合によってはその戦闘の中でカダフィ大佐を殺害してしまうことがあったとしても,それは合法的なこととして許されると解するのが世界の普通の考え方だ。もちろん,国家秩序が正常に機能している状況の下では,警察官がカダフィ大佐を殺人者として逮捕し,普通に裁判をし,普通に死刑執行をすることになる。しかし,リビアには憲法も法秩序もない。警察官が大佐を逮捕しようとすれば,その警察官は必ず殺されてしまうことになるだろう。そのような状況の中では,基本的人権の行使として,抵抗権を行使することしかできないのだ。
戦時と平時が常に共存する状況の中では,これらのことが常に同時進行的に発生する。
凡庸な法律家には全く理解できないかもしれないが,私見は,最も正しい。
下記の記事が出ている。
Cyber war threat exaggerated claims security expert
BBC: 16 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12473809
どこかの国の諜報部が上記の記事内で紹介されている会議等を通じて火消しのようなことをはじめたということなのだろうと推測する。
本当は,「戦時と平時が常に共存する状況」だと認識するのが最も正しい。
RSAやシマンテックだとは言わないが,世界の有名なセキュリティ企業の中に既に多数のスパイや情報犯罪者がもぐりこんでいる可能性を否定するなどということは相当頭の悪い人でもしないことだし,そもそも当該国の諜報機関と円滑な関係を結ぶことなしに当該国内における業務を遂行できるわけがない。
つまり,誰もどうにもできない状況が存在するのだ。
下記の記事が出ている。
Study Identifies Visual Privacy As Weak Link In Data Security Practices
dark READING: Feb 14, 2011
http://www.darkreading.com/insider-threat/167801100/security/privacy/229218623/study-identifies-visual-privacy-as-weak-link-in-data-security-practices.html
現実にはもっと多いだろうと思う。
自分自身を実験台にして様々な実験を試みてきたが,予想以上にひどい結果となった。秘密を守ろうとする従業員はほとんどいない。公務員でも同じ。なぜなら彼らは全員普通の人間なのだし,普通の人間には欲望があり,かつ,口が軽くておしゃべりなものだ。そして,何よりも他人の不幸を話題にしたり他人の悪口を交わして喜ぶ者が異常なほど多数存在している(3分の2をはるかに超えていると思われる。)。つまり,どうやっても秘密は守れない。
とはいっても回避策が全くないわけではない。
企業の場合には,経営者以外の従業員を全員解雇し,100パーセントロボット化することだ。そのような企業では従業員が存在しないので,従業員が機密情報を社外に持ち出すことも最初からあり得ない。横領も完全にブロックすることができる。
同様に国家機密を完全に保護する回避策もある。国民を全員抹殺することだ。抹殺してしまえば機密情報を持ち出す者が最初から存在しないことになる。国民が一人も存在しないので,一切の犯罪が発生することがない夢のような国になる。
これまた,対象を消滅させれば問題がなくなるという一般的パターンの一つに過ぎない。
下記の記事が出ている。
売れないDVD 洋画は4分の1に 地デジに画質負け
産経ニュース: 2011.2.15
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110215/ent11021523100014-n1.htm
いろいろなところでリサーチしてみているのだが,映画DVDはもちろんのこと音楽DVD等も全く売れなくなってしまう時代が来る可能性が高い。
いろんな理由が考えられることは上記の記事にもあるとおり。
私なりに評価してみると,要するに「コンテンツがつまらない」のだ。
売れるわけがない。
にもかかわらず駄作がどんどん製造されるため,コンテンツ数だけは全人類が総がかりになっても消費しきれないほど多数になり既に飽和している。もちろん,普通の人はそんなに暇ではないので,明らかに非常に深刻な供給過剰になっているのだ。
にもかかわらず,今後もどんどん新作がつくられ続けることだろう。
そして,ますますもって飽和が進むことになる。
けれどもオリコンなどのヒットチャートは存続し続ける。冷静な若者達は,とんでもなく少ない数しか売れていないのに相対的に1位であれば1位になってしまうので「どうせプロダクションが宣伝用に買って順位を意図的に押し上げているのだろう」くらいに冷めた眼で見ていることが珍しくない。
とにかく,エキサイティングになったりホットになったりする要素が全くないのだ。
究極的には,誰も見向きもしなくなるのに違いない。
「可愛い」とか「格好良い」とか言って喜んで購入したデバイスが本当は血塗られたものであるかもしれない。下記の記事が出ている。
Apple report reveals child labour increase
Guardian: 15 February 2011
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/feb/15/apple-report-reveals-child-labour
Appleに限らず,中国に主要な製造工場のあるIT企業では,極めて劣悪な労働条件(労働時間,汚染された労働環境,低廉な賃金)や違法な児童の酷使等がしばしば問題として指摘されてきた。
今回,Appleが自ら調査して事実を認めたことそれ自体は評価できる。しかし,「社会的な批判が生じるまでは何もしない」という姿勢はいかがなものかと思う。
日本の企業も例外ではない。
そして,過去に何度かこのブログでも記事にしたことがあるが,製造段階でチップの中にスパイウェア等が組み込まれてしまっているかもしれないという疑念については,Appleを含めどの企業もまともに調査をしていないのではないかと思う。調査できない事情があるのだろうと推測する。
あくまでも一般論だが,危機管理の主体である経営陣が既に危機管理をすることが許されない状態になっている場合,どのような危機管理マネジメントも全く機能しない。現代のマネジメント理論は,通常,経営主体が健全であることを大前提にしている。各種監査や認証業務のシステムもまた,この大前提が成立することを前提に構築されている。しかし,現実にはこの大前提が成立しない可能性が高いかもしれない。
経営陣が「悪」である場合にも正常に機能するような新しい理論と方法を構築しなければならない。
下記の記事が出ている。
Stuxnet virus targets and spread revealed
BBC: 15 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12465688
既に様々なところで書かれていることでもあるのだが,このようなタイプのマルウェアが登場したことで,世界のパワーバランスは大きく変化してしまったと言える。
核攻撃を行うために,核弾頭搭載可能な大型ミサイルを開発する必要が全くなくなってしまったからだ。
相手国の原子力施設をマルウェアによって破壊し,チェルノブイリ原発事故と同じような事故を発生させれば足りることになる。
そして,ミサイルや核弾頭を開発する必要がないため,偵察衛星等によって核攻撃のリスクを評価することが全く不可能となってしまった。
日本国の国防を考える場合,日本の原子力施設においては,セキュリティチェック等をこれまでの100倍以上に増強し,従業員や業務委託先等の身辺調査を確実にしなければならない(正確には,経営陣や幹部従業員の中に既にスパイが多数存在する可能性がある。イランの事例がそのことを示唆している。)。その理由は,原子力施設でのウイルスの感染は,内部者の中に既に紛れ込んでいるスパイによってもちこまれる可能性が非常に高いからだ。
それと同時に,常に実弾装備をした自衛隊を多数派遣してガードし続ける必要がある。そうでなければ,いつ破壊活動が開始されるかわらない。自衛隊によるガードが難しいのであれば,常時武装した警官多数によってパトロールと防御をするようにしなければならない。その理由は,武装集団による暴力的な侵入によって管理を奪われてしまうことも十分あり得るからだ。なにしろ,民間の原子力施設はほとんど「まるごし」の状態だ。
理想的には,原子力施設を可及的速やかにすべて廃棄するのが望ましい。対象が存在しなければ,攻撃が成立することもあり得ない。
ニューヨークタイムズに面白い記事が出ていた。
A Fight to Win the Future: Computers vs. Humans
New York Times: February 14, 2011
http://www.nytimes.com/2011/02/15/science/15essay.html
なお,過日,人間とコンピュータとの将棋の対戦が行われ,僅差でコンピュータの勝ちになったと報道されていた。
これは,インチキだと思う。
なぜなら,そのコンピュータのソフトウェアは,何種類かのクセのある思考プログラムを併行して走らせ,その多数決によって次の一手を決めていたからだ。もしそれが許されるのなら,人間のほうも多人数で多数決により決めることが許されなければならない。
コンピュータが物理的に1台にしか見えない場合でも,現在のコンピュータの主流は並列処理になっているので,実は複数台のコンピュータが存在している。
そこらへんのまやかしを排除して公平・対等な条件を設定しない限り,どのような対戦結果も私は承認しない。
要するに,まやかしだ。
下記の記事が出ている。
Spanish police arrest man over Nintendo gamer hack
BBC: 14 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12456922
バルセロナでは世界モバイル会議というイベントが開催中だ。その様子がBBCで報じられていた。この分野の変化は著しい。
Google Android dominates Mobile World Congress show
BBC: 14 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12446924
抽象化して考えると,要するに,一定期間単純再生産を繰り返すことによって初期投資などのコストを回収し,利益をあげるというモデルが通用しない社会になってきているのではないかと思う。1発でコストを回収し,莫大な利益をあげるか,または,投資者から更に投資を引き出すという方法によるしかない。
しかし,後者の方法は,実は大きな問題がある。ねずみ講と同じで,いつか必ず破綻するモデルなのだ。
つまり,現在のようなことを続けていれば,世界恐慌が不可避となる。
「死の舞踏」とでも名付けるべきか・・・
下記の記事が出ている。
HP launches webOS products, but no ecosystem
Register: 13 February 2011
http://www.theregister.co.uk/2011/02/13/hp_webos/
下記の記事が出ている。
Nanowire processor signals route to ever-smaller chips
BBC: 10 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-12417858
会員向けに発行しているニューズレターに掲載した「魔法の指輪」がどんどん現実味を帯びてきた。
指輪の宝石サイズのマシンに世界中の全てのアプリケーションとデータが最初から記録されているので,パブリッククラウドなどネットワーク上のサービスサイトからアプリケーションやデータをもらう必要が全くない。文字通り他人との間の通信にのみネットワークシステムが使われるというかたちに純化された世界がやってくるだろう。
Webベースでのアプリケーションサービスというビジネスモデルは,かなり短命で終わりそうだというのが現時点での私の結論だ。
さきほど,たまたま居間を通ったら,妻がTBSの視聴者投稿ビデオ紹介番組を視ていた。
そのときに流されていたのは,任天堂のスーパーマリオのキャラクタと音楽を使ったコマ撮りビデオだった。高校生が作成し投稿したものとのことで,その努力は賞賛に値する。
しかし,スーパーマリオのキャラクタと音楽の著作権は任天堂が保有するものであり,その作品は,任天堂が有するキャラクタと音楽の著作権を侵害している。
そして,更に問題なのは,何の問題意識もなく著作権侵害物をテレビ放送しているTBSの経営姿勢にある。
著作権侵害物を放送したテレビ局だけではなく,出演者全員が共同正犯的に違法行為をしていたとみるべきかどうかは論者によって異なるだろう。
なお,この行為は,著作権法だけではなく放送法にも抵触する可能性がある。
監督官庁は,厳重な行政指導を検討すべきだと思われる。
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誰でも投稿できる動画投稿サイトの中には,この手の作品がいくらでもある。
しかし,動画投稿サイトの大半では,適法性審査のプロシージャが存在しない。
いろいろな考え方があるけれども,そのようなプロシージャがないサイトは,原則として,サイトの存在それ自体として「違法なサイト」であると考えるべきではないかと思われる。
なお,テレビ番組をネットコンテンツとして送信するビジネスが今後拡張するものと思われるが,ここでもまた同じ問題がある。もしコンテンツの適法性審査のプロシージャが存在しなければ,ビジネスモデルそれ自体として違法であると考えるべき余地がある。
詳しいことはかけないが,今後,ノーティスアンドテイクダウンだけでは済まされない時代が必ず来る。プロバイダは,そのことを念頭に置きながら,ビジネスモデルと約款の根本的な見直しをしなければならないだろう。
下記の記事が出ている。
Protection of freedoms bill: what does it mean for free data?
Guardian: 11 February 2011
http://www.guardian.co.uk/news/datablog/2011/feb/11/protection-freedoms-bill-data
この記事の中で注目したいのは,政府がPDF形式で電子化された情報を公開することは,情報の再利用という点で問題があるという部分だ。つまり,PDFは便利なのだけれど,再利用という点では必ずしも便利ではない。もしそれがXMLなどの汎用的で標準的なマークアップ言語で記述されたファイルであるとすれば,再利用の可能性は飛躍的に拡大する。
ただし,ここで問題となることは,文書は,文章としての意味内容だけが問題なのか,それともフォームを写真的に再現できているかどうかも問題なのか,という点だ。
もし意味内容だけが問題であるとすれば,PDFに対するXMLの優位性は疑うべき余地がない。
しかし,例えば,証拠または歴史的価値という観点から考えてみると,ある文書がどのような「かたち」のものとして生成され保存され利用されていたかということそれ自体が非常に大きな重要性を持ってくる。この点では,PDFやXMLなどを含む電子化された文書に対するマイクロフィルム(マイクロフィッシュ)の優位性は,これまた疑うべき余地がない。マイクロフィルム(マイクロフィッシュ)では,後になって電子的な改変を加えることが不可能だという点で証拠としての相対的優位な価値を有している。
ひとくちに「情報公開」と言っても,そもそも公開の対象となる「情報」の概念をきちんと定義した上で議論がなされていない場合が非常に多い。場合によっては,定義をすること(=要素集合を解析し構成すること)について全く能力を有しない者が専門家顔をしている場合さえあるので,ますますもって混迷を深める原因をつくってしまっている。
このような要素集合の解析と構成は,実は理系の仕事ではなく文系の仕事だ。ところが,それを電子的な構成物として生成するための「技術」についての専門性は理系のテリトリーに属し,文系には属していない。
要するに,理系・文系という分類がそもそも間違っているのかもしれない。
少なくとも,現代社会においては,3つ以上の専門性を完全に身につけているのでなければ,飯を食っていくことが難しくなってしまっている。例えば,ビジネス弁護士であれば,会計及び税務の分野に関する専門性も完全に具備してないと平凡の域を脱することができない。サイバー法の分野では,これに電子技術と実務経験が付加される。
かなりハードな時代になってきたと言えるのだが,それをこなせる人間しか専門家とは言えないのは,(現象形態としては少し違うかもしれないけれど)本当はどの時代でも同じかもしれない。例えば,日露戦争だけに限定すれば,児玉源太郎を優れた軍人としてとらえることしかできないかもしれないが,戊辰戦争~西南の役~日清戦争~台湾総督のころの児玉源太郎を考察してみれば,単なる軍人ではないということがよくわかるし,そうだからこそ,あれだけの仕事をこなすことができたのだということを簡単に理解することができる。そのようにずっと思ってきたところ,雑誌『歴史街道』2011年3月号に児玉源太郎の特集記事が出ていた。病院で診察の順番を待っている間に読もうと思って購入したものだ。その記事を読んでみて,自分だけがそのように思っていたのではないということを知り,少しほっとした。
体調不良に苦しんでいる中で,あるトラブルが発生した。痛みに耐えながらどうにか対応し,ことなきを得た。
それはインターネットサービスプロバイダ(ISP)がらみのトラブルだった。
対応の中で興味を持ち,そのISPの利用約款を丁寧に読んでみたところ,随所に法律上無効な条項が存在していることが判明した。そこで,他社の利用約款(複数)も同様に丹念に読んでみた。やはり,同種の法律上無効な条項が多数存在することが判明した。
その多くは消費者契約法8条と関係するものだが,他の法令と関連するものもある。要するに,ISPの大半は,最も基本的な部分でコンプライアンスの要請を満たしていない。
その原因についてはいろいろと思い当たることもあるのだが,基本的に,ISPが顧問弁護士とちゃんと相談しながら約款を作成していないか,または,顧問弁護士が適切に対応していないかのいずれかではないかと推測される。また,ISPの業界団体も正しい対応をしてこなかったと推察される。
あくまでも一般論だが,企業は,顧問弁護士を雇っている場合でも,通常業務に関して弁護士のアドバイスを求めることをひどく嫌う一般的な傾向がある。それは,経費の問題によるのかもしれない。しかし,顧問弁護士を雇っていればそれで足りるという姿勢では,正しい経営姿勢だとは言えない。問題が生じてから泣きついても「あとのまつり」的な状況になってしまっていることが決して珍しくない。
早急の改善が望まれるし,また,消費者庁その他の関連各省庁(警察庁を含む。)としても適切かつ強力な行政指導をすべきだと考える。
下記の記事が出ている。
Hackers hit 'at least five oil and gas firms'
BBC: 10 February 2011
http://www.bbc.co.uk/news/technology-12416580
インターネット経由で接続して管理可能なタイプのスマートグリッドは非常に危険だ。アクセス管理がきちんとなされていないプラント管理システムは致命的だ。
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体調不良のため,ブログの更新が著しく遅滞しています。
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