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2011年1月26日 (水曜日)

米国:ホワイトハウスで反米・中国共産党礼賛曲の演奏

下記の記事が出ている。

 ホワイトハウスで反米ソング 米政権が大恥
 産経ニュース: 2011.1.25
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110125/amr11012521500129-n1.htm

この出来事には大きな意味がある。

1) 米国人には中国人のもつ「面子」という概念はないかもしれないが,「誇り」という概念はある。この事件は,米国市民の一般的な反中感情を極めて悪化させるかもしれず,その結果,せっかくできた商談がキャンセルとなる可能性がある。米国政府は,そのような結果を期待して,放任したのかもしれない(肉を切らせて骨を断つ)。

2) 外交において他国の面子をつぶすことは,とてつもない国益を損なう結果となることがある。中国の国家首席がそのことを理解していなかったか,または,理解していたとしても事前に情報をキャッチし適切にコントロールするだけの実権を失っていたかのいずれかの状態にあると推測させる極めて深刻な政治的効果をもつことになる。

3) 反米曲でも許容した米国は「自由」を愛する国だという印象を損ねることはない。むしろ,自由を愛する文明国(大人)であるとの評価を維持することができる。これに対し,反米曲を選択した者のような者は,結果的に,中国人の全てがそのような「小人」であるという印象を根付かせてしまったかもしれない。それは,今後の米国の対中方針を決定付けてしまう可能性がある。

4) 国益を損ねる行為が個人のスタンドプレーであった場合,その個人は,当然のことながら(物理的または社会的に)消されてしまうことになるかもしれないし,少なくとも責任逃れのための弁解を繰り返さざるを得なくなるだろうし,米国で演奏活動をして収入を得ることが非常に難しくなるだろう(そうならないかもしれない。)。もし最悪の結果となった場合,「中国とはどのような国であるのか」について,世界中に決定的な固定観念を形成してしまうかもしれない。

5) 以上を総合すると,今回の出来事によって,中国の側に非常に大きなマイナス点がついたことになるだろうと評価する。失敗だといえる。

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