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2011年1月 4日 (火曜日)

Hotmailに大規模な障害が発生

下記の記事が出ている。

 Microsoft restores Hotmail service after glitch
 REUTERS: Jan 3, 2011
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE7023KA20110103

パブリッククラウド環境上に構築されたメールサービスでは,世界規模で非常に大規模な障害が一斉に発生する可能性がある。このことは,Webメールという名前でサービス提供されているものを含め,クラウドベースでのメールサービスすべてについて言えることなので,いずれGmailなどでも同様のことが起きるだろうと思う。

特にトラフィックが集中する時期に問題が生じやすいので,今後は,人為的にトラフィックの集中を発生させるような攻撃がどんどん行われるようになる可能性がある。

このような問題を避ける方法は簡単だ。巨大メールサービスだけを利用することはやめ,ローカルな小規模メールサービスを複数併用し,危険を分散することだ。

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(余談)

大学の中には,民間企業のパブリックサービスに全面的に依存しているところがある。私は,そのような大学で仕事をしたくないし,若い人には受験させたくない。もしその企業が提供するサービスに重大な支障が発生したり,その企業が倒産したりしてしまったら,一蓮托生とでもいうべきかその大学も巻き添えを食って業務遂行不可能な状態となる。

ことのことは,自治体クラウドでも全く同じだ。

世の中の無責任な人々は,サービスを提供する企業や組織が絶対に倒産しないという前提でものごとを述べている。これは明らかに間違っている。終わりのない組織は存在しないし,その終わりがいつ到来するのかを予測することはできない。今日かもしれないし明日かもしれない。現実に,昨年1年の間だけでも,私が知っている企業の中の何社かが倒産したり他の企業に吸収合併されたりしてしまった。米国の超巨大有名企業でさえ倒産したり倒産寸前の状態になったりするのが普通の時代なので,安全な企業など世界中のどこにも存在しない。

それでも,どうしてもパブリックサービスの利用を宣伝したいというのであれば,仮にそのサービスを提供する企業が倒産するようなことがあっても,その利用者に困難や支障が発生しないようなフェイルセーフを同時に提案すべきだ。そうでなければ,単なる詐欺師と同じことをしているのだと理解している。

なお,当たり前のことだが,「3重バックアップがあるから大丈夫!」というタイプの説明の仕方は,倒産という文脈では全く意味をなさないし,もちろんフェイルセーフにもなっていない。この点でも詐欺的な説明がなされることがあるので,気をつけるべきだろう。なにしろ,そのバックアップの運営主体である企業それ自体が倒産してしまうのだから。

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コメント

読者さん

コメントありがとうございます。

ご指摘のとおりです。私が何を言おうと世間が変わることはありません。変えようとすると,飯を食えなくなってしまう人が何万人も出てくるでしょうしね。

私は,このような流れのようなものを「戦争」のときと似ていると思っています。

誰だって殺し合いなどしたくない。でも,戦争が開始されると,誰もとめることができない。そして,何百万人あるいは何千万人さらには何億人かの人々が殺されてからやっと「なんてことだ!」とみんな言い出すんですよ。

パブリッククラウドの未来は,間違いなくそうです。

そのようになると,みんな「本当は反対していたんだ」と弁解するでしょう。「だったら,最初からそうしろ!」というのが私の気持ちです。私は,自分の子供たちに嘘をつきたくないので,正直に書いてます。いずれ私の意見だけが正しかったということを歴史が証明してくれるでしょう。あと数年もたたないうちにそのことが証明されることになるのは絶対確実だと思っています。

お気の毒ですが,パブリッククラウドで金儲けをしようとしていた人々の中の非常に多くが瀕死の状態でうめき声をあげている姿が私には明確に予見できます。

それを避ける方法はひとつだけです。

「ユビキタス」なんてばかげたことはやめること,そして,プルーラリズムを基本とすることです。

このように考えているわけですが,もちろん,世間では全くうけいれられないことも承知しています。そうであればあるほど,後の時代に,私だけが正しく,大半の人は馬鹿であるか嘘つきであるかのいずれだったということがますます際立つので,私にとっては大いに利益のあることでもあります。

とりわけ,政治にしろ学問にしろ,指導的立場にあるべき人々が,まるで「裸の王様」を褒め称える大人たちのようになってますね。(冷笑)

さて,このブログは,書きなぐりのものですし,自分の個人的な意見をわがままに書き散らしているものです。

私も愚かな人間の一員ですので完璧なはずがないどころか,むしろ凡庸か愚鈍に属する者の一員だと信じています。それゆえ間違いや誤解などもあるだろうと思います。ご指摘いただければ幸いです。

投稿: 夏井高人 | 2011年1月 9日 (日曜日) 17時24分

 アラブにおけるブラックベリーの使用禁止の検索を閲覧していると、このサイトに当たりました。的確に正しい情報を発信しており、素晴らしいなと感じるとともに有益でした。

 さて、色々な情報を見ていますが、どれも大変素晴らしいのですが、気になる事がありましてコメント致します。一意見として聞いていただければ幸いです。

 グラウドは、たしかに貴殿が指摘するような危険性を有しています。しかしながら、この流れは、変わらないでしょう。意見がマイノリティとかそういう話でなく、思考プロセスにおいて指摘致します。例えば、ワードとかエクセルとかでデータを皆さん作成されると思います。仮にマイクロソフトが倒産すると、困るのではないでしょうか。また、日本は、米以外の食料も自給率100%程度にしなくてはいけないのではないでしょうか。信頼を元に生活しているのではないでしょうか。

 次に、自前でシステム又は、サーバーを所有されても同様に思います。なぜならば、サーバーやプログラムを自前で製作しているわけではないからです。これは、市販ソフトでも同様です。A社のサーバーが駄目だから、B社のサーバーで代用することは出来ますが、互換性がないためシステムは全て変える必要が出てきます。プログラムも同様であり、自社でエンジニアを抱える必要性があります。どこの大学でもシステム全般は委託しているのではないでしょうか。つまり、自前のシステムと言っても実際は、お金を出しているだけであり、自分達で製品やプログラムを構築していないはずです。そうであれば、グラウドと同じく一時的な時間損失(機能不全)が起こるのは、同じだと言えます。

 単なるデータ(ストレージ)なら問題はありません。同様にメールの場合は、データを外部に保存し、かつ複数のアドレスを所有すればリスク管理は出来ます。

 ミラーサーバーやデータセンターの遠隔地化、データのバックアップ体制の話でなく、企業存続という観点で考えるならば、地球に大隕石が衝突した場合を考えるのと同様に思います。勿論、小さな企業だと話は変わってきますけど、ワールドクラスの企業であればその管理体制、復旧体制なども素晴らしく、通常のシステムメンテナンス委託よりコストだけでなく体制も素晴らしいと考えるのが妥当でしょう。

 最高の環境でもサーバー所有のメンテナンス職員がいる程度であり、プログラミングやサーバー会社倒産(ストックなし)という問題が起こります。サーバーを製造している会社であれば、自社サーバーであり、プログラムもメンテナンスもすぐに行えるという貴殿の本当の意味での条件を満たされる職場環境に思います。

 ちなみに、大地震や停電時のバックアップ体制なども同様の事が言えます。これらも一時的な障害になるでしょう。そのための自家発電や大規模地震に備えた建築物は、日本ではごく一部です。 
 末尾になりますが、これからも素晴らしい情報発信を期待しています。また、学習させて頂きます。

投稿: 読者 | 2011年1月 9日 (日曜日) 17時05分

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