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2010年12月16日 (木曜日)

ドロップシッピングで儲かると顧客を集めていたバイオインターナショナル(業務停止命令により業務停止)に対し,業務内容の主要部分が虚偽であるとして損害賠償請求を全額認容する判決

下記の記事が出ている。

 「ネットに店舗、もうかる」はうそ 業者に賠償命令
 asahi.com: 2010年12月1日
 http://www.asahi.com/national/update/1201/NGY201012010017.html

ドロップシッピングについては,とかく問題が多く,この判決の被告会社も業務停止命令を受けている。もしこの判決の事実認定のとおりだとすれば,被告会社の行為は,詐欺そのものだと言えるだろう。

なお,ドロップシッピングは,国際的な犯罪組織によるマネーロンダリングに利用される危険性もあるのではないかという疑いもある。

警察にはもっとしっかり捜査してもらいたいものだ。

なお,あくまでも一般論だが,実店舗や実在庫をもたないネット上の取次ぎなどを行うだけの内容のフランチャイズまたはフランチャイズもどきのビジネスは,詐欺である場合が多いといえるかもしれない。なぜなら,もし本体業務が確実なものであるとすれば,わざわざフランチャイズしなくても,普通のホスティングやパブリッククラウドの利用により,ネット上の店舗数を無限に増やすことが可能であり(そもそもネット上の店舗の数を増やす必要性が全くない場合のほうが圧倒的に多い。),そのネット店舗の運用のためのコスト負担はさして大きなものではない。にもかかわらず,ネット上の店舗運営者を募集するということは,尋常な事態ではない。良くても権利金による資金集めが主たる目的であると推定することができるし,悪ければ詐欺だということになるだろう。

根本から考えてみると,フランチャイズというビジネスモデルそれ自体が詐欺的である場合があり得る。例えば,フランチャイズによる権利料収入が主たる収益である場合,その企業が当該商品やサービスの市場を完全に制覇した時点で,それ以上のフランチャイズ店増加をはかり意味がなくなるから,フランチャイズ契約に基づく権利料の増加を見込むこともできなくなることになる。そして,節税等の目的で売り上げに相当する額とほぼ等しい借入金があるとすれば,店舗数が飽和した時点で返済不可能に直ちに陥る。つまり,多種多様なフランチャイズ契約の中には,ねずみ講と同じような問題性のあるビジネスが存在し得ることになる。まともなフランチャイズであるかどうかは,本体業務がしっかりしているかどうかによって判断しなければならない。フランチャイズ契約だけが存在していて,そのフランチャイズによって遂行すべき業務の中身が実質的に何もない場合には,基本的に違法な行為であると推定してしかるべきだろう。これから契約しようとしている者は,決して「楽して儲ける」なんてことを考えてはならない。

[このブログ内の関連記事]

 ドロップシッピングなる電子商取引的なビジネスが特定商取引法違反になるとして,ネット関連会社ナビに対する家宅捜査
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-1c77.html

 リシッピング詐欺
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-5dc6.html

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