新保史生『情報管理と法』
新保先生から下記の書籍の寄贈を受けたので,早速読んでみた。
新保史生
『情報管理と法-情報の利用と保護のバランス』
勉誠出版(2010年9月15日)
ISBN978-4-585-05430-6
この書籍は,図書館における個人情報の取扱いと関連する法的課題についてほぼ網羅的に検討を加えた結果をまとめたものだ。
本書扱われている法的課題の中には,物体としての書籍を閲覧するための図書館において問題となり得る法的課題だけではなく,ウェブアーカイビングと関連する法的課題についても丁寧な検討が加えられている。このウェブアーカイビングについての詳細な検討結果をあらわす書籍は本書が初ではないかと思われる。
本書では,個人情報保護制度及びプライバシー保護制度等に関する一般的解説の部分と図書館における法的課題に対する検討結果の部分とに分かれている。後半の部分は,類書に乏しい状況の中で非常に貴重なものとなっているものと思われる(なお,公共図書館における法的課題については,夏井・新保『個人情報保護条例と自治体の責務』(ぎょうせい,2007)を参照されたい。)。
以上のように,本書は,図書館における個人情報の取扱を主眼とするものであるけれども,そこで述べられていることは,より一般化して,大学における学生に関する情報の管理や企業における従業員の情報の管理という場面においても参考となる部分が少なくなく,有用な書籍の一つであるといえるだろう。
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