ドイツでも自動操縦自動車開発
下記の記事が出ている。
Need a lift? Phone your car and it'll pick you up
REUTERS: Oct 14, 2010
http://www.reuters.com/article/idUSTRE69D2ZJ20101014
まだ完全なものではないが,要するに,ベクトルは,自動車型のロボットの開発に向けられていると考えて間違いはないだろう。
ところで,ロボットに組み込まれるソフトウェアは,道路交通法を遵守するように設計されていなければならない。そうでなければ,ソフトウェアそれ自体もそのソフトウェアによって操縦される自動車も,いずれも違法な存在であることになる。
さて,そのようにして道路交通法を遵守して自動操縦される自動車ができたとすれば,車間距離や速度などのすべての事項について道路交通法が厳格に適用されることになる。交差点の信号に対する対応もそうで,黄色の信号になれば停止しなければならない(既に交差点に入ってしまっている状態で信号が黄色に切り替わった場合など特別の場合を除いてはクルマを進行させてはならず,停止させなければならない。)。また,駐停車禁止場所で駐停車してはならず,右左折禁止場所で右左折をすることは許されないし,車線変更禁止場所で車線を変更して進行してはならない。加えて,横断歩道に歩行者がいる場合には必ず横断歩道前で停止して歩行者を横断させなければならない。
ところが,そうであるとすれば,現在の道路上を走行可能な自動車は約半分以下に減ることになるだろうと思われる。なぜなら,現在の事実上の交通秩序は,上記のようなルールの大半を無視することによって成立している。違法行為であっても警察が取り締まることが滅多にないので,違法状態が恒常化しているといえるだろう。
もしそのような状態を道路交通法に定める規範が厳格に実現される状態にすると,実際には自動車を進行させるのに必要なスペースがかなり不足することになる。
そういうことを理解してロボットを製造しているのであれば良いが,そうでなければかなり厳しい事態の発生を避けることができない。
ちなみに,道路交通法の定めるルールは,世界各国でずいぶんと異なっているので,自動車を輸出しようとする企業は,それぞれの国の法制に適合するようにソフトウェアを作成しなければならず,かつ,法令(自治体の条例等を含む。)の改正があればそれに適合するように常にソフトウェアのアップデートをしなければならない。かつ,大陸諸国のように異なる国々への移動が簡単にできてしまうところでは,理論上あり得るすべての移動先の国の法令に完全に適合するようにソフトウェアが作成されなければならない。しかし,私は,それは無理だと思っている。だから,自動車の輸出ができなくなる。結果的に,現地生産に切り替えるしかなくなってしまうだろう。
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自動操縦のGoogleストリートビューカー
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/google-e9c8.html
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