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2010年9月15日 (水曜日)

キルヒマン

日本の法学者の中にはキルヒマンを忌み嫌う者が決して少なくない。

そのためかどうか,キルヒマンの述べていることを真面目に検討した論文は非常に少ない。数えられるくらいしかない。

 キルヒマン「学としての法学の無価値」
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110000230718

 キルヒマン「法学無価値論」の歴史的意味
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110000212986

しかし,法は,社会統制のための道具(ツール)の一つに過ぎない。明らかに人工物であり,人類社会が存在しないところには存在しない。

このことは何も法学に限ったことではなく,社会科学全般について普遍的にいうことができることだろうと考える。

さて,現在の社会は,とてつもなく大きな変動期にある。

にもかかわらず,古いツールに固執する能力しかもっていない者が社会の中で指導的立場にあるとき,その社会は,変化に対応することができずに必ず滅びる。

現在の日本は,そのような状況にある。

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法令が時代の変化と共に社会的機能を失うことはいくらでも例があり,比較的陳腐な出来事に属する。

これに対し,立法者もまた人間である以上,錯誤による立法というものがあり得る。錯誤に基づくものであるので,法律それ自体が無効であると考えるべきだろう。ただし,これまで,この分野の研究はほとんどなされていない。

私は,明治大学における授業でこのことに触れてきたが,学生の反応はイマイチだった。

しかし,憲法違反の場合に法律が無効となることがあることは誰でも知っている。憲法違反以外にも無効原因が存在してはならないという理屈は存在しない。

したがって,立法の錯誤により無効な法令は存在し得るし,現に存在する。

私は,そのような無効と解釈すべき法令を探索し収集することも仕事の一部としている。

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