警察庁:ドライブレコーダーの活用を推奨
警察庁のサイトで,下記の広報が出ている。
ドライブレコーダーの活用について
警察庁: 2010年9月15日
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/drive_recorder/index.htm
既に都内のタクシーのほとんど全部に装着済みのようだ。
ときどきタクシーの運転手と会話することがあるのだが,このシステムの導入により,タクシー運転手だけが一方的に責められるようなことは激減しているらしい。警察も「タクシーだから乱暴な運転をしているのだろう」という根拠のない先入観で運転手を見ることは少なくなっているようだ(まだ絶無であるとは言えない。)。
社内の状況を記録することができるタイプのものについては,タクシー運転手を被害者とする殺人事件,強盗事件,暴行事件等の発生を抑止する効果があるし,残念なことにこのような事件が起きてしまったとしても,犯罪捜査上の効用が発揮されることがあるようだ。
ただ,ドライブレコーダーの適法性については議論の余地が全くないわけではない。例えば,タクシーの車内における乗客のプライバシー保護の問題がある。そもそもタクシーの車内ではプライバシーが存在するのかという議論はあり得る。プライバシーの問題の一部として位置情報の秘匿の問題もあり得るだろう。これらは,個人情報保護法の解釈論の一部でもあり得る。ただ,仮にプライバシーを否定する理屈が正しいとしても,肖像権等の問題が自動的に解決されるわけではないし,また,これとは別にタクシー運転手の職務上の守秘義務の問題はある。その他,労働法上の問題も議論されてきている。
これらの問題について考えるとき,画像の記録時間等を含めスペックが機種によって異なっているので一律に言うことは危険なのだが,問題となる権利毎に正確に考察をした上で,それぞれの法益との関係で一定の条件を満たしていれば,一応適法になるだろうと考える。
なお,このような機器類の活用によって「大声を出して先に怒鳴ったほうが勝ち」のような事態の発生を減少させることは,損保会社にとっても大いに意味のあることではないかと思う。
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