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2010年9月30日 (木曜日)

インド:全ての国民の識別を可能とするためのデータベースを運用開始

下記の記事が出ている。

 India to compile 'world's biggest' ID database
 BBC: 29 September 2010
 http://www.bbc.co.uk/news/world-south-asia-11433541

インドはとても人口の多い国なので,本当に全国民のデータが記録されているのかどうかは疑問なのだが,それをひとまず措くとしても,このデータにはバイオメトリックス情報なども含まれているようだ。

もしこのデータベースがハックされたとすれば,とんでもないことが起きる。

国のシステムに対するハックには2種類がある。

一方は,国の政治システムが維持されている状態でなされるハッキングであり,普通想定されているものはこれだ。国は,そのようなハッキングに対するセキュリティ対策を講ずることになるだろう。

他方は,国が崩壊するときに起きる。この国の崩壊には,全く異なる政治思想をもつ集団が合法的に支配権を得る場合(ナチスがワイマール憲法に基づきワイマール憲法を破壊するような国家体制を樹立したのがその例),クーデターなどの武力によって支配が奪われる場合(世界各地の軍事政権がその例),他国や何らかの政治的勢力によって侵略される場合,疫病や核戦争等によって社会組織の根幹が破壊されてしまう場合などがある。このような場合,国によって講じられていたセキュリティ対策はひとつのこらず無意味なものとなる。

要するに,データベースによる支配とは,そのデータベースが構築された時点で存在している社会システムがそのまま維持されることを前提にした戦略のようなものが不可欠の前提としてある。その不可欠の前提が壊れてしまう場合,一体どんなことが起きるのかを予測する者は少ない。

私は,様々な問題について,管理主体が(企業の倒産などによって)消滅または崩壊することがあることを前提にものごとを考えるべきだということを主張してきた。このような考え方は,とても評判が悪い。例えば,自民党時代に内閣総理大臣にそんなことを進言でもしようものなら社会生命を奪われかねないほどの厳しい報復を受けたことだろう。誰も自分が政権から脱落することなど予測しないし,このことは現政権でも同じだ。そして,全く同様のことが企業経営者についても言える。

しかし,世間というものは,本当は「一寸先は闇」と考えるのが正しい。

かつてバブルのころに,六本木界隈をモデルのような綺麗な女性を連れて遊びまわっていた人々が数え切れないくらい多数いたが,その中には,現在では行方不明か刑務所の中にいる者が決して少なくない。

だから,いずれ死ぬことを含め,自分が破れ滅亡する可能性の存在を前提にものごとを考えなければならない。

このことは,国のシステムでも変わらない。

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