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2010年8月30日 (月曜日)

虚偽内容のパチンコ攻略法情報の雑誌広告掲載主について不法行為責任が認められた事例

世間にはインチキ商売がいくらでもある。一見まともそうな商売でも本当は全くインチキというものが含まれている。誰でも即座にインチキだと気づくようなものであってもひっかかる者はひっかかる。このような場合,インチキ商売に関する宣伝広告を掲載している雑誌,新聞,Webサイトなどの損害賠償責任が問題となり得るが,理論的にそうであるというだけではなく,現実にそのような事件が存在し,原告の請求が一部認容された。

迂闊にアフェリエイト収入になると思ってインチキ商売や違法商売の宣伝広告を掲載してしまうと,自分も法的責任を問われることがある。また,インターネット上には様々な商品やサービスの媒介をするサイトがあるし,テレビでもテレビショッピングが花盛りだ。そのような商品やサービスの中にもインチキのものが当然混入しているはずなので,媒介主や広告主は,自分が取り扱う商品やサービスの適法性について,事前に厳格な審査をする必要がある。そうでなければ,損害賠償責任を負う結果となることがあり得るだろう。すべての分野・業界について,ビジネスやサービスそれ自体の適法性審査のための制度構築が急務となっているのではないかと思われる。

なお,商業宣伝広告などが顧客のプロファイリングやライフログなどによって自動的になされる場合には,そのためのソフトウェアなどが完璧なものではなかったということ,または,インチキ商売や違法商売か否かの判定する仕組みが導入されていなかったということだけで,広告主等の過失を認定すべきだろうと思われる。何らかの方法により,適法性審査のプロセスを導入する検討が求められる。

この判決は,ある意味で,商業宣伝広告業界(アド業界)全体に対する警鐘の一つとして理解することができるかもしれない。

大阪地方裁判所平成22年05月12日判決(大阪地方裁判所平成20年(ワ)第5965号損害賠償請求事件)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100601150709.pdf

[事案の概要]

パチンコの打ち子募集及び攻略法に関する雑誌広告を見て広告主に連絡を取り,詐欺被害に遭った原告に対して,雑誌発行社及び広告代理店が過失による不法行為責任を負うと判断された事例

[判決理由]

第2 事案の概要

 本件は,原告が,被告株式会社Aの発行した雑誌に掲載された広告を見て,2件の広告主に連絡を取り,パチンコ攻略法(以下「攻略法」という。)の情報を購入したところ,いずれも虚偽の内容であったとして,同被告及び当該広告を当該雑誌に提供した広告代理店である被告株式会社Bに対し,過失の不法行為による損害賠償請求権に基づき,合計255万円及びこれに対する最終の損害発生日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

[争点に対する判断(抄)]

4 争点(4)(過失相殺の有無及び割合)について

 上記1で認定したとおり,原告はその当時26歳の会社員の男性であり,一定の社会経験及び社会常識を備えていたこと,原告は以前からパチンコを楽しんでいたこと,パチンコはギャンブルの側面を有しており,もうかることもあれば損をすることもあること,原告がなしたDらとの取引は本件各広告の内容とは有償であることなど大きく異なっていること,原告が支払った金銭は多額であること,原告はDに騙されたことに気付いたのであるから,攻略法について,より慎重に検討することができたのに,損失を取り戻そうとして,その当日中にD広告が掲載されていた本件雑誌を見てFに電話をかけ,さらに56倍もの多額の損. 失を生じさせていること,Fの担当者から信用調査と言われて,原告は言われるがままに消費者金融会社から金を借りていること,DにしてもFにしても,何かと理由を付けて振込金を追加させようとしていることなどの事情があり,原告の損害拡大に対する過失は相当に大きいものといわざるを得ない。
 そうすると,D関係の損害については5割の過失相殺をなし((31万8000円+3万2000円)×0.5=17万5000円),F関係の損害については7割の過失相殺をなす((180万円+18万円)×0.3=59万4000円)のが相当である。

5 結論

 以上によれば,原告の請求は,被告らに対し,連帯して76万9000円及び内金17万5000円に対する平成19年4月11日から,内金59万4000円に対する同月13日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容すべきであり,これを超える部分は理由がないから棄却すべきである。よって,主文のとおり,判決する。

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